Webマーケティングに関わる多くの方は、SNS広告や記事のアイキャッチなど、写真の重要度が上がるのを感じているのではないでしょうか。しかし、マーケティングに使える写真を集めるのは意外に難しいものです。
そこで今回は、スマートフォンで撮った写真をだれでも売買できるサービス「Snapmart (スナップマート)」を立ち上げたスナップマート株式会社代表取締役CEO江藤美帆さんに、一般人が撮った写真のマーケティングでの活用方法について伺いました。
実際に写真を販売しているのは、10代から50代と性別も問わず幅広い層。ジャンルを問わず、さまざまな写真を販売しています。よく購入されている良い写真を撮っている人は、少し良い機材を使って趣味などで撮影をしている30代の男性、またはInstagramなどを駆使する10代の学生から20代後半まで女性が多いそうです。
Snapmartは今年2016年の6月にリリースされたサービスですが、現在売られている写真はなんと20万枚以上。今は写真の購入はPCでのみ可能ですが、今後スマートフォンでも購入ができるようにしていく予定だそうです。(2016年8月時点)
現在の写真の購入者は、ブロガーなど自分のメディアを持っている人が中心。しかし江藤さんはSnapmartというサービスを思いついた背景から、一般人がとった写真を本当に活用できるのは、「中小企業のWebマーケティング担当者」だと言います。
スナップマート株式会社代表取締役CEO 江藤美帆さん
Snapmartのサービスの立ち上げ前、江藤さんは株式会社オプトのソーシャルメディア事業本部でマーケティング戦略・新規事業開発担当をしていました。
江藤さん:以前にソーシャルメディア広告を運用する仕事をしていた時に、FacebookやTwitter、InstagramのようなSNSに配信される広告のクリック率は写真によって、かなり違うことを知りました。そして、クリック率が高いのはプロのカメラマンが撮った綺麗な写真ではなく、いわゆる「一般人が撮影した写真」だったのです。
実際にある化粧品メーカーでは、「一般人が撮った写真」と「プロのカメラマンが撮った素材写真」でクリック率を比べるABテストをしたところ、一般人が撮った写真のクリック率はプロの写真の2倍ほど、と大きく差がついていたそうです。江藤さんは、その理由をSNSの性質と写真の相性の問題だと分析しています。
江藤さん:「一般人が撮った写真」のクリック率が高い理由は、「SNSのタイムラインのに馴染む写真の自然さ」だと考えています。
SNSで友人が日常風景をアップしている中に、プロが撮った写真が広告として表示されると、ユーザーはわざとらしさを感じて無意識に敬遠してしまう。でも一般のユーザーが撮った写真を企業がマーケティングに使いたいと思っても、使える写真は当時なかなかありませんでした。
SNS上にはファンによって撮影された商品の写った写真などは沢山あります。でも、企業としては「許可を取らずに勝手に使うこと」は炎上のリスクを考えるととてもできませんでした。
しかし写真をSNSにあげているファンとしては、「もし自分が好きな商品を撮った写真が公式サイトや企業広告に採用されたら、嬉しさもあるのではないか?」とも考えていました。
そんな「ファンやユーザーが発信するコンテンツはたくさんあるのに、企業はそれをマーケティングに活用できていない」というミスマッチに気づいたことがこのサービスを思いつくきっかけになりました。
また、その後に編集長として立ち上げをした “kakeru”というWebメディアの運営時代にも、記事のアイキャッチ用に安価で良い画像を探すのに苦労した経験も重なり、Snapmartというサービスの立ち上げにいたったそうです。
現在は、テストとして運用されている「コンテスト」という機能は、企業側がテーマを決めてその写真を持っているユーザーから写真を募り、企業が選んだ優秀な写真には賞金を出して買い取るという仕組みです。
江藤さん:「コンテスト」という機能を使えば、中小企業や地方自治体でも自社の商品や地域をテーマにして写真や、私用イメージに合う写真を気軽に集めることができるようになります。
例えば、以前にお試しである企業に「自然に触れる写真」という広いテーマでコンテストを開いてもらったところ、かなりいい写真が集まりました。もちろん写真を投稿するユーザーも最優秀賞に選ばれたら嬉しいし、これをきっかけでコンテストを開いているメディアや企業を知ることもあります。コンテストを開くこと自体が、サービス・商品のPRになるんですね。
他にも、商品からイメージ出来るシチュエーションを投稿して下さい、というようなイメージでコンテストをやれば、リアルな商品の利用シーンのイメージ写真を集めることもできます。
現在、コンテスト機能はまだ問い合わせごとに個別で対応していますが、今後はさらに開いていき、多くの方にこの機能を利用しながら、ファンの方とやりとりをしてもらえればと思います。
江藤さん:今後、Snapmartを「どんな企業・商品でもファンと一緒にサービスを作っていけるようなプラットフォーム」として活用してもらえればいいなと思っています。
クリック率の違いでも分かるように、一般人が作るものには侮れないリアリティがあります。
普通の人が写真取るスキルも持つカメラの機能も飛躍的に上がっていて、さらにSnapmartを使えばそういったものを広告やマーケティングに実際に使えるようになります。
また今後は、写真を購入したい企業が「写真をアップしている個人」や「写っているモデル」に直接写真の撮影依頼ができるような仕組みも考えています。
“人”を軸に写真を売っていくことで、例えばYoutuberのようにSnapmartというプラットフォームを使ったスターが現れてくれたらいいなと思っています。
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