配信したメールマガジンの開封率が2倍以上になり、クリック率は650%増、しかもコンバージョン率も3割以上アップする・・・。そう耳にしたら、Webマーケティング担当者であればついつい詳しく知りたくなってしまうものではないでしょうか。
リードナーチャリングの効果はこれだけではありません。従来よりもはるかに効率的な営業活動を行えるようになるため、営業部門の人件費などといったコストの抑制にもつながります。
当社自身もリードナーチャリングに取り組んでから、営業効率の改善に成功しています。
しかし、いまいちピンとこない、なんだか難しそうという印象をお持ちの方も多いかもしれません。
本記事では「リードナーチャリングに興味がある!」「取り組んでみたい!」とお考えのマーケティング担当者の方に向けて、実際の事例をもとに、リードナーチャリングの「仕組みと成果」「導入のカベ」「スモールスタートのコツ」を説明いたします。
※本記事は株式会社イノーバ提供によるスポンサード・コンテンツです
メルマガのクリック率650%増にする
リードナーチャリングの威力
カナダのTAB社というB2B企業においての、実際の成果を見てみましょう。
リードナーチャリングを導入することで、以下のよう成果が出ています。
・メール開封率133%向上
・クリック率650%向上
・資料ダウンロードコンバージョン率32.6%向上
これだけの成果を期待できる「リードナーチャリング」について、解説していきます。
リードナーチャリングとは?
「リードナーチャリング」という言葉は「見込み客育成」と訳されますが、“顧客を育成する”と言われてもピンとこないでしょう。これを「見込み客のニーズを育てる」とするとどうでしょうか?
見込み客にとって価値ある情報を継続的に提供することで、製品やサービスに対するニーズを育て「欲しい」と思ってもらい、購入を促すプロセスのことです。
これから、その4ステップを説明いたします。
ステップ1. セグメンテーション
リードナーチャリングの最初の一歩。それがセグメンテーションです。
見込み客(リード)の情報ニーズに応じて、発信するコンテンツを出し分け、より受け手にとって価値のある情報提供をしていくためには、見込み客の種類、属性などによりいくつかのグループに分ける必要があります。
「見込み客」と呼んでいても、その情報ニーズは様々です。
展示会でたまたま足をとめて名刺交換を行った見込み客Aと、複数のサービス提供者を比較、選定するために資料請求をした見込み客Bに同じ文面のメール、同じ内容のコンテンツを提供しても、効果は限定的でしょう。
見込み客をセグメントした上でアプローチをかけることで、見込み客が期待する情報と、提供するコンテンツのマッチングを上げていくことがリードナーチャリングのキモとなります。そのために、セグメンテーションが重要になってくるのです。
セグメントを分ける際には、業種や事業規模、B2B企業、B2C企業といった「属性」と、製品・サービスに対する「購買意欲」の2軸で考えることが基本です。「属性」については扱う商材やターゲットに応じて変わってきますが、「購買意欲」には一定のプロセスが存在します。
下記の図は、そのプロセスを簡易的にあらわしたものです。
課題の存在自体に気付いていなかった状態から、課題を認識し、その解決手段としての商品やサービスの存在を発見し、他社商品/サービスと比較検討する段階を経て、購買にいたるこのプロセスは、ほとんどのビジネスに適用可能と言えるでしょう。
このプロセスを自社の商品/サービスに当てはめて、どうすればプロセスの次のステップへ進んでもらえるのかを組み立てる。それが次に紹介するステップ2です。
ステップ2.コンテンツの作成
「セグメンテーション」を行い、見込み客のおおまかな購買プロセスが見えてきたら、実際に各プロセスにおける見込み客に届けたいコンテンツを作成します。
例えば、前述の展示会見込み客Aであれば、おそらくまだ購買意欲はさほど高くないと考えられます。こういった見込み客に対して、いきなり無料トライアルや割引キャンペーンのオファーを提供しても、効果的とは言えません。
まずは課題感を醸成し、それに対して自社が提供する商品がどのように関与し、解決していくのか。その結果どんな良いことがあるのかを「啓蒙」することからはじめてはいかがでしょうか。
逆に、すでに競合他社商品との比較検討段階にある見込み客Bに対しては、そのような呑気なことを言っている場合ではありません。
競合他社商品に対してどのような優位性があるのか、自社の強みや費用対効果を前面に押し出した、具体的な商品提案をすべきでしょう。商品デモや、無料トライアルのご案内などが有効です。
このように、セグメントに応じた適切なコンテンツを作成するにあたり、押さえておきたい重要なポイントが2点あります。
・コンテンツの目的を明確にする
・明確なCTA(コール・トゥ・アクション)を設ける
提供するコンテンツには、明確な目的がなければなりません。そのコンテンツに触れた見込み客に、次にどんなアクションを起こしてほしいのか。それを明確にした情報発信を心がけましょう。
そして、情報の受け手(見込み客)が迷わずそのアクションを起こすことができるよう、CTAは極力シンプルかつ分かりやすくすることが重要です。
※CTA(コール・トゥ・アクション)=「行動喚起」の意。Webサイトで訪問者を、とってもらいたい行動に誘導することを意味し、多くの場合はボタンやリンクの形で表示される。
引用元:Web担当者forum
ステップ3.リードスコアリング
リードナーチャリングの大きな目的のひとつが、営業部門が直接アプローチをかける見込み客の優先順位をつけることによる効率性の向上です。
そのためには、見込み客を「買ってくれる可能性が高い順」にリストに並べ、上から順番にアプローチしてくのが一番でしょう。これを実現するため、見込み客の属性やアクションを点数化して「買ってくれる可能性が高い順」に並べ替えるステップが「リードスコアリング」です。
この「点数化」には、業種や事業規模、役職などの属性情報と、Webサイト訪問頻度や、メルマガ開封率、資料ダウンロード回数などの行動履歴が利用されます。各項目を採点し、それを積み上げることで見込み客に点数をつけるのです。
下記、一例をご紹介します。※スコアはあくまで参考値です
リードスコアリングを行う際の点数の設定は、当初は仮説ではじめるほかありません。
まずは感覚値で結構ですのでスタートを切って、徐々に精度をあげていくことをおすすめします。
ステップ4. 営業アプローチとフィードバック
「リードスコアリング」を通して見込み客に点数をつけたら、いよいよ営業担当者による直接アプローチです。ここで重要なのがアプローチ後の営業担当者からの、リードナーチャリング担当者への密なフィードバックです。
リードスコアリングにより見込み度合いの高いホットリードと判断されて営業担当者がアプローチしたものの、実際はまったくニーズが顕在化していなかった、といったケースはままあるものです。そういったフィードバックをスコアリング基準や発信コンテンツに反映することで、リードナーチャリングの精度を上げていくことが重要です。
成功事例で理解する「リードナーチャリング」
「リードナーチャリング」の全体像をご案内したところで、実際にこの施策を導入し成功をおさめた事例をご紹介いたします。
リードの絞り込みでクリック率6.5倍、
コンバージョン率3割アップを達成したTAB社
企業のドキュメントやデータ管理を支援するカナダのTAB社では、見込み客数は多いのに成約に繋がらない、案件化までに時間がかかりすぎる、という課題を抱えていました。
その原因として、ウェビナー参加者や資料ダウンロード者、イベントでの名刺交換によるリードなどを、すべて同じ「リード」として管理していることにある、と考えたTAB社がまず取り組んだのが、リードの絞り込みでした。
同社では、大きく分けて二つのサービスを提供しています。そこで、まずは興味対象によってリードを二つに分類し、その上で、アプローチすべきリードを以下の条件を満たすもののみに絞り込みました。
・ホワイトペーパー、ケーススタディ、eBookなど、
サービスに関連するダウンロード資料を取得していること
・サービスに関連するウェビナー(ウェブセミナー)に参加していること
・TAB社のWebサイトに15秒以上滞在していること
同社ではさらに、これらのリードを5つの購買段階に分け、それに応じた情報を提供しました。
2つのサービス群に対して、5つの段階。
すべてのリードに対して画一的なアプローチをしていた従来とは異なり、リードを「各々が知りたい情報」軸で10グループに分類したことで、10の異なったアプローチ方法が生まれたことになります。
続いて、その10グループに対するステップメールの配信を開始しました。下記はその一連のキャンペーンの入口となる1通目のメール文面です。
このメールは対象が上記で定めたアクション(資料ダウンロード、ウェビナー参加、サイト訪問)を行った3日後に配信され、以降10日ごとに、ステップ2、ステップ3と順次配信されていきます。
同社の場合、ステップ5までですので、キャンペーン期間は50日、ということになります。
自動配信されるメールは非常に簡潔なものであり、実際の情報提供は誘導先のランディングページで行っているのがTAB社の特徴です。
スコアリングは要素を最低限に。その分を営業が“目視”によってカバー
リードの属性やアクションを点数化して、“顧客化見込み度”を可視化する「リードスコアリング」。
リードナーチャリング実施の上での一つの目玉のように見られることもありますが、正確なスコアリングを行うためには膨大なデータと指標の設定が必要で、導入が「大変そう」と思われる理由のひとつでもあります。
そこでTAB社では、リードナーチャリング導入にあたって、システムだけに頼らず、まずは「目視」を組み合わせることでスコアリングの単純化をはかりました。
・スコアリング対象は、メールによるキャンペーンに対する以下のアクションのみとしました。
・メール内リンクのクリック
・コンテンツのダウンロード
・ランディングページの滞在時間
上記のアクションの結果、リードのスコアが一定の値を超えると営業部門にアラートが飛びます。
営業部門は、該当リードの興味対象や属性情報、過去の接触履歴などを「目視」で確認し、セールスコールをかけるかどうか独自の判断を行い、営業活動を展開していきました。
成果
TAB社では、導入試験期間を通して下記のような結果を出し、リードナーチャリングの正式導入を決定しました。
・メール開封率133%向上
・クリック率650%向上
・資料ダウンロードコンバージョン率32.6%向上
図:TAB社リードナーチャリングプロセス
出典:
MarketingSherpa|CASE STUDY Lead Nurturing: Pilot campaign increases conversion 32.6% with automated emails
Northcutt|2 Awesome Lead Nurturing Campaign Examples
中小企業でもできる!リードナーチャリングを
スモールスタートするためのコツ
このように、きちんと取り組めば非常に効果の高いリードナーチャリングですが、本格的に導入するためには、ツールをはじめシナリオ設計、スコアリングなど相当な工数がかかります。
しかし、高額なシステムやコンサルティングを入れることなく、「まずは試しに」リードナーチャリングを実施することは可能です。
以下に、2週間程度の導入準備期間でのスモールスタートで成果をあげた事例をご紹介します。
わずか2週間の準備期間でリードナーチャリングを
開始したWebコンサルティング中堅A社
Webコンサルティング会社の中堅A社では、Webサイト上でコンテンツを発信し、資料請求を促す仕組みを作っていました。そこから毎月数十件のリードを獲得していましたが、資料請求後すぐにアポイントメントにつながるリードはわずか。
「とりあえず資料を見たかっただけ」と、即時のアポイントメントまで至らないケースが多くを占めていました。これらのリードは資料請求まで至っている分、非常に重要なリードと言えますが、営業リソースが不足していたA社では初回アプローチ後のフォローがままならず、その後の商談化に繋がっていませんでした。
B2B営業の世界でしばしば言われることですが、「コールドリード(すぐに商談化しないリード)」だと判断されて、フォローを後回しにされたもののうち8割は、2年以内に競合他社から製品を購入している、というデータがあります。この機会損失を避けるため、A社はステップメールによるリードナーチャリングを取り入れました。
導入にあたって重要視した点は以下の2点です。
・コストをかけない
・手間をかけない
メール文面は担当者からの「私信メール」風に。頻度は「忘れられない程度」。
ステップメールを送る際、配信側は送信頻度を上げてしまいがちですが、毎日大量のメールを処理するビジネスパーソンにとって、頻度の高すぎるメール配信は逆効果になりかねません。
A社では、まずステップメールを配信する対象=「長期フォローすべきリード」を週次で精査した上で、計10回のメール配信を設定しました。
特徴的なのは、この配信間隔です。初回接触から1通目までの配信間隔は14日ですが、その後は約1ヶ月ごとに1通ずつ、半年にわたってステップメールによるフォローが続きます。
積極的に製品に関する「教育」を施すようなステップメールではなく、「忘れられないための」もしくは「ニーズが顕在化したときに一番に思い出してもらうための」絶妙な配信頻度です。
また、内容も企業のいわゆる「メルマガ」ではなく、差出人に担当者の個別アドレスを使用した、担当者個人からの私信メールのような簡潔なものとしました。「営業担当者が空き時間に耳より情報を個別に送ってくれている」かのような印象を与えました。
この「私信メール風」ステップメールの場合、受信した見込み客から担当者に直接返信がくる場合もありました。
成果
下記は、このステップメールによるリードナーチャリングの取り組み開始から3ヶ月後、ステップメール配信リスト数が148件となった時点の結果です。
・アポイントメント数5件
・うち1件受注
・先方からの返信による関係構築3件
・メール内URLクリック率6~8%
・メール受信拒否1件
導入ハードルの低い「ステップメール」はスモールスタートに最適
A社では「コストをかけない」「手間をかけない」という条件から、まずはステップメールの配信に絞ってリードナーチャリングに取り組みました。スコアリングの部分や、受信者のアクション(リンクのクリックや資料ダウンロード)に対するフォローは、システムではなく営業担当者が直接行っています。
リードナーチャリングの理想型は、こういった部分の自動化であると思いますが、最初から大きなコストをかけてすべての仕組みを整えずとも、リードナーチャリングには取り組めるのです。
同社のケースにおいても、将来的に取り組み規模が大きくなって、配信リスト数が現状の10倍、100倍と拡大していけばそれらリード管理、優先順位付けなどのために専用ツールによるスコアリングや、より細かいナーチャリングシナリオの設計などが必要になっていくでしょう。
しかし、まずは概念を理解し、現場が効果を検証する目的において、ステップメールによるスモールスタートは非常に有効であると言えます。
A社の場合、一通一通のステップメールの内容に凝りすぎず、業界ニュースや他社の導入事例などの「小話」での関係維持を主眼においていましたので、コンテンツ制作にも手間をかけていません。唯一、時事ネタなどは鮮度を保つため定期的に差し替えていたようです。
ニーズにあったコンテンツあってこその、リードナーチャリング
同じステップメールによるリードナーチャリングでも、TAB社と、A社では目的が大きく異なります。
リードの関心領域と購入検討段階を精緻に分析し、対象に応じたメールとランディングページで「購買を促すための」シナリオを実施したTAB社に対し、A社のそれはあくまでリードとの「関係維持」を目的としていました。成果の違いは一目瞭然ですが、両者を比較することでリードナーチャリングにおいて重要なポイントが見えてきます。
それは「コンテンツの質×ターゲティング精度(対象が知りたい情報を正しいタイミングで届ける精度)=リードナーチャリング効果」であるということです。
見込み客の関心領域や、購買検討段階を精緻に分析し設定することがターゲティング精度の向上につながります。そしてこの「関心」軸でリードを分類した後、もっとも重要なのが「コンテンツの質」です。こればかりはツールやシステムでもカバーできません。
まずは営業担当者から既存顧客の抱える課題感や、見込み客の「知りたい情報」をヒアリングし、既存の営業資料や導入事例、調査資料や業界ニュースなどをもとに、それぞれの対象にとって有益なコンテンツを作るところからはじめてみてはいかがでしょうか?
出典:WEBCAS|2週間で始められるリードナーチャリング~3ヶ月で受注!BtoBマーケティング成功事例~
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