リスティング広告は、あらゆる広告手法の中で最も費用対効果が良い手法と言われています。しかし、実は一部相性の悪い商品・サービスが存在するため、もし相性が悪い場合には、事前の対策やリスティング広告以外の手法を検討する必要があります。
本記事では、当社の2,500社以上のリスティング広告運用実績から、リスティング広告と相性が悪い商品・サービスの中でも典型的な5パターンについて、傾向と対策を整理しました。
※本記事は無料でダウンロードできる「リスティング広告初心者向けのガイドブック」より、一部抜粋し再構成した記事です。
※本記事は2014年12月12日に公開された記事を再編集したものです。
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リスティング広告と相性が悪い商品・サービス、典型的な5パターン
まず、最初に結論を言うと、以下の5パターンはリスティング広告と相性が悪いと言えます。
・ニーズ型商品かつ、ブランドが弱い
・全く同じ商品が他にあり、優位性が無い
・利益が小さく、リピートも期待できない
・未認知の新ジャンル
・Web上のゴール(CV地点)が未設定
もちろん、対策をすれば効果を出すことが可能ですので、リスティング広告をやってはいけない、という意味ではありません。しかし、実施する場合には、注意が必要です。 具体例と理由・対策をまとめたものが以下の表です。
(補足)ニーズ型は欠乏感を満たしたいという欲求、ウォンツ型は商品名など具体的な対象への欲求
上記の表に「ニーズ型商品」という言葉が出てきているので先に補足しておきます。ユーザの欠乏感を充足したいという欲求をニーズ型、商品名など具体的な対象をイメージした欲求をウォンツ型と呼んでいます。例えば、「喉が渇いたので潤したい」というのはニーズで、「スーパードライを飲みたい」というのはウォンツです。 ウォンツに応える商品は、欲求が明確なため売りやすい反面、サイト訪問後のコミュニケーションによる改善余地は小さいです。一方でニーズに応える商品は売りづらい反面、サイト訪問後のコミュニケーションによる改善余地は大きいという傾向があります。リスティング広告を実施する際には、ニーズ型商品なのか、ウォンツ型商品なのかを区別して考えることがとても重要です。相性が悪い1:ニーズ型商品で、ブランドが弱いもの
ニーズ型商品とは先程説明した通り、ユーザに満たしたい欲求(ニーズ)はあるものの、具体的な対象のイメージ(ウォンツ)が弱いものです。具体的には、食品やアパレルや雑貨などのファッション系、家具・インテリアなどです。 例えば、「何か甘いものが食べたい」というニーズはあっても、特定の何かが食べたいという具体的なウォンツがない場合には、複数商品の集まるモールの中で探そうという行動が自然です。自社の商品名などで検索される可能性は低く、リスティング広告に向いているとは言えません。具体的な商品
食品、ファッション、家具、インテリアなど対策案:モール出店をして自社のブランドを高めることを優先すべき
店舗や商品にブランドがあれば、ウォンツ型に近づくので、リスティングも有効ですが、ブランドも弱い無名の食品や洋服などは、まずはモール出店で顧客を増やし店舗や商品のブランドを高めていくことを優先すべきです。相性が悪い2:全く同じ商品が他社にあり、優位性が無い
当たり前ではありますが、他社で全く同じ商品を扱っていて優位性がない場合には、リスティングでも売れません。ネット通販は場所や空間を超えて比較されます。具体的な商品
本、CD、iPhone 、エビアン(水)、コカ・コーラ、ニンテンドー3DSなど対策案:値下げや特典など比較優位性を作ってからリスティング広告を実施する
逆に優位性が明確な場合、例えば明らかに他社よりも価格が安い場合や、在庫が自社にしかない場合などは、リスティングで売りやすいです。この考え方を応用して、特定の商品を大幅値下げして顧客に一度買ってもらいユーザ登録で接点を作るという戦略があります。一度接点を作り、そこからメールなどでリピートにつながるコミュニケーションを取っていくことで、優位性を持つことができます。とにかく、他社でも売っている商品は比較優位性がなければ売れない、という事はしっかり押さえてください。
相性が悪い3:利益が小さく、かつリピート前提でもないもの
こちらも当たり前ですが、1回あたりの購買による利益が小さくて、リピート購入も期待できない場合、リスティングの広告費が赤字になってしまいます。
具体的な商品
ひとつ100円の商品など
対策案:1回あたりの購買単価やリピートによるLTVなどを設計した上で実施
具体的には、リピート購入からの収益を期待しない前提だと、1販売あたりの許容広告費用が1000円未満の場合、難しいと考えてください。(CVRのレートを高めに設定し5%、平均CPCの最低を50円と計算しています。)
これまでチラシや看板広告をやっていて効果が出ないので、ネット販売やリスティング広告をやりたい、という店舗の担当者の方など、「広告」という感覚が強い場合には、このような明らかに赤字になってしまうオーダーをいただくケースもありますので、念のため確認しておいてください。
相性が悪い4:ブランドもカテゴリも認知されていない、全くの新サービス・新商材
これまで世の中になかった新機軸の商品、サービスは、商品名どころか商品が属するカテゴリさえも、認知されていないので、キーワードで検索という行動が期待できません。したがって、リスティング広告とは相性が悪いと言えます。
具体的な商品
未知なるウェアラブルデバイスなど
対策案:検索連動には向かないが、コンテンツ向け広告には相性が良い
リスティング広告とは相性が悪いですが、「コンテンツ向け広告」(ディスプレイネットワーク広告)のように、受動的なユーザにもアプローチできる広告であれば効果が期待できるため、相性が良いと言えます。
(参考)「検索連動広告」と「コンテンツ向け広告」
リスティング広告には、2つの種類があります。検索連動型広告とコンテンツ向け広告です。本記事では一般的に効果の出しやすい「検索連動型」について触れています。詳細については以下記事も参考にしてみてください。
検索連動型広告とは│リスティングとの違いと低リスクのはじめ方
ディスプレイ広告を手堅く始める為の3ステップ
相性が悪い5:Web上のゴール(CV地点)が設定できていない場合
商品、サービスではありませんが、Web上にゴールを設定できていない場合も、そのままリスティング広告を実施するのは危険と言えます。なぜなら、リスティング広告の最大の特徴である、「運用しながら改善する」という強みが活かせないためです。
具体的な店舗
店舗誘導が目的のレストラン、大半が電話予約の歯医者など
対策案:暫定でも良いのでWeb上のゴールを設定してから実施
リスティング広告を開始する前に、必ずWeb上のゴールを設定しましょう。来店誘導であれば地図ページの到達数、電話予約の場合は、電話予約用の注意事項などのページを新設して、そのページの到達数など、実際のビジネス成果との相関性がありそうなページへの到達をWeb上のゴールと設定しましょう。
まとめ:漫然とリスティング広告を実施するのではなく、商品・サービスの特性を踏まえた最適な手法を選択する
いかがでしょうか?もちろん上記に当てはまるからと言って、必ず失敗するというわけではありません。ただし、一工夫がないと失敗しやすいというのは事実です。漫然とリスティング広告を実施するのではなく、実施前に自社の商品・サービスの特性を理解し、しっかり作戦を練ってから相性のよい手法を活用することをおすすめします。
なお、本記事の内容は、無料でダウンロードできるリスティング広告初心者向けの資料「リスティング広告スタートアップガイド」より抜粋したものです。「リスティング広告スタートアップガイド」では、リスティング広告の小手先のテクニックだけではなく、リスティング広告以前の上流の考え方も数多く紹介しています。
もし、ご興味をお持ち頂けたら、無料でダウンロードできますので、ぜひ入手してお読みください。