マーケティングに関わる人は、最近「カスタマージャーニー」という用語をよく耳にするのではないでしょうか?
「カスタマージャーニー」は、単なるバズワードではなく、複雑化している顧客の行動を捉え、マーケティングの成果を改善するために役立つ本質的な考え方です。
本日は、「カスタマージャーニー」について理解するために有効な3つのスライドと5つサイトを紹介し、5分で理解できるように要点を整理してみました。
当社でも「カスタマージャーニー」考え方を取り入れてから、マーケティングの成果が大きく改善し始めています。
記事の後半では、その事例を交えながら、実際にマーケティングに取り入れて、活用するポイントについても紹介していますので、ぜひ役立ててください。
カスタマージャーニー分析で売上につながるユーザの動きを可視化|シェアNo.1の広告測定ツール AD EBiS
[toc]※本記事は株式会社ロックオン提供によるスポンサード・コンテンツです。 ※本記事は2015年4月18日に公開された記事をLISKUL編集部にて再編集したものです。
カスタマージャーニーとは「顧客が購入に至るプロセス」のこと
カスタマージャーニーとは、一言でいうと「顧客が購入に至るプロセス」のことです。
特に、顧客がどのように商品やブランドと接点を持って認知し、関心を持ち、購入意欲を喚起されて購買や登録などに至るのかという道筋を旅に例え、顧客の行動や心理を時系列的に可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と言います。
実際にカスタマージャーニーマップの具体例をいくつか見て行きましょう。
(引用元)The Anatomy of an Experience Map(adaptive path)
鉄道チケットやパスを予約するために旅行代理店を利用する北米の旅行者の行動の流れを描いたマップです。
(引用元)The Value of Customer Journey Maps: A UX Designer’s Personal Journey
ある女性が引っ越しによってプロバイダを変更する行動の流れを描いたマップです。
(引用元)カスタマージャーニーマップを正しく活用するには「おもてなし」と「カスタマーエクスペリエンス」の理解から
こちらは、友人と2人で海外旅行をする日本人が宿泊候補を探すところから旅行後に宿泊地を評価するまでのマップです。
この3つの事例は、形式やまとめ方は様々ですが、顧客の行動を時系列にステップ化して、タッチポイント別の行動や心理について一覧化されているのが共通点です。
このようなカスタマージャーニーマップは、「ユーザエクスペリエンスマップ」とも言われ、もともとデザイン思考やUX(ユーザエクスペリエンス)の世界では古くから使われてきたものです。
特に近年、スマホの普及による顧客接点の多様化やO2Oに対する注目が集まっていることをはじめ、膨大な量の顧客データを解析する「ビックデータ」の文脈からも改めて注目が集まっています。
最近ではカスタマージャーニー分析を簡単に行えるツールも登場
何万通りもあるユーザの行動フローを全て分析することは、分析のプロであっても容易ではありません。しかし最近では、これを簡単に分析・可視化できるツールも登場しています。 たとえば、「動画広告」という広告施策に対して、施策実施前後に起きた様々な指標の変動をフローで評価し、成果を明らかにすることができます。 参考:シェアNo.1の広告測定ツールAD EBiS/ロックオンカスタマージャーニーを理解するメリットとは!?
カスタマージャーニーを理解するメリットは大きく2つあります。一つは顧客視点の理解、もう一つは関係者間の認識の共有です。
カスタマージャーニーの分析を通じ、顧客行動と接点を洗い出し、それぞれの場面の心理を分析することは、顧客視点の理解そのものです。
通常、マーケティング部門の役割分担は、Web担当、チラシなどの販促担当、店舗接客担当、マス広告担当、と機能別になっていることが多く、自分の役割から施策を考えがちです。
カスタマージャーニーの理解が進めば、顧客視点で担当領域の役割を考えざるを得なくなるため、マーケティング施策が顧客視点を軸に転換していくきっかけになります。
「顧客視点」の重要性については以下の記事でも触れていますので参考にしてみてください。
また、カスタマージャーニーマップを作成するプロセスを共有し、アウトプットとしてカスタマージャーニーマップを可視化することで、それぞれバラバラの顧客接点の担当者の認識を一致させることができます。
Googleが3.6億件の行動データから導いた、業種・地域別のカスタマージャーニーを公開中
「カスタマージャーニー」の急速の広がりの一旦を担っているのが、Googleです。
スマートデバイスの普及にあわせて、デバイスをまたいだ顧客行動を分析するために、「ユニバーサルアナリティクス」や「エンハストキャンペーン」というアップデートを矢継ぎ早に実施し、カスタマージャーニーを明らかにするためのデータを集めています。
そのGoogleが3.6億件の行動データから導いた、業種・地域別のカスタマージャーニーの参考データが無償で公開されています。
The Customer Journey to Online Purchase -Google Think Insights
上記は、日本の旅行業界におけるカスタマージャーニーにおけるオンラインでの接点と接触タイミングについてのデータです。標準的には、申し込みの5.1日前のソーシャルメディアで接触し、1.9日前に検索で接触しているというような行動になっています。
現段階では「あくまで参考程度」のデータに過ぎませんが、今後、さらに多くの行動データがGoogleに蓄積されることで、より精緻なカスタマージャーニー分析に基づくサービス提供や広告表示がされていくようになっていくことは間違いないでしょう。
データ解析の観点での「カスタマージャーニー分析」は「まだ模索中」の状況
上記のGoogle例のように、取得できるデータ量が大きく増えたことから、カスタマージャーニーの定量的な分析も注目されています。
データ解析の観点から、カスタマージャーニー分析について詳しく説明されているスライドをご紹介します。
(引用元)今できる最新カスタマージャーニー分析 第一部「実戦的」カスタマージャーニー分析のすすめ 内野明彦
とてもわかりやすくまとまっているので、ぜひスライドをご一読ください。
念の為、時間のない方のために要点をかいつまんで説明すると、
- カスタマージャーニー分析が必要とされている理由(上記キャプチャ)
- クロスチャネルでのアトリビューション分析と予算配分の最適化
- カスタマージャーニー分析の推進フロー
- DMP(データマネジメントプラットフォーム)との関係性
などについて説明されています。
ただし、スライドの中にも「まだまだ成功法や勝ちパターンは無い状態で、事業者側もベンダー側も模索中な状況」とあるように、現実的には、データ分析の観点からカスタマージャーニーが論じられ、具体的な成果に結びつくのは、もう少し先の話になりそうです。
UX観点でのカスタマージャーニーマップを理解するためのスライド
カスタマージャーニーをマーケティングに活かすためには、やはり歴史と実績のあるUX(ユーザエクスペリエンス)のアプローチが参考になります。
ここでは、UX観点から「カスタマージャーニー」を理解するため、2つのスライドを紹介します。
1つ目は、海外の有名なUXコンサルティング会社の「Adaptive Path(アダプティブ・パス社)」の出している資料を日本語訳したスライドです。
(引用元)Adaptive Path's Guide To Experience Mapping (Japanese Edition)
このスライドでは、カスタマージャーニーを実現するための4つのステップが紹介されています。
また、カスタマージャーニーの基本的な考え方から、実際のマップの例や作成時のポイントなど役に立つ情報が書かれており、非常に参考になります。
もう一つ、サイト制作で有名なミツエーリンクスのインタラクションデザイナーの方による「なぜなに?ユーザエクスペリエンスマップ」というスライドを紹介します。
(引用元)なぜなに?ユーザエクスペリエンスマップ
このスライドでは、カスタマージャーニーマップ(UXマップ)を使う場面や要素や事例などがわかりやすくまとまっています。
また、カスタマージャーニーマップが「向いていない時」や「ビジネスにおける使いドコロ」など、概念的になりがちなカスタマージャーニーについて、実践に活かすという観点で説明されている点が非常に参考になります。
実際に、カスタマージャーニーマップを作り、活用するためのヒントになる記事
カスタマージャーニーマップを制作する前に、実際の制作手順に沿った実例や制作のステップを参考にすることで取り組みやすくなります。
ここでは、カスタマージャーニーマップの制作手順やポイントがわかる2つの記事をご紹介します。
2時間で作るカスタマージャーニーマップ――実例とともに考える新しい「おもてなし」のカタチ
この記事では、サイト制作で有名な「ロフトワーク」が「パソナキャリア」の新卒採用のためのWebサイトリニューアルに関わった際のカスタマージャーニー作成手順が実例を交えてまとまっていて、とても参考になります。
<記事で説明されている作成手順>
・STEP01 顧客行動の収集
・STEP02 考えていることや感じていることの収集
・STEP03 課題のディスカッション
・STEP04 顧客行動と媒体の清書
・STEP05 課題の抽出
この手順に沿ってワークショップを実施すれば、2時間程度で上記の図のような簡易版のカスタマージャーニーマップが作成することができます。
簡易版ではなく、しっかり調査してカスタマージャーニーマップを作成する場合にはこちらの記事が参考になります。
カスタマージャーニーマップで顧客の心を見つめてサイトを改善、5つの作成ステップと7つの実例
この記事では、サイト制作で有名な「アイ・エム・ジェイ」が実際に活用している社内作成用のパワーポイントのテンプレートもダウンロードできるため、大変参考になります。
こちらの記事で紹介している作成手順は以下の通りです。
カスタマージャーニーマップ作成5つのステップ
1.企画立案
ウェブサービスの機能・コンテンツ検討、キャンペーンなどの企画
2.5W1H分解
ユーザの体験を5W1Hに分解し、利用シーン毎の行動や気持ちを想定する
3.定量調査/定性調査
5W1Hの想定のうち不確かな体験の状況をユーザから引き出し、具体化する
4.ラフマップ化
調査データをもとにメンバーで議論し、ユーザ行動の文脈やモデルを明らかにする
5.マップ化
AS-IS(現状)の行動モデルをマップ化し、関係者との共有・合意形成の場で利用する
「2時間でできる」方のカスタマージャーニーマップの制作方法に比べて、こちらの制作方法では、定性調査や定量調査といった具体的な調査データを参考に作成していくというのが一番大きな違いです。
アンケートやインタビューなどの調査結果を基に、顧客が事実としてどのような体験をしているかを重視することで、よりリアリティがあり施策に直結するカスタマージャーニーマップを作成することができます。
実例:当社でのカスタマージャーニー活用方法とポイント
当社でもカスタマージャーニーマップを作成し、Webマーケティングの改善に活かしています。実際のカスタマージャーニーマップを紹介しながら、活用方法について解説します。
こちらは、中小・ベンチャー企業を対象にリスティング広告を中心としたWebマーケティングによる販促支援をしている当社のカスタマージャーニーマップです。
※施策案の部分は意図的に抽象度を高めています。
これまで解説してきた通り、顧客の行動プロセスを可視化し、接点を洗い出し、思考や感情について整理した上で、改めて施策案を整理しました。
意識したことは、とにかく難しく考えず「できることから、シンプルに」検討ステップを整理するということです。いざ「カスタマージャーニーマップを作ろう」とすると、複雑で難しそうなモノを作ろうとしがちです。そうやって作った場合一時的な達成感は得られますが、その後の活用につながっていかないケースが多いのです。
まず、一度シンプルに作り、社内の関係者間で共有して、実際に顧客に接点を持っている人や顧客へのインタビューを反映し、ブラッシュアップしていくというプロセスが現実的です。
その上で、全体を俯瞰した時に、これまで意識していなかった接点はどこか?強化すべき接点はどこか?その時の顧客の思考や感情はどのようになっているか?ということを施策に落としこむことで、カスタマージャーニーをマーケティングの成果につなげることができます。
当社でも実際にカスタマージャーニーマップを作成し、顧客接点で考えた時に、リスティング広告を検討する際には、「日頃から正しく役に立つ情報を発信している会社に頼みたい」「信頼できる詳しい知り合いから紹介された会社に頼みたい」という心理が明らかになったことから、「自社ブログによる継続的な情報発信していく」という施策を実施しています。(それがこのブログです。)
カスタマージャーニー分析で売上につながるユーザの動きを可視化|シェアNo.1の広告測定ツール AD EBiS
【結論】カスタマージャーニーで、顧客視点でマーケティングを再構築する
カスタマージャーニーは、顧客視点でマーケティングを再構築するための一つの考え方といえます。ここで紹介したことを参考に、ぜひできることから自社にも取り入れてみてください。
必ずや成果につながる新たな発見があることをお約束します。
カスタマージャーニー分析で施策の成果を明らかにするにはシェアNo.1の「AD EBiS」(広告)
アドエビス アドエビスは、シェアNo.1※、導入実績7,000件を超える実績ある広告効果測定システムを中心とした「測定」機能で蓄積されたマーケティングデータをそのまま「活用」し、一気通貫したマーケティングオートメーションを実現。コンバージョンに基づきデータを分析できるため、コンバージョンの内容を詳細にひも解き、貴社のマーケティングにおける課題解決を行います。 カスタマージャーニー分析を使えば、潜在層向けマーケティング施策に接触したユーザーが、接触しなかったユーザーと比べてどのくらい変化があったのか、施策をフローで評価し、成果を明らかにすることが可能です。 サービス詳細はこちら アドエビス ※株式会社シード・プランニングによる「広告効果測定ツール市場調査」調べ※本記事は株式会社ロックオン提供によるスポンサード・コンテンツです。