テレビCMなどのマス広告を用いたBtoCマーケティングには、普段から接していることもあり馴染みがあります。しかし、BtoBマーケティングは、ITシステムの充実やデバイスの進化(スマートフォンの普及など)といった外部環境の変化を背景として発展したこともあり、まだまだ浸透していません。
本記事では、BtoBマーケティングを実践していただくために、4つの最新手法を事例と一緒に紹介します。また、デジタル領域におけるBtoBマーケティングの5つの特徴も合わせて確認していきます。
※本記事は株式会社イノーバ提供によるスポンサード・コンテンツです
最新のBtoBマーケティング手法4選
1. コンテンツマーケティング
得られる主な効果
・検索やソーシャルメディアを利用したコンテンツ経由でのサイト集客増
・業界情報を発信することによるブランディング効果
コンテンツマーケティングは、情報収集をしている企業やその担当者に対して情報を発信することで、検索やSNSを通じて自社のサイトを見つけてもらうきっかけを作ります。
具体的な情報発信方法としては、製品の周辺情報や業界情報をブログなどのオウンドメディアがあります。
ここでは、コンテンツマーケティングの中でも特に集客面に効果を出した事例をみてみましょう。
例えば、これはとあるBtoB企業のサイトの訪問者数推移です。商材は法人向けのセキュリティ商材で非常にニッチな分野です。
なかなかサイト訪問者が増えず、情報収集層にもアプローチできていなかったため、ブログでの情報発信を始めました。
実数だけを考えると2013年5月でも約2,000と多くはないのですが、情報発信を始める前の2月時点と比較すると大きく飛躍しています。
BtoBはサイトに何十万アクセスが必要というよりは「自社の商材にあった訪問者」を集めることが重要になってくるので、ターゲットに合ったコンテンツを制作し発信しましょう。
この企業のブログの内容は、法人セキュリティのトラブル情報や企業が持つべきセキュリティの基礎知識に加え、最新のセキュリティ技術やニュース(個人情報漏洩など)といったものです。
このように、「将来顧客になる可能性が高い層」に対してユーザー視点で読みたいと思えるコンテンツを制作・発信することでサイトへの訪問者を増やし、会社やサービスを認知してもらうきっかけをつくっています。
2. ホワイトペーパー(ebook)マーケティング
得られる主な効果
・ebookなどのダウンロードによる見込み顧客リストの獲得
ブログなどのオウンドメディアで集客を実現した場合、次のステップとして集客した層から「見込み顧客(リード)」を選別するマーケティングプロセスが必要です。その見込み顧客リストを作成するために活用できる方法のひとつが、ホワイトペーパーマーケティングです。
以前から会社のサービス資料をPDFにしてダウンロードしてもらう、もしくは問い合わせてもらってから資料を送付するという手法は一般的でした。しかし、サービス資料を請求するステージは、顧客としては情報収集の中でも検討が深まっている段階(検討顧客)であり、その段階に到達していない層にはあまり効果がありません。
ホワイトペーパーマーケティングにおいては、この「資料請求までは考えていない層(見込み顧客)」にアプローチします。
例えば、イノーバでは「入門コンテンツマーケティング」や「戦略的ビジネスブログ入門」といった、コンテンツマーケティングを自社で始めてもらうためのノウハウをebookにして提供しています。実際にこのebook経由で毎月200件程度の新規の見込み顧客を獲得しています。
いきなり商品やサービスを売り込むスタイルではなく、お客様のマーケティング活動の参考にしていただく情報を提供しています。もちろん、ここでいきなりコンバージョンを狙っているのではありません。ebookをダウンロードしてもらうことで、より深い知識を提供することに加えて、「コンテンツマーケティング(商材)」に興味のある層を把握することができます。
実際にイノーバでも、ebookを提供することで数百の見込み顧客の情報を継続的に集めることに成功しています。
ホワイトペーパーやebookを作成するのは難しいと感じてしまうかもしれませんが、もし前述のブログを更新できている場合は、同じカテゴリーの記事を再編集して新たに提供するだけでも立派なebookになります。
他には自社で調査結果がある場合はそれをまとめて発表したり、事例集を作製したりする形でもebookは作成可能です。ぜひ「何かまとめることで価値があるものはないかな?」という視点で自社のリソースを確認してみてください。
3. リードナーチャリング
得られる主な効果
・見込み顧客から検討顧客への育成
・検討層へのアプローチによるコンバージョン発生(購買)
リードナーチャリングはあまり聞き慣れた用語ではないかもしれませんが、「見込み顧客」を「検討顧客・顧客」に導く一連のマーケティングプロセスの総称を意味します。
このプロセスでは「メールマガジン」「セミナー(Webセミナー)」といった手法が中心となります。
例えば、Crowe Horwathというアメリカの監査法人は新規顧客獲得を目標にメールマーケティングを採用した結果、ROI133%、ナーチャリング用のメールの開封率は80%という数字を叩き出しています。
引用:Crowe Horwath LLP | Audit, Tax, Advisory, Risk, and Performance Service
コンサルティングが中心となる非常に専門性の高い分野ですが、見込み顧客リストの中から「自社のサービスを使いそうな人・企業」を過去の顧客情報を元に徹底的にセグメントします。
そのセグメントしたリストに合ったメールマガジンを考えぬいて制作。
週に1回、4週間のメールプログラムで、先ほど紹介したような80%という脅威の開封率を実現しています。
すべての見込み顧客リストを精査し、細かく分けてそれぞれにメールを送るのは確かに骨が折れる作業です。
手軽にスタートする場合は、「もっとも顧客層に近い」と思われる条件だけでリストを分け、その分けたリストにのみメールを送ってみることからスタートすると良いのではないでしょうか。
実際に開封率やその後のクリック率を見始めることで、「どんなコンテンツだと顧客に響くのか」といったことも見えてくるので、今後の運用の方向性がつかめるようになります。
4. マーケティング・オートメーション
得られる主な効果
・見込み顧客の抽出から検討顧客の自動育成
・サイト訪問者一人ひとりの行動に則したマーケティング活動が可能
「マ—ケティングオートメーション」とは、集客から見込み顧客化、その後の検討・購買のフェーズへの態度変容を促す一連の複雑なマーケティング活動を自動化するシステムの総称です。
日本ではまだあまり普及していませんが、顧客の行動に対して自動的に応対してくれるので、使いこなすことができると非常に便利です。
例えば、あるサイト訪問者がebookをダウンロードすると自動的に見込み顧客リストに追加され、後日最初のメールマガジンが自動で配信されます。
そのメールを開いたか・開いていないか、開いてURLをクリックしたか……などの条件によって、自動的に次に送るメールをシステムが選択し後日配信してくれる。といったようなイメージです。
セミナーやイベントのオンライン予約システムを提供しているアメリカのActevahaはマーケティングオートメーション導入後、約2億円の利益増加を達成しています。
引用:Acteva | Online Event Registration, Management, & Payment Software
ひとつのebook用ダウンロードページを用意し、そこから得た見込み顧客に対するメールマーケティングを用意したところ「年4000万円のマーケティングコスト削減」「350%のROIを達成」「マーケティングオートメーションを導入した領域は前年比100%の成長率」という成果をあげています。
ここまでマーケティングオートメーションを機能させるためには、詳細なリストのセグメント分けに始まり、どの条件の際にどのメールを配信するのか? 誰がその配信するコンテンツを作るのか? といった知識を要する作業も必要になってきます。
マーケティングオートメーションは、使いこなすことでBtoBマーケティングにとって非常に心強い存在になります。しかしながらシステムの利用料なども発生するので、導入の際には自社のマーケティングリソースを鑑みてじっくりと検討することが重要になってきます。
BtoBマーケティングの5つの特徴
1. 意思決定者と情報収集者が異なる場合が多い
BtoCマーケティングでは、基本的には意思決定者は個人で、情報収集者も同一の個人が行います。もちろん家族や友人に相談といったケースはありますが、その範囲は限定的です。
一方BtoB企業の意思決定においては、意思決定者と情報収集者が異なることが多くあります。例えば、現場のWeb担当者がSEOコンサルティングを導入しようとした場合は、まずは担当者が情報収集を行い、SEO自体の情報に加えてサービス提供者の情報を収集します。
その後意思決定者である上長に収集した情報(と時には社内の情報と合わせて提案)を提供することで、晴れて採用、もしくは不採用となります。
2. 判断基準が組織的かつ合理的
BtoBにおいては意思決定の判断基準は組織的かつ合理的であることがほとんどです。導入すると組織全体や部門でそのサービスを扱うことも多いので、意思決定時には組織の目的や用法に合っているかどうかをチェックします。
また、法人では個人の場合に比べて予算管理が厳しいことが多く「いくら使うといくら利益がでる」といったようなROI(費用対効果)が求められます。
個人の消費では衝動買いのような感情的な購買が発生しますが、法人の意思決定においては合理的に判断が下されます。
3. 少数かつ限定的な関係
BtoBサービスの取引においては、同系統のサービスを複数の事業者から同時に受けることは多くありません。例えば、CRMのような顧客管理サービスは、基本的にひとつの事業者のものを使用します。
C向けの商材と比較すると、相対的にB向けの商材は対象マーケットが限定されるので、マーケティングやセールス活動においても顧客像がはっきりしているケースが多くなっています。
4. 購買への関与者・サービスの使用者が複数
「意思決定者と情報収集者が異なる」でも触れたように、購買プロセスにおいて基本的には複数の判断が関与します。また、実際にサービスなどを使用する際にも組織的な導入となることが多いので、複数の利用者が存在します。
このような背景もあり、意思決定は組織的になるケースが多くなります。
5. 検討期間が長い
BtoBにおいては、購買までの期間はBtoCと比較すると長くなります。
組織的なニーズとROIを満たす必要があるため、合理的な判断が求められます。その合理的な判断のためには情報収集・相見積りを行い、意思決定者に決裁を仰がなければならないので、どうしても検討期間が長くなってしまいます。
以上のように、BtoBマーケティングの特徴を確認しましたが、まずはこのような特徴を認識しましょう。その上で、その特徴にあったマーケティング手法を理解し、実践につなげていくことで成果がでます。次にBtoBマーケティングで用いられる最新のマーケティング手法とその事例を確認してみましょう。
BtoBマーケティングにおいても
重要なのはコンテンツ制作
BtoBマーケティングの特徴に始まり、最新のWebにおけるBtoBマーケティング手法をご紹介してきましたが、重要なポイントは「いかにコンテンツを制作するか」という点に尽きます。
コンテンツマーケティング・ホワイトペーパー・リードナーチャリング(メール)・マーケティングオートメーションといった手法がありましたが、すべての手法のベースとなっているのは中身であるコンテンツです。
どの手法においても、ただ手法を採用すれば成果があがるのではありません。「情報を届ける相手が必要な情報は何か」を徹底的に考え抜いたコンテンツがあるからこそ、集客や顧客育成が可能になります。
実際に、情報価値のないブログやメルマガで心が動かないことを実体験として感じている方もいるのではないでしょうか。
メール配信やマーケティングオートメーションなどのシステム導入を先に考えてしまいがちですが、発信するコンテンツが作れなければ成果をあげることはできません。まずは、「コンテンツを作れるのか」といった検証からスタートしてみてください。
一番手軽なブログからでも良いのです。コンテンツを作り出すことで、次のフェーズ(メール)のコンテンツ制作もスムーズにトライすることができます。
まずは現状サービスを利用しているお客様を見て、「その人達・企業は導入前に何に困っていたか?」という視点から考えてみるとコンテンツのアイディアが見つかるのではないでしょうか。
ぜひコンテンツの制作からスタートしてみてください。
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