自分たちの商品やサービスには、絶対の自信がある。興味をもってくれるであろうユーザーのイメージも、すでに絞り込めている。
ただ……「どうやってこの商品のよさを知ってもらえばいいか、わからない!」と、マーケティングの難しさに頭を抱えている企業の方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな課題と向き合い続け、試行錯誤を重ねること4年。月間の販売数が10,000個にせまるヒット化粧品を生み出した、株式会社ファーストフレンズの事例をご紹介します。
競争の厳しい美容品のインターネット通販市場において、どのようにWebを活用し、結果につなげたのでしょうか。同社代表取締役の中沢仁さんにお話を伺いました。
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レッドオーシャンな美容品市場に挑むも、はじめての商品売上は「半年で3個」
株式会社ファーストフレンズ 2012年、 ファーストフレンズとして最初のチャレンジは、前途多難だったといいます。半年の時間をかけて自社開発したはじめての商品、オールインワンタイプの美容保湿ジェル「薬用アットベリー」。当初、中沢さんは「1日1個売れてくれればいい」と想定していました。しかし……。中沢さん:正直、はじめは全く売れなかったんです。発売から半年の間で、販売できたのはたった3個。どうしたら売上につながるか、試行錯誤する日々がはじまりました。実はファーストフレンズでは、もともと小規模な事業のWeb集客や運営のサポートを手がけていました。そこからもう一歩、新たな世界に踏み込むためにはじめたのが、通販事業。自社で開発した商品をインターネット通販でユーザーに届けるところまで、一気通貫で取り組もうとしたのです。 あえて競争の激しい美容品市場を選んだのは、「その方が刺激がありそうだったから」。
中沢さん:どうせなら、市場が大きいところで勝負したかった。競合相手もたくさんいた方が、モチベーションも上がるじゃないですか。さらに美容業界で、女性が元気に、そして笑顔になれるような商品を作って届けたいと考えたんです。いきなり立ちはだかった大きなハードルを超えるべく、ファーストフレンズの模索がはじまりました。
ユーザー目線に立った訴求ポイントへの転換により、じわじわと売上目標を達成
ひとすじの光が見えたのは、アットベリー販売開始から半年後のこと。数ある商品の訴求ポイントを思い切ってぐっと絞り、多くのユーザーが抱えているであろう悩みの一つに、ダイレクトに訴えかけることにしたのです。 商品のコピーを変え、販売用のランディングページやWeb広告を展開すると、ようやく商品が売れはじめました。ちなみに当時は、中沢さん自身がWebマーケティング全般を手がけていたそうです。 1年かけて、どうにか目標にしていた「1日1個」が売れる状態に到達。その後、4年の間に4つの商品を開発し、次々と世に送り出してきました。中沢さん:4商品ともヒットらしいヒットにはつながりませんでしたが、さまざまなマーケティングの施策を試しながら、小さな失敗や成功を重ねることができました。そこで少しずつノウハウを蓄積し、5つ目の商品を企画・開発するときには、「これは売れる!」という確信をもつことができたんです。
自信をもって開発した新商品、はじめて外部のWebマーケティング専門家とタッグを組む
大事なのは、ユーザーが抱えている“悩み”をピンポイントに解決すること。あらゆる試行錯誤の末、同社がたどり着いたのは、「イボのぽつぽつやざらざら肌をケアするクリーム」でした。 「クリアポロン」と名付けたこの新商品、中沢さんはこれまで以上の規模で、販売を強化しようと考えます。 そこで声をかけたのが、ソウルドアウトでした。Web周りの広告戦略は外部のパートナーに任せ、自分たちは商品を売ることに集中しよう、と。中沢さんは打合せに訪れた営業担当の金子史人 に対し、「とにかく、どんどん攻めてほしい」とオーダーします。商品完成後、2017年8月のことでした。中沢さん:夏に販売数が伸びるのはわかっていましたからね。リスティング広告の予算を確保して、金子さんに相談しました。そこで彼から、いきなりターゲットを絞って広告展開をするのではなく、まずは「イボのぽつぽつやざらざらした肌をケアできる」という認知を広げた方がいい、と提案を受けて。 確かにそうだと思い、その場で即決してお願いすることにしたんです。そもそも、首などにできてしまうイボを解決できると知らない人が多いため、検索する人がほとんどいないと言われて、その通りだと思いました。
月間10,000個の販売を達成。想像を超えるヒット商品をどう販売したのか
化粧品関連でリスティング広告を出稿しようとすると、クリック単価は300~500円と相場は高め。そのうえ「クリアポロン」の場合、対象となるのが「イボによる肌のぽつぽつやざらざら」と非常にニッチなもの。商品に関するキーワードを検索するユーザーは少ないことが想定できました。 しかしバナー広告であれば、クリック単価は30~50円まで下がります。そのためバナー広告で潜在的にアプローチし、認知を広げたあとにターゲティングしていく手法をとりました。 すると商品に対する自信を裏打ちするかのように、広告を展開してすぐ、結果が出はじめます。開始2ヵ月で、なんと約2,000個の売り上げ。その勢いは止まらず、約10,000個を売り上げる月も出てきました。これには中沢さんも驚いたそう。 ただし、その勝因はWeb広告だけではありません。金子は「クリアポロン」の躍進を支えた要因の一つに、ファーストフレンズが作るランディングページのクオリティの高さがあったと考えています。金子:ランディングページの文章作成を、外注先に任せてしまうところがありますが、ファーストフレンズさんは、社内のメンバーで作成されています。 ユーザーが困っていることや悩んでいることを一番理解している商品を販売している社内の人。ユーザーを理解している人が作成するのは重要だと思いますね。ファーストフレンズさんはユーザーの反応を見ながら、何十回、何百回と細かい修正を日々重ねている。それが結果につながったのだと思います。いくらWeb広告で集客してきても、最終的に目に触れるランディングページがしっかり作ら れていなければ離脱につながってしまいますからね。 美活コスメ「クリアポロン」 「自分たちは“お客様”ではない。だから自分が判断するのではなく、お客様がどう思うかを考えよう」。 これは中沢さんがいつも、社員のみなさんに対して伝えていることだといいます。商品を開発するときも、それを販売するための戦略を練るときも、常に「自分がどうしたいか」ではなく、「お客様がどう思うか」を考えること。 今回は、そうしたスタンスで作られたランディングページと、Webで展開した広告戦略が相乗効果を上げたと言えます。
後にひしめく競合商品。変化し続ける美容品通販市場で戦っていくために
「クリアポロン」は現在も、順調に売り上げを伸ばしています。肌の露出が増える時期と比べると、秋冬は売り上げが落ち着く傾向があるため、次の勝負は来年の春から。2年目に向けて、同社では次の広告展開を検討しているところだそうです。 今年、主に展開してきたのは、短期的な成果を見込んだダイレクトマーケティングでした。しかし「クリアポロン」が類似商品における市場シェアのトップに食い込もうとしている今、中沢さんと金子は“次の戦い方”が必要だと考えています。 今後、市場には類似の機能をもつ3番手、4番手の商品が出てくるでしょう。そこで市場シェアを維持していくために、今度は長期的なブランドコミュニケーションが必要となってくるのです。中沢さん:「クリアポロン」の販売に力を入れつつ、実はすでに次の商品もいくつか開発中なんです。当社の商品を通して目指したいのは、女性たちが抱える悩みを解消し、一人でも多くのお客様を笑顔にすること。引き続き、私たちの商品をみなさまに届けていきたいと思っています。