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電子帳簿保存法をわかりやすく解説!活用メリットと申請の流れ

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「電子帳簿保存法の申請をしないと青色申告特別控除が55万円になってしまうの?」 「電子帳簿保存法の申請を予定しているものの、2020年10月の改正など含めよく分からない部分が多くなかなか準備が進まない」 このような悩みを抱えているのではないでしょうか? 本記事では電子帳簿保存法の概要から申請方法、申請後の経理処理に関するポイントや改正内容まで1つ1つ丁寧に解説します。電子帳簿保存法とは何か、意味や電子保存できる項目などについて参考にしてみてください。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿書類に関する保存や管理方法について定めた法律です。マイナンバーカードやリモートワークをはじめ、さまざまな点で電子化へ向けた動きが加速しています。 それでは、電子化に関する法律について確認していきましょう。

1998年に制定された国税帳簿書類の電子保存に関する法律

電子帳簿保存法は1998年に制定された法律で、国税を納めるために必要な帳簿書類をデータに変換し保存することを認めています。主にデータでの保存管理方法や手順、保存期間についても定めているのが特徴です。

申請手続き後は過去の書類も電子化可能

帳簿書類をデータ化して保存管理する場合は、電子帳簿保存法に沿って申請手続きを行う必要があります。 申請手続きは、保存承認申請書や保存管理システムの概要に関する書類、その他保管書類を税務署長へ提出します。なお、保存承認申請書や記載例については、国税庁のホームページでも確認可能です。 そして承認を受けた後は、今後作成する帳簿書類のデータ化や保存、これまでに作成した紙媒体の帳簿書類もデータへ変換することを認めています。

データとして保存できる書類は帳簿類や決算関係の書類など幅広い

電子帳簿保存法では、データとして保存できる書類も明確に定めています。次に挙げる書類が、データ化と保存管理も認められています。
  • 帳簿類
  • 決算関係
  • 契約書
  • 領収書
  • 注文や請求書
  • 検品・検収書
総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳といった帳簿類の他にもデータとして保存管理できるのが、電子帳簿保存法の大きな特徴です。

タイムスタンプによる保存が必要

電子帳簿保存法では、紙書類をスキャンしデータ化したものついてタイムスタンプによる保存を必要としています。タイムスタンプは、年月日や時刻などを示した電子印鑑のようなものです。 ただし、2020年の法改正では、タイムスタンプなしでもスキャンしたデータを保存管理することを認める内容へ変わっています。詳しくは次の項目で解説します。

2019年・2020年の電子帳簿保存法改正について

電子帳簿保存法は、2005年、2019年に改正を行いました。さらに、2020年10月にも改正されています。2019年、2020年の改正内容は以下のとおりです。

2019年9月の改正内容

2019年9月の改正では、個人事業主の申請要件や申請前のスキャンおよび保存、重要書類の入力期間などについて変更しています。 通常、電子帳簿保存法の申請手続きは、国税関係帳簿の電子保存に関するシステムを整える3ヶ月前までに行わなければいけません。しかし2019年の改正後では、新たに個人事業主として事業を始める場合、事業開始日から2ヶ月以内であれば申請手続きできるようになりました。 紙書類のスキャンおよび保存については、申請手続き前であっても一定の要件を満たすとデータで管理できるよう緩和しました。 さらに請求書や領収書など、国税庁長官が定める物や資金の流れに関連する書類の入力期間は、受領後1週間以内からおおむね7営業日以内へ変更しています。

2020年10月1日の改正内容

2020年10月1日の改正内容の主なポイントは2点です。 1つは、これまで不正防止の一環として領収書などのデータに付与していたタイムスタンプを、要件を満たしたデータであれば付与不要となった点です。 もう1つは、利用明細などのデータを紙の領収書の代わりとして活用できるようになった点です。これにより、紙による経費処理を省略できるようになりました。

電子帳簿保存法の活用メリット

電子帳簿保存法の申請手続きを行い、国税帳簿書類をデータ化するメリットは複数存在します。まだ、メリットについて把握していない企業は、ここでデータ化およびデータによる保存管理のメリットを確認しておきましょう。

紙書類の削減によるスペース確保・コスト削減

電子帳簿保存法では、総勘定元帳や仕訳帳、現金出納帳といった帳簿類をはじめ、損益計算書や貸借対照表などの決算関係の書類、領収書や請求書などをデータ化して保存管理、活用することを認めています。 そのため紙書類を削減できるようになり、社内の保管スペースも増やせます。さらに各種書類の購入コストも抑えられるのが特徴です。

印刷や手書きなどの手間を省略できる

帳簿類や決算関係、契約書類を1枚1枚管理したり記述したりといった作業は、時間と手間がかかります。また、パソコンで注文書や検品書、請求書を作成および印刷する方法では、せっかくパソコンで効率よく作成しているにもかかわらず、印刷時間や印刷後の書類確認など余計な手間とコストもかかってしまいます。 電子帳簿保存法ではデータの状態で活用でき、印刷や手書きの手間、書類整理や写しの管理といった作業を省略可能です。

過去データを探しやすく作業効率化につながる

一般的にデータは番号や日付、種類ごとに区分できますし、新しい・古い日付順に瞬時に並べ替えて検索できます。 紙書類の場合は、日付や番号、ファイルごとに分けていても目的の書類を見つけるために1つ1つ確認しなければいけません。さらに、間違って別のファイルへ書類を保管してしまった場合、再度全ての書類も確認しなければいけません。 業務を効率化するためにも、帳簿類のデータ化はメリットのある選択です。

物理的な盗難や紛失、劣化を抑えられる

紙での書類は、物理的な盗難や紛失、虫やカビなどによる劣化といったリスクもあります。そのため、保管スペースや管理方法を工夫しなければいけません。 電子帳簿の場合は、少なくとも物理的な盗難や紛失を避けられます。ただし、ハッキングやデータ消失といったリスクも発生するので、セキュリティソフトの導入は必要です。

電子帳簿保存法のデメリット

経理の業務効率化やコスト削減などメリットの多い電子帳簿保存法ですが、デメリットもいくつかあります。取り入れる際にはデメリットも理解し、慎重に検討しましょう。

対応している会計ソフトが少ない

電子帳簿保存法では、手続きの申請に加えて会計ソフト(主要簿の会計)を導入しなければいけません。 電子帳簿保存法の要件を満たさない会計ソフトの利用による電子保存の誤りを避ける目的で、「電子帳簿ソフト法的要件認証制度」が立ち上げられました。この認証を受けた会計ソフトを使った場合のみ、電子帳簿保存法での対応が可能となっています。 2020年10月時点では、たとえば以下のような会計ソフトが認証を受けています。
  • やよいの青色申告20
  • みんなの青色申告
  • 会計王
  • MX3クラウド
  • 戦略財務情報システム(FX2)
  • e21まいスター
参考:電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧 freeeやMFクラウド会計などは現時点では対象外です。対応ソフトの数については今後増える可能性があるので、使いやすいソフトを見極めて慎重に選びましょう。 なお、電子帳簿保存法の要件を満たした会計ソフトは、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証済みですので、公式ホームページやパッケージに記載している「JIIMA」の認証マークから判断できます。

導入時に申請手続きなど手間がかかる

電子帳簿保存法を申請し、承認を受けるには書類手続きや「関係書類等の備付け」の準備などに手間もかかります。 「関係書類等の備付け」は、会計システムなど電子化に関連するシステムに不備や不正が起きないよう、ルール作りに関する書類を指します。社内規定およびルールに近い内容で、自社で1から作成しなければいけない部分もあります。 会計ソフトを導入し、国税庁のホームページからダウンロードした申請書類に必要事項を記入して提出するだけでは認められません。 国税庁のホームページでは作成例を公開しているので、参考にしながら業務フローやルールに関する書類を作成できます。

電子帳簿保存法申請後に守らない場合の罰則

電子帳簿保存法には、罰則規定も定められているので違反しないよう注意も必要です。ここでは、帳簿類の保存に不備が生じた場合の、罰則規定について解説します。

帳簿類を保存していないと青色申告の承認取り消しなどのリスクが生じる

電子化した主要簿や決算関係の書類は、7年間保管しなければいけません。しかし、7年を経過せず廃棄してしまうと、青色申告の承認取り消しや所属税法違反などさまざまなリスクも生じます。 その他、電子帳簿保存法の適用要件である訂正や削除といった履歴内容を確認できる機能、取引年月日で検索できる保存状況を準備していない場合も、電子帳簿保存法違反となってしまいます。会計ソフトを選ぶ際は、先述したとおりJIIMA認証のものであるかを必ず確認しましょう。

電子帳簿保存法の罰則事例

2020年10月時点で電子帳簿保存法の罰則事例は確認できていません。しかし、今後さらに導入企業が増え、電子帳簿保存法が普及していけば、違反企業が出てくることも考えられるでしょう。

電子帳簿保存法の申請方法

ここからは、電子帳簿保存法への申請方法と流れについて解説します。

承認申請書類などを準備し必要事項を記入

まずは承認申請書類を始め、いくつかの書類を準備します。主な必要書類は、国税庁ホームページによると以下の通りです。
  • 電子帳簿保存法の承認申請書
  • 国税帳簿類の作成などが可能なシステム概要を示した書類1部
  • 国税帳簿類の作成などが可能なシステムに関する、事務手続きの概要を示した書類1部
  • 各申請書の項目を補完する書類
申請承認書には事業所所在地や代表者氏名の他、電子化する書類の種類やシステムや端末の概要、プラグラム名、財務省の定める要件に関する措置について記述します。 電子帳簿保存法の承認申請書は、以下国税庁ホームページから確認およびダウンロードできます。申請書の記載例も以下のページより確認が可能です。

税務署へ持参もしくは送付

各書類に必要事項を記述し、書類を作成した後は、管轄の税務署へ持参もしくは送付します。なお、持参する場合は、税務署の稼働している平日8時30分~17時までに行いましょう。 書類提出後は、税務署が要件を満たしているか書面にて審査し、問題がなければみなし承認(※)となります。 ※みなし承認:税務署から直接連絡が来るわけではなく、却下の連絡がなければ承認されたものとみなされます

電子システムによる帳簿作業

みなし承認日以降は、帳簿類や決算書類などのスキャンや保存、管理作業が可能です。ただし、今後税務調査の際に要件に沿って保存管理しているかは細かく審査されます。 電子システムによる帳簿作業を行う時は、承認取り消しとならないよう電子帳簿保存法および法改正後の要件に沿ってデータ管理や保存を行うのが大切です。

経理・会計担当者がおさえておくべきポイント

最後に、経理・会計担当者が帳簿類の電子化に対応する際、押さえておくべきポイントについて解説していきます。

単に会計ソフトを導入するだけでなく0から運用ルール作りが必要

電子帳簿保存法を適用してもらうには、電子帳簿保存法の要件を満たした会計ソフトの導入に加えて、運用ルールおよび関連書類の作成も必要です。 たとえば会計ソフトのシステム概要や仕様、会計処理の流れや具体的な処理方法のマニュアル、ソフトの操作方法などを書類にまとめて申請時に提出しなければいけません。

提出期限や可視性の確保

電子帳簿保存法は、電子保存を行う3ヶ月前の前日までに申請を行う必要があります。そのため、提出日とシステムの運用日については事前に確認しておきましょう。 さらに承認を受けた後は、不正な編集やデータの消失などを防止するためにも即検証可能な状態、そしてデータをすぐに確認できるよう日々ファイル整理しておくことも大切です。 電子化は便利で楽な機能ですが、適切な管理を怠れば承認取り消しなどのリスクも高まります。

会計システムとプリンターの連携も重要

電子帳簿保存法の申請が通ったとしても、人的リソースやこれまでの事務処理の関係から即全ての手続きを電子化できないのではないでしょうか。さらに、短期間で社内のシステムを全て入れ替えると、大きな費用もかかるためコスト面でも難しいところです。 たとえば帳簿類のデータ化が可能になった後も、会計システムとプリンターは連携しておき、徐々に紙書類を減少できるよう余地を残しておくのもポイントです。

まとめ

電子帳簿保存法は、帳簿類や決算関係の書類、その他契約書、請求書、注文書、検収書などを電子化した場合の運用ルールなどを定めた法令です。 申請には既定の承認申請書に必要事項を記入したり、システムを導入したりと手間とコストもかかります。しかし、業務効率化という点ではメリットも多く、スピーディに会計処理や情報整理が可能となります。 電子帳簿保存法の申請を検討している企業は、電子帳簿保存法の概要に加えて2019年や2020年の法改正も確認した上で、準備を始めてみてください。

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