あなたは「ブランディングってなに?」と聞かれて、自信を持って答えられるでしょうか?
マーケティングに関わる人はよく聞く言葉だと思いますが、人によって理解が違っていることも多く、ちゃんと他人に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
ブランディングは、正しくおこなうことで長期的な利益を得られる、企業の飛躍にとってとても重要な戦略です。しかし、そもそもブランディングを正しく理解できていないと、間違ったことに時間とお金と労力を割くことになってしまいます。
この記事では「ブランドの定義」を理解し、ブランディングとはどういうものなのか、どのようにするのかを要約してご紹介します。
※本記事はニフティ株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。 ※本記事は2014年5月26日に公開された記事をLISKUL編集部にて再編集したものです。
1. ブランディングとは
簡単に言うと、「共通のイメージをユーザーに持たせる手法の総称」です。
名前、ロゴ、コピー、ポジショニングや製品デザインなどはすべて、あるブランドに対して共通のイメージを持たせる手法=ブランディングのひとつです。
2. ブランドの起源
ブランドは元々、自分の家畜などに焼印で印をつけて、他所の家畜と区別するためにできたものと言われています。
起源を基に考えれば、ブランドとは「区別するためのもの」とも言えます。
3. ブランドの定義
ブランドとは、「ユーザーが持っている共通のイメージ」「実態のない価値」の事で、ユーザーに共通のイメージを持たせたり、実態のない価値を与える方法がブランディングです。
4. ユーザーにとってのブランドの役割
(1)購買までの時間やコストを節減する「識別」の役割
例:「ハンバーガー」ではなく「マクドナルド買いに行こう」
(2)購買リスクの低減・回避に役立つ「品質保証」の役割
例:「日本製なら大丈夫だろう」
(3)ブランドイメージを自己表現の手段にする「意味づけ」の役割
例:金持ちに見られたくてグッチやロレックスを身に付ける
5. 企業にとってのブランドの役割
(1)競合との差異化
例:「オシャレなコンピュータ」と聞いて、Apple製品を思い浮かべる
(2)顧客のロイヤルティによる長期安定的な売り上げ確保
例:今のMacBook Airが壊れても、またApple製品を買おう
(3)プロモーションへの依存を減らし、プレミアム(上乗せ)価格による利益増加
例:スターバックス
→TVCMなどは一切やっていないが、ほとんどの人が知っている
→競合に比べて価格は割高なのに、驚異的なリピート率
6. ブランディングを怠るとどうなるのか
ブランディングができていない場合に陥りやすいのが「価格競争」です。
ブランディングによる差別化や顧客ロイヤルティの醸成ができてない企業が、もっとも簡単に顧客を呼ぶ方法は、価格を下げることだからです。
しかし、価格を下げることで利益率が低下するので、コスト削減・効率化を進めて利益率を担保しようとします。
そして多くの企業が、一番分かりやすくて直接売上に影響しにくい「プロモーション費の削減」を進めることが多いのですが、プロモーション費を削ることで新規顧客を呼ぶ力は弱まります。そして、緩やかに市場シェアは下がり、シェアを拡大するためにまた価格を下げると言う負のスパイラルが発生し、自社の成長は阻害されます。
負のスパイラルによって成長が阻害されている間にも、競合はシェアを伸 ばすために、あの手この手で迫ってくるので、内的な“負の力”と外的な圧力により、市場のシェアはどんどん低下していきます。
これが、ブランディングが正しくされていない企業で起きていることです。
負のスパイラルに陥らない様に、ブランドによって顧客を呼び込み、ブランドによって顧客を離さない力を得るために、ブランディングが必要なのです。
7. ブランディングで企業が得られるもの
ブランディングによって、企業の調達力が強化されます。
「調達力」には様々な意味があり、売上、人材、資金、販路、取引先など、経営に必要な要素の調達が容易になります。
ある住宅資材メーカーの例ですが、自社製品のTVCMを初めておこなったところ、それまで新規営業先では門前払いだったのものが、「あー、あのテレビでやってる会社の・・・」となって新規営業がしやすくなったり、製品の認知が広まったことで、その製品が入っているマンションは入居率が高くなり、住宅メーカーから注文が殺到したそうです。
人材採用に関しても、テレビで知名度が上がったことで、自社のイメージを理解した優秀な人材が志望してくるようになり、人材の確保にも大きく貢献したということです。
また、自社製品がブランド化されたことで社内の士気が上がり、社員のモチベーションアップにも効果が見られました。
このように、ブランディングによって共通のイメージが認知されることで、調達力の強化が期待されるのです。
8. ブランディングを実施する前に
実際にブランディングをおこなう上で、まずブランドを構成する要素を理解する必要があります。
ブランドの構成要素は下図の様なピラミッドで表すことができます。
ブランドアイデンティティ
普遍的なブランド価値やイメージで、時代や状況によって変わらないもの。
抽象的ブランドメディア
ブランド・アイデンティティを少し具体化した「コード」「スタイル」と言われる抽象的なメディア。
「コード」とは、ブランド・アイデンティティを言葉で表したもので、コピーや社是、スローガンなどがこれに該当します。
(例:Appleの❝Think Different❞など)
「スタイル」とは、ブランド・アイデンティティを目に見える形で表したもので、製品デザインのコンセプトなどのことです。
(例:無印良品の一貫してシンプルなデザインなど)
可視的ブランドメディア
「コード」や「スタイル」をTVCMなどのクリエイティブに落とし込んだ可視的なメディアです。
クリエイティブ作成時には制作会社選びに気を付ける
ブランドを意識したクリエイティブを作成する際には、「どれだけ自社の持つブランドイメージを伝えられるか」と、「どれだけクリエイティブに落とし込めるか」が重要です。 制作会社の中には、安く早く制作物を仕上げるのが得意な会社もあれば、じっくりとヒアリングを行ったうえで修正を重ねて仕上げていく会社もあります。 制作会社を選ぶ際には、ブランドを意識したクリエイティブ作成の実績や、作成の流れや修正回数などの情報を必ず確認しましょう。 最近では無料で自社にあった制作会社を紹介してもらえるサービスなどもあるので、制作会社を選んでいる方は参考にしてみると良いかもしれません。 参考:無料で自社に合う制作会社が見つかる/Web販促の窓口9. ブランディングの手順
ブランディングをおこなう手順を簡単に紹介いたします。
状況によって実際の手順は様々ですが、おおよそはこのように進んでいきます。
ターゲットユーザーとポジショニングを決める
まずは環境分析を行います。
環境分析には3C分析、SWOT分析、PEST分析などのフレームワークがあるので、それに沿って自社や競合の強み・弱みや置かれている環境、競合との差異、顧客のニーズを明文化し、参入する市場や製品カテゴリ、ターゲットユーザーなど、「戦う場所」を決めていきます。
「3C分析のあとにSWOT分析をして~」みたいに綺麗に進んでいくことは稀で、3C分析やSWOT分析など色々なフレームを行ったり来たりしながら、少しずつ環境分析を進めていくことが多いです。
環境分析は、その後の戦略などのベースになるものなので、抜け漏れがないように進めていきましょう。
ブランド・アイデンティティを決める
環境分析をもとに戦う場所を決めたら、ターゲットユーザーがブランドに対してどんなイメージを持ってほしいか、どんな価値を提供したいかなどのブランドコンセプト=ブランド・アイデンティティを決めます。
ブランド・アイデンティティを決める作業は、そのブランドがどんな武器を持っているかを明文化する作業と言えます。
アイデンティティをコードとスタイルに落とし込む
アイデンティティをもとに、コピーやデザインなど可視的メディアの源泉となるもの(コードとスタイル)を決めていきます。
コードとスタイルを決める作業は、持っている武器の中からなにで戦うかを決める作業と言えます。
多くの企業は、制作会社や広告代理店などに委託したり、一緒に考えたりすることが多いようです。
アイデンティティの可視化
クリエイティブ作成とメディア選定
コードとスタイルをもとにクリエイティブを作成して、発信するメディアを選定していきます。
クリエイティブの作成やメディアの選定は、選んだ武器でどう戦うかを決める作業と言えます。
TVCMなどの動画メディア、雑誌のような紙媒体など、メディアによってユーザー特性や予算なども変わるので、コミュニケーションの方法も変わります。
メディアの選定は、ターゲットユーザーに効果的にアプローチできるかどうかを基準に選びましょう。
多くの企業は、広告代理店にプランニングしてもらうことが多いようです。
10.ブランドの資産価値
ブランディングの効果やブランドの価値を測る基準として、下記4つの価値があります。
(1)ブランド・ロイヤルティ
顧客のブランドに対する忠誠度のことです。
例:スポーツシューズならやっぱりNIKEだ
(2)ブランド認知
ブランドの名前が顧客に認識され、親しみやイメージを持たれることです。
例:マクドナルドの新メニューだ、期間限定かな
(3)知覚品質
顧客が思っているそのブランドの品質のことです。
例:SONYの製品なら品質に問題ないだろう
(4)ブランド連想
顧客がブランドに対して、心に抱いたイメージすべてを言います。
例:レクサス=高級車、成功者、特別な車、など
これらのブランド資産のことを「ブランド・エクイティ」と言い、ブランドに対する顧客の潜在的なイメージが、企業にとっては重要な資産になると言う考え方です。
ブランド・エクイティの働きとして、顧客に対しては、購入の意思決定や信頼感、使用時の満足感を与え、企業にとってはプロモーションコストの削減や競合への優位性などが得られます。
ブランド・エクイティを計測することで、ブランディング施策やブランドの価値を可視化することができます。
11.ブランドの評価
ブランディング施策やブランド価値の評価は非常に難しく、様々な定義やアウトプットが存在するため、多くの企業は、どれが良いのか分からず、何となくやっているケースも多いようです。
専門的な知識が必要な領域のため、リサーチ会社などに委託する企業が多い様です。
ブランド評価をする時にもっとも重要なのは、「何を知りたいか」を明確にすることです。
ブランド評価に関しては、そのテーマだけを扱った本が出ているくらい内容が濃いので、ここでは一般的に利用されているブランド価値の評価方法について、簡単に紹介いたします。
顧客ベースブランドメトリクス
顧客の態度、意見、考え方や捉え方などに、ブランディングがどの程度影響したかを評価する方法で、広告代理店からリサーチ会社まで、広く使われている評価手法です。
データを基に統計的に態度変容を計測する定量的な方法や、グループインタビューなどの定性的な調査があります。
大手代理店やリサーチ会社は、この考え方をもとにした独自の手法を持っていることが多いそうです。
ブランド増分売上
過去数年の売上データなどをもとに、ブランドが売上に寄与したであろう数字を定量的に評価する方法で、リサーチ業界で定着している手法です。
「マーケティングミックス・モデル」と「予測式モデル」があり、前者は過去のマーケティング活動が売上や利益に貢献した度合、後者はこれからのマーケティング活動が近い将来の売上や利益に貢献するであろう度合を推測する方法です。
ブランド事業価値バリュエーション
先の二つが「ブランド投資額に対するリターン」を評価する方法なのに対して、この方法は、ブランドを、企業が保有する資産とした場合の経済価値を計測する方法です。
評価には3段階あり、ロゴや名前など商標権を資産として評価する「商標権のバリュエーション」。
それに加えて、色や香り、広告などの要素を含めて評価する「ブランド・バリュエーション」。
さらに企業の組織そのものや、組織文化、従業員や顧客への体験価値などを含めて評価する「ブランド事業価値バリュエーション」があります。
まとめ
ブランディングとは「ユーザーに共通のイメージを持たせる手法の総称」です。
ブランドが顧客に提供できる価値を、「誰に」「どこで」「どのように」伝えるかを考えて、顧客の気持ちとブランドのイメージを繋げることがブランディングの本質です。
ブランディングの評価は複雑で難しいですが、ブランディングを正しく行うことで、市場シェア、経営に必要な要素の調達力、長期的な利益を得ることができるので、目先の売上だけを追うのではなく、長期的な戦略に基づいて投資をおこなっていきましょう。
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