売上目標を達成し、企業全体の業績を上げるためには、効率の良い営業管理が必要となります。そうした場合、目標や課題を会社全体で共有することが重要です。そこで役立つのが、SFA(SalesForce Automation;営業管理支援システム)です。
SFAツールの導入で得られるメリットは、数多くあります。しかし、利便性や目的などをよく考え、自社に合ったツールを選ばなければ、導入の効果は得られません(参考:SFAツール一覧)。
本記事では、SFAの定義や類似のツールであるCRM・MAとの機能の違いのほか、SFA導入時・導入後の注意点などを成功事例・失敗事例とともに解説しています。また、検索上位30記事の中で、登場回数の多かったSFAツールを5つ紹介していますので、SFA導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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SFAとは
SFA(SalesForce Automation;営業管理支援システム)とは、営業活動をデータ化し、営業の効率化と強化をはかることができるシステムです。 上記の画像は、代表的なSFAツールである、SalesForce (セールスフォース)の管理画面です。このように、SFAツールでは、カレンダー・リード・取引先管理などが一括しておこなうことが可能です。SFAに類似したシステム:CRMとMAとは?
SFAに類似したシステムに、CRM(Customer Relationship Management)とMA(Marketing Automation)があります。 CRMとは、膨大な顧客データをもとに、購買目的などの定性情報を保存する顧客管理システムです。CRMは、従来の顧客データベースにある会社名・部署名などの定量情報に加えて、ニーズや顧客志向などの定性情報も保存管理できるため、サービスの問題点を社内で共有する際に大変役立ちます。SFAが営業活動を管理するためのシステムであるのに対して、CRMは顧客情報の管理をすることで、マーケティング活動をサポートします。 参考:CRMとは?今更聞けない基本とSFA・MAとの違いまとめ MAは、それぞれの顧客に応じたコミュニケーションを実現することで顧客と営業部門の長期的にいい関係を構築する、マーケティングを自動化したシステムです。SFAが営業担当者の業務を効率化することを重視したシステムであるのに対し、MAはマーケティング担当者のサポートを目的として作られています。 参考:マーケティングオートメーションとは?導入前に押さえる3つのポイントを解説SFA・CRM・MAの目的機能
ここでは、SFA・CRM・MAそれぞれの有する機能について、その目的ごとに〇×で表記しています。SFA機能 |
CRM機能 |
MA機能 |
|
レポート・見積作成 | 〇 |
× |
× |
案件管理 | 〇 |
× |
× |
タスク管理 | 〇 |
× |
× |
日報管理 | 〇 |
× |
× |
データ分析 | 〇 |
〇 |
× |
顧客管理 | 〇 |
〇 |
× |
SFAの活用で実現できること
SFAを活用してできることは、営業活動におけるさまざまな情報の一元管理です。おもに、過去の商談結果や現在進行中の案件の進み具合、タスクのスケジュールなどの管理をします。 SFAが担う主な役割は、以下の6つです。- 顧客情報を企業、担当者、案件と紐づけて管理
- 商談の結果など、営業担当者の活動履歴を残す
- 営業日報の管理
- 見込案件の管理
- 見積書や請求書の作成
- 営業活動のデータ分析
SFA導入の3つのメリット
SFA導入のメリットを、3つ解説します。メリット1.営業の改善に役立てられる
SFAの導入により、営業の進捗やフローを管理し、営業の改善ができます。営業担当の社員とその上司が商談の情報をリアルタイムで共有できるため、上司は迅速で的確なアドバイスを与えることができます。メリット2.営業情報を資産として有効に活用できる
SFAに顧客や商談の情報を記録することで、離職・移動などで担当者が変わった場合でも、営業情報を資産として引き継ぐことができます。メリット3.営業情報の分析により営業戦略が立てられる
SFAに入力された営業情報は、表やグラフとして表示できるため分析しやすく、次の営業戦略を立てる際に役立ちます。SFAの導入で成功した事例
SFA導入の成功事例を、2つ紹介します。事例1.ステッドラー日本株式会社:組織的営業体制を構築
背景
ステッドラー日本株式会社は、文具・製図用品・画材を扱うドイツの文具メーカーの日本法人で、日本国内に3つの拠点を持っています。 これまで営業は単独で活動することが多く、上司が営業活動で困っている担当者に素早くアドバイスをする仕組みがなかったため、十分なマネジメントができていませんでした。また、日報・出張報告書などの管理に時間がかかり、業務効率が良くないことも問題点の1つでした。導入状況
SFAの導入と同時にグループウェアとの連動もおこない、「営業の見える化」をはかりました。導入結果
SFAの導入で営業担当者の予定や活動状況がよく見えるようになり、部内の円滑な情報共有が可能となりました。これにより、迅速かつポイントを的確に押さえたコミュニケーションをはかれるようになり、組織的な営業体制の構築に成功しました。 同社の事例については、以下のサイトに詳しく掲載されています。 参考:ステッドラー日本株式会社|導入・成功事例|「SalesForce Assistant」シリーズ事例2.NTTエレクトロニクス株式会社:営業状況の把握と見込の見える化を実現
背景
NTTエレクトロニクス株式会社は、「ブロードバンドネットワーク」「フォトニクス」「デジタル映像」等の分野で事業を展開している企業です。以前は、営業報告・見込値管理・生産管理をすべてエクセルでおこなっていましたが、年間1,500~2,000件も案件があるため、をエクセルで案件管理をおこなうことに限界を感じていました。導入状況
エクセルでの情報管理を撤廃し、SFAで一括管理することにしました。導入結果
営業状況が把握できるようになり、大型案件の管理がスムーズになりました。また、SFAを導入することで案件の実態を正しく把握できるようになったため、見込みの精度が向上しました。さらに、2年分の情報が蓄積されているため、営業方法を振り返ることが可能となり、目標設定・予測などが立てやすくなりました。 同社の事例については、以下のサイトに詳しく掲載されています。 参考:SFA Knowledge Suite(NTTエレクトロニクス株式会社様)|ITトレンドSFAの導入で失敗した事例
SFA導入の失敗事例を、2つ紹介します。失敗事例1:営業担当者が大量のデータを入力しない
SFAを導入しても、大量のデータ入力が営業担当者の負担となり、商談などの情報を入力しないケースがありました。新しい情報が入力されないと、蓄積された情報が古いものばかりになり、業務に活かすことができなくなります。解決策
使い始めは、慣れない操作がかえって負担になるものです。まずは利用頻度の高い最小限の機能だけを使い、操作・運用ともにシンプルにし、徐々に使う機能を増やしていくことをおすすめします。 参考: CRMやSFA導入で失敗する場合の理由|eセールスマネージャー失敗事例2:データを効果的に活用できない
SFAを導入してデータ収集がうまくいっても、そのデータを活用しきれないケースがありました。せっかく集めた情報も、効果的に活用できないと無駄になってしまいます。解決策
集まったデータを効果的に活用するには、どのようにデータを使うのかを事前に決めておくことが重要です。目的を設定することでデータを評価し、改善していくことが可能になります。 参考:営業支援システム(SFA)導入にありがちな4つの失敗事例。失敗しないための秘訣とは|ITトレンドSFAを選ぶうえで知っておくべきことは?
SFAの選び方のポイントを、3つ紹介します。ポイント1.入力の手間が少なく使いやすいか?
営業担当者にとって、使いやすいものを選びましょう。そのためには、自分たちが必要な項目がすべて揃っており、入力の手間が少ないことが重要です。日々の情報入力を面倒だと感じてしまうと、営業担当者の負担が増え、本務である営業に悪影響が及ぶ可能性があります。 入力が選択式のものや、社員ごとにカスタマイズできるシステムを選ぶと便利です。無料トライアルを実施しているシステムは、一度試してから導入を検討するとよいでしょう。ポイント2.必要な機能に対して価格が適切か判断する
導入を検討しているSFAの料金体系が、自社にとって適切かどうかを判断しましょう。料金と必要な機能がマッチしているかが重要です。多くの機能を備えていても、自社が利用しきれなければ、コスト面では無駄になります。 事前に自社の課題を明確にし、どんな機能が必要化を把握しておくことをおすすめします。低コストのシステムでも、SFAとしての機能を最低限備えているものがあります。自社の予算に合った範囲で、必要な機能を備えたシステムを選びましょう。ポイント3.サポート体制が十分か確認する
SFAを導入する際は、ヘルプデスクだけなのか、それとも導入支援まで請け負ってくれるのかなど、サポート体制が十分かどうかを確認しましょう。 SFAが定着してその効果を得られるようになるまでには、試行錯誤が必要となります。そのため、電話での操作質問やシステム障害への対応といったサポートのほか、定着するまで活用支援専任のアドバイザーのサポートが受けられる場合もあります。 導入支援、環境構築、操作説明などのサポートや、導入後のアフターサービスが充実しているツールを選ぶのも、導入を成功させるために重要です。SFAの導入で失敗しないための注意点
SFAは、導入した後の運用がとても重要です。「どのように運用するべきか」を含め、SFAの導入で失敗しないための注意点を、4つ解説します。注意点1.導入前に目的を明確にし、各部署で共有する
SFAを導入する前に、目的を明確にして、各部署で共有しておきましょう。「競合企業が導入しているから遅れをとらないように」など導入すること自体が目的になってしまうと、SFAのメリットを生かすことができません。 また、導入の目的を現場の営業担当者と共有していないと、営業担当者は業務が増えるだけだと認識し、積極的な入力につながらず、SFAを効果的に活用できない可能性もあります。注意点2.運用のためのリーダーを立て、運用ルールを明確にする
SFAを運用するためのリーダーを決め、運用ルールを明確にしたうえで導入しましょう。リーダーは、利用するメンバーが新しいシステムに切り替えることに抵抗感を抱かないように、率先してSFAを運用する必要があります。 また、必ず入力すべき項目と任意で入力する項目や、いつまでに入力するべきかという期限を決めておくことをおすすめします。注意点3.必要な機能を段階的に導入する
最初からすべての機能を導入すると、システムを使いこなすことに時間をとられ、業務に悪影響が及ぶ場合があります。初めは必要最低限の機能だけを導入し、システムに慣れて新たな機能が必要になった時に、随時追加していきましょう。注意点4.運用状況を定期的に確認しながらPDCAを回す
SFAを運用し始めると、システムの使いにくい部分や「もっとこうした方がよい」などの提案が出てきます。実際に利用している営業担当者の声を反映させ、カスタマイズすることによって、より効率的な運用ができるよう改善する必要があります。運用状況を定期的に確認し、その都度PDCAを回しましょう。注目のSFAツール5選
検索上位30記事の中で、登場回数の多かったSFAツールを5つ紹介します(参考:SFAツール一覧)。ツール名 | 特徴 | 価格 | 導入企業 |
Salesforce(セールスフォース)Sales Cloud | ・見積もりや請求のプロセスを自動化 ・営業用のコンポーネントと連携 ・AIなどの技術を最新の状態で利用できる | 初期費用:0円 月額:3,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり | RIZAPグループ、セブン&アイ・ホールディングスなど |
eセールスマネージャーRemix Cloud | ・入力項目が選択肢中心 ・名刺を撮影すれば顧客情報を登録可 ・導入後もオンラインのサポートあり | 初期費用:0円 月額:1,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり | 伊藤園、Panasonicなど |
cyzen(サイゼン) | ・無料トライアルから手厚いサポート ・顧客をイラストアイコンで表示 ・すきま時間で訪問できる顧客を地図で探せる | 初期費用:15万円 月額:800円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり | Leopalace21、SONYなど |
WaWaFrontier(ワワフロンティア) | ・WaWaOfficeシリーズと連携 ・見やすいレイアウト ・個別カスタマイズに対応 | 初期費用:0円 月額:1,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり | リロ・ホールディング、株式会社デンショクなど |
Knowledge Suite(ナレッジスイート) | ・グループウェアやCRMと連携 ・利用できるユーザー数が無制限 ・PC、スマートフォン、タブレットなどに対応 | 初期費用:0円 月額:6,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり | フットマーク株式会社、株式会社東和エンジニアリングなど |
Salesforce(セールスフォース)Sales Cloud
Salesforce(セールスフォース)Sales Cloud特徴
- 見積もりや請求に関わるプロセスを自動化
- 営業用のコンポーネントと連携可
- AIなどの技術を最新の状態で利用できる
- オプションで、導入支援・ツール定着までの手厚いサポートあり
価格
初期費用:0円 月額:3,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり導入企業
RIZAPグループ、セブン&アイ・ホールディングスなど。eセールスマネージャーRemix Cloud
eセールスマネージャーRemix Cloud特徴
- 入力項目が選択肢中心
- 名刺を撮影するだけで顧客情報を登録可
- 導入後も専任チームがオンラインサポート
価格
初期費用:0円 月額:1,000円/1ユーザー~ ※無料トライアルあり導入企業
伊藤園、Panasonicなど4,500社以上。cyzen(サイゼン)
cyzen(サイゼン)特徴
- 無料トライアルから手厚いサポート
- 顧客をイラストアイコンでわかりやすく表示
- すきま時間で訪問できる顧客を地図で探せる
- オプションで、導入サポート・利用者トレーニングのサポートあり
価格
初期費用:15万円 月額:800円/1ユーザー~ ※30日間の無料トライアルあり、申し込みは10ユーザー単位導入企業
Leopalace21、SONYなど1,300社程度。WaWaFrontier(ワワフロンティア)
WaWaFrontier(ワワフロンティア)特徴
- WaWaOfficeシリーズと簡単に連携可能
- 見やすいレイアウトで入力しやすい
- 自社に合った個別カスタマイズに対応
- 導入後にオンラインで相談できるサポートデスクあり
価格
初期費用:0円 月額:1,000円/1ユーザー~ ※14日間の無料トライアルあり導入企業
リロ・ホールディング、株式会社デンショクなど。Knowledge Suite(ナレッジスイート)
Knowledge Suite(ナレッジスイート)特徴
- グループウェアやCRMと連携
- 利用できるユーザー数が無制限
- PC、スマートフォン、タブレットなどいくつものデバイスに対応
- ユーザーサポートページを開設しており、操作マニュアルなどを確認できる