マーケティング用語を勉強しているときに「STP分析」という用語に出会ったが、意味がよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
STP分析は決して難しくありませんが、頭では理解していても、なかなか実践できる人はそう多くありません。だからこそ、STP分析を意識するだけでも大きな差となりえます。
この記事ではSTP分析の定義や実際におこなうときの手順や注意点について解説します。また、STP分析をおこなって成功した事例についても紹介しているため、どんな職種の人にも、ビジネスのヒントなる考え方があるでしょう。
本記事を参考に、戦略を意識したビジネスに挑んでみてください。
STP分析とは
STP分析は、ターゲットとなる市場や客層を絞り込み、自社の立ち位置を把握して競争優位を確保するという分析手法で、マーケティングにおける初期フェーズにサービス内容・価格などを決めるときに効果を発揮します。おまけ
STP分析はフィリップ・コトラーが提唱した、マーケティング戦略を立てる際に使うフレームワークの一つです。 STPは「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の英語の頭文字を取った略語です。以下では、それぞれの意味を解説します。市場を細分化する「セグメンテーション(Segmentation)」
セグメンテーション(Segmentation)は、「市場細分化」のことです。市場を地域・年齢・価値観などの変数で切り分けて細分化します。 コンビニエンスストアの場合は、市場を「オフィス街」と「住宅街」に分け、それぞれのセグメントによって商品を選別しています。市場を決定する「ターゲティング(Targeting)」
ターゲティング(Targeting)は、「標的市場の選定」のことです。細分化した市場の中でどこが自社のターゲットにふさわしいかを決めます。 オフィス街のコンビニエンスストアの場合は、「ランチを買いに来る20~30代OL」などがターゲットとなります。自社の立ち位置を決定する「ポジショニング(Positioning)」
ポジショニング(Positioning)は、「ターゲットとする標準市場内における、自社の商品・サービスの立ち位置を決定すること」です。競合他社と自社の立ち位置を明確にし、マーケティング戦略を考えます。 例えば、セブンイレブンが始めた「1杯100円で挽き立てのコーヒー」は、「低価格で手軽に飲める本格的なコーヒー」としてポジショニングしています。 他にも以下のような事例があります。- レッドブルは「ゼロをプラスにし、力を発揮したいときに飲むもの」という立ち位置で、「マイナスをゼロとする」というポジショニングの他の疲労回復飲料との差別化をはかりました。
- 資生堂シーブリーズは元々「20~30代男性が海で使用する」というポジショニングでしたが、海に行く人が少なくなった背景から「女子高生が日常シーンで使用する商品」にポジショニングを変更し、売上アップにつながりました。
STP分析により自社に有利なポジションを見つける
STP分析の目的は、自社の優位性を確保できる有利なポジションを見つけ出すことです。 消費者のライフスタイルや志向の変化はもちろん、競合他社の新技術開発や業界内での大きな吸収合併など、さまざまな要因によって市場は変化しています。このようにビジネスの環境が変化する中では、継続して同じマーケティング戦略を実行していても売上は伸びません。 そこで、環境の変化に応じて自社の商品・サービスの強みやターゲット層を把握し、新たなアプローチを考えることが必要になります。 その際にSTP分析をすれば、競争環境が変化する中でも常に自社の優位性を確保できるポジションを見つけ出し、最適なマーケティング戦略を立案できます。STP分析を実施する手順
STP分析では「セグメンテーション」・「ターゲティング」・「ポジショニング」の3つの作業をおこないます。ステップ1.セグメンテーション
最初は「セグメンテーション」です。これは市場を細分化するという作業です。市場を細分化する基準としては主に以下の4つの軸があります。- 地理的軸:地理的変数(地域、都市規模、人口規模など)
- 人口統計的軸:人口動態変数(年齢、性別、家族の人数、所得、職業など)
- 心理的軸:心理的変数(ライフスタイル、性格など)
- 行動面の軸:行動変数(新規かリピーターか、使用頻度、購買意欲の程度など)