マーケティングの成功には「顧客視点」が重要、とよく言われます。
しかし「顧客視点」と言われても、具体的にどういうことなのかよくわからず、もやもやしていませんか?
実は、顧客視点を理解できると、マーケティングの成功にグッと近づきます。
私も顧客視点を理解してからWebマーケティングのコンサルタントとして成果を連発できるようになりました。
今回は、「顧客視点とは何か?」をわかりやすく理解できるマーケティング成功事例と、顧客視点を持つための手法を紹介します。
ぜひ、顧客視点を身につけて、マーケティングの成功に活かしてください。
[toc]※本記事は株式会社ポップインサイト提供によるスポンサード・コンテンツです。 ※本記事は2014年4月7日に公開された記事をLISKUL編集部にて再編集したものです。
似ているようで全然違う!顧客視点とお客様の声
「顧客視点が足りない」と言われると、アンケートリサーチを実施して「顧客の意見」を集めようとしがちですが、それは顧客視点について間違った理解をしています。
お客様の声と顧客視点は似ているようで全く違います。
なぜなら、顧客は自分の真のニーズを言語化できないからです。
どういうことか、具体的な事例で見て行きましょう。
【事例1】食器メーカーのグループインタビューの事例
お客様の声と顧客視点の違いをわかりやすく説明している事例を書籍から引用して説明します。
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ある食器メーカーが「次に買うとしたらどんなお皿がいいか」というテーマで主婦5人にグループインタビューをした。
参加者はデザイン案・経験談をもとに討議を進め、最終的には「これまでとは違う、オシャレでカッコイイ黒い四角いお皿」という意見でまとまった。
インタビュー協力のお礼に、食器サンプルの中からどれでも好きなモノを1つだけ持って帰って良いことに。
参加者全員が持って帰ったのは、結局「白い丸い皿」だった。
白い丸いお皿を持って帰ろうとした理由を尋ねると「4人家族なので、1枚だけ黒いお皿をもらっても仕方がない」「家にあるお皿の多くは丸いお皿。四角いお皿だと食器棚に並べることができなさそう」という現実的な理由が得られた。
-引用元:ユーザ中心ウェブサイト戦略 武井由紀子
(http://www.amazon.co.jp/dp/4797333529)
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さて、お客様の声と実際の行動、どちらが信用できそうでしょうか。
お客様の声である「黒くて四角い皿」よりも、実際に持って帰った「白くて丸い皿」が顧客視点から導かれた真のニーズと言えるのではないでしょうか。
この違いが、お客様の声と顧客視点の違いだと言えます。
顧客視点を得るのに有効な「ユーザテスト」
お客様の声を聞くのではなく、顧客の行動を観察することが顧客視点につながります。 顧客のWeb上の行動を観察する「ユーザテスト」は顧客視点を得るために有効な手法の1つです。最近では、安価かつ手軽にユーザテストが試せるようになってきています。早速試してみても良いでしょう。 参考:1分で始められるリモートユーザテスト「ユーザテストExpress」【事例2】セブンゴールド
セブン-イレブンのトップである、鈴木敏文氏もその著書の中で、顧客の立場に立つことの重要性を重ねて説いています。
「食パンの概念を変えた」「流通の常識を変えた」と言われているセブンゴールド 金の食パンも、顧客の意見ではなく、顧客視点から生まれた商品です。
その著書からの引用を見てみましょう。
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そこで、いまいるお客様に「どのような新しい商品がほしいか」、アンケートをとってみればいいかというと、アンケート結果は狭い範囲に限られ、それだけを見ても新しいものは生まれません。現代の消費者は「いまはないもの」については答えられないからです。
金の食パンにしても、「一斤二百五十円の高級食パンをコンビニで買いますか」と事前にお客様に質問していたら、「イエス」と答えた人がどれだけいたでしょうか。しかし、発売された金の食パンが大好評を得たのは前述したとおりです。
-引用元:売る力 心をつかむ仕事術 (文春新書 939) 鈴木 敏文
(http://www.amazon.co.jp/dp/4166609394)
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【事例3】マクドナルドのメガマック・クォーターパウンダー
日本マクドナルドHDの会長で、最近ベネッセ社長に就任した原田泳幸氏も、その著書の中で、「リサーチで企画するな」と主張しています。
大ヒットとなった「メガマック」や「クォーターパウンダー」もリサーチの結果ではなく、顧客の期待をどのように変えていくかという視点で生まれた商品です。
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例えばお客様に「どんな商品が欲しいですか」とアンケート調査をすると、必ず「低カロリー」とか「オーガニック」とか「ヘルシー」とか、健康重視のメニューが挙がります。
ところが、4枚のパティが入ったメガマックを発売しても、クォーターパウンダーを発売しても、若い女性が平気でメガマックやクォーターパウンダーを食べているわけです。すなわち、お客様のおっしゃることと、実際の行動は全く違うということです。つまりお客様の希望ばかりを聞いて、その通りにしていてはダメなのです。
-引用元:勝ち続ける経営 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論
(http://www.amazon.co.jp/dp/4023310166)
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提供者視点から顧客視点に変えることが成功のカギ
顧客視点の意味が理解できたら、実際に活用していけば成果につながっていきます。
しかし、慣れないうちは、本当の顧客視点ではなく、提供者の思い込みによる「なんちゃって顧客視点」になっているケースが多く、提供者視点のままになっているケースが非常に多いです。
成功のカギは提供者視点から、顧客視点に変えることにあります。
提供者視点から顧客視点に変えたことで成功した事例を見ながら理解を深めていきましょう。
【事例4】保険見積サイトで顧客視点を取り入れて成功した例
保険見積サイトで実際にあった事例です。
保険見積サイトでは複数の保険会社から一括して見積依頼ができるサービスを提供しています。
見込顧客は最適な保険を見つけるために「多くの会社の見積が欲しい」と思っているはず、と考えて、提携する保険会社の多さを全面に押し出した訴求をしていました。
成果に伸び悩んでいたため、実際の顧客にサイトを使ってもらう調査をしたところ、「見積りが沢山来ても鬱陶しい」ので、「主要な2~3社の見積りが欲しい」と思っていることがわかりました。
この発見に基づき、「数社を厳選して紹介」という訴求を前面に出すことで大幅な成果UPを実現しました。
【事例5】婚活サービスで30代未婚女性の視点で成功した例
ある婚活サービスで30代の未婚女性に向けた訴求について大幅に成果を改善した事例です。
30代で婚活サービスを探している未婚女性は「これまでの失敗経験などから、自分に自信がない、そんな自分を変えたい」と思っているはずと考えて、「自分磨きサポート」を前面に押し出した訴求をしていたが、成果が伸び悩んでいました。
実際の顧客にサイト使ってみてもらうと、「表面的なテクニックではなく、素の自分を認めて欲しい」と思っていることがわかり「あなたを理解し、寄り添い、真の魅力を引き出す」という訴求に変えたところ、大きく成果が上がりました。
【事例6】リスティング広告での訴求を顧客視点に変えて効果3倍
あるBtoB向けのITツールで顧客視点を取り入れてリスティング広告からの成果を3倍にした事例です。
改善前は、他社との差別化を意識した独自の機能を前面に押し出した訴求をしていたものの成果が伸び悩んでいました。
実際に検討する見込顧客の行動を観察すると、「設定の手間」を気にしていることがわかりました。すでに類似ツールを使っている顧客は実際に使うときの手間が膨大で、時間がかかっているという悩み事があったのです。
そこで、「時間短縮」「業務効率」改善という訴求に変更しました。
検索結果のリスティング広告文を見ると、ほとんどの企業が「低価格」か「高機能」を打ち出している中、「時間短縮」の訴求は独自であり、そのツール事態も時間短縮につながる機能を持っていたことから、リスティング広告から獲得できた成果も3倍になりました。
このように、歴史が古く競合が激しいITツールになると機能開発が進み、差別化という名目で「たしかに他社には無いが、顧客にとって大きな違いにならない機能」を大きく訴求しているケースが目立ちます。
顧客視点に立つと、このような悪いケースに陥らず、成果につなげることができます。
顧客視点を得るためのアプローチ手法を紹介
では実際に顧客視点を持つためには、どのようなアプローチをすれば良いでしょうか。参考になりそうなアプローチを事例と共に紹介します。
【事例7】顧客の行動観察
「発想する会社」として有名なIDEOが得意とするユーザ行動観察調査が参考になります。
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もし、あなたが地下鉄にコンサルとして雇われ、「自動販売機(ジュースとか)の売り上げを上げて欲しい?」と頼まれたら、どうしますか?(中略)
まず、IDEOが採用した調査手法。
もうこの時点で他社とはかなり違うことがわかると思います。
地下鉄のホームへへばりつき、自販機を買う人、買わない人の行動をとにかく観察し続ける
24時間張り込み刑事(注:デカと読んでください)みたいなやり方(汗)ですが、これがIDEOが得意とするユーザ行動観察調査です。
そうすると、面白いことに
・ 地下鉄を歩いている人は、電車の待ち時間をみんな気にしている
・ 自販機で物を買う人も、買う直前に(多分ジュースを飲む合間があるか)時間をチェックしている
なんてことが分かったそうです。
人間の行動の中から、こういった特徴を抽出するのは決して簡単ではないかもしれませんが、言われてみれば「なるほど」という感じ。
そこで 「じゃぁ、時間をチェックする時計と自販機をセットにして置いたら、購買が促進できるのでは?」という仮説にたどりついたわけです。
-引用元:地下鉄の自販機の売り上げをアップさせた、IDEOのユニークな行動観察調査手法Feel Like A Fallinstar
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顧客の行動を徹底的に観察すること。地味ですが、これが最も効果がありそうな手段ですね。
【事例8】顧客インタビューでは「行動のなぜ」を聞く
ウェブサイトの改善の現場では、実際に顧客にインタビューをしてサイト改善をしている事例もあります。ボタンの1文字を変えただけで、コンバージョンが上がったという事例をユーザビリティ改善で有名なビービットのコラムを引用します。
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今回は、弊社で行った生命保険のウェブサイトにおける行動観察調査を事例に、「ユーザに クリックしてもらいやすいコンバージョンボタンのあり方」をご紹介します。(中略)
ボタンの文言を「相談予約」としていた場合、ユーザは「営業マンと自分がマンツーマンで 相談する」というイメージを抱きました。このため、「営業マンの質問に対し、自分からも何か話さないといけないのではないか」と感じた結果、「やっぱり面倒だ」という反応を引き出してしまっていました。
一方で、「相談会予約」という文言だと、「大勢の顧客と一緒に相談会に参加する」という イメージを抱いたため、「まずは相手の話を座学形式で聞くだけでよい」と感じ、コンバージョンに つなげることができたのです。
-引用元:ユーザ心理を捉えてコンバージョンボタンの文言を(ユーザビリティ実践メモ)
(http://www.bebit.co.jp/memo/2012/08/post_204.html)
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この様にウェブサイトでも行動観察調査をすることで、顧客視点を得られます。その際に注意すべきことは、顧客の行動に対して「なぜ、そのような行動を取ったか?」を聞くことです。
行動観察ができない場合にも、意見を聞くのではなく、過去の行動を振り返ってもらい、その行動の理由を聞くことで顧客視点を理解しやすくなるでしょう。
【事例9】顧客になりきって行動してみる~認知的ウォークスルー
顧客視点を得るために、自分自身が顧客になりきって行動してみるのも有効です。「認知的ウォークスルー」という手法を意識して使うことで顧客視点を得やすくなります。
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認知的ウォークスルーは、ユーザビリティ・インスペクション(ユーザビリティ評価)の手法の1つで、テストルームで行うユーザビリティテストなどとは異なり、実際のユーザを使わずに専門家による分析的評価を行う方法です。
-引用元:認知的ウォークスルー(DESIGN IT! w/LOVE)
(http://www.bebit.co.jp/memo/2012/08/post_204.html)
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実際に弊社でウォーターサーバーのランディングページを作った時の事例です。
クライアントのオリエンを踏まえて、価格の優位性があるということで価格を重点的に訴求したランディングページを作成していました。
しかし、自分が実際に検討するとして認知的ウォークスルーをしてみると、数十円の価格差はあまり気にならず、それよりもウォーターサーバーのデザインや大きさが気になることがわかりました。
これはあくまで特定のユーザにおける視点ですが、ランディングページの作り手になると容易に提供者視点になってしまうこと、また意識的に顧客になりきってみることで、顧客視点を取り戻すことができるという事例です。
【結論】顧客視点がマーケティング成功のカギ
これまで見てきたとおり、マーケティング成功のカギは顧客視点の理解にあります。
提供者の視点や顧客の意見に惑わされず、顧客視点に立脚したマーケティング施策ができているかどうか改めてチェックしてみてください。
これまで顧客視点が足りないマーケティング施策をしていたとしたら、今すぐ取り組み方を変えることをおすすめします。
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