業務の効率化をおこなうにあたり、人事評価システムを導入することになったものの、どんなサービスがあるのか知らない。システムの違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、人事評価システムについての説明から、導入するメリット・選ぶ際の基準までを説明します。さらに、おすすめのシステムについて6個と無料で使えるサービスとして、Excelの活用方法についても紹介しています。
人事評価システムにはどんなものがあるのかを把握し、自社に合ったシステムを導入しましょう。
人事評価システムとは
「人事評価システム」とは、より公平な人事評価を、より効率的にできる環境を構築するシステムです。評価の公平性が担保されることで、従業員が仕事で成果を出すことに真剣に向き合えますし、効率化によって、人事部門の負担を減らすことができます。
近年では、日本企業でも「成果主義」を取り入れる企業が増えてきました。
成果主義で評価される基準は、当然のことながら仕事で成果を出しているか?に尽きます。つまり、成果が上がれば社内評価が上がりますが、逆に成果が出せないと、いくら頑張っていても評価が上がりません。
このときに問題となるのが、頑張っているにもかかわらず、適正な評価が行われていないと社員が感じてしまうことです。不満が解消されなければ、モチベーションが低下し、生産性が低下していきます。
このような事態を避けるために有効なのが「人事評価システム」の導入です。人事が、従業員の評価をより公平に判断できるようになり、従業員の満足度が上がります。また、人事側も、効率的に業務ができるようになることで、全社的な生産性が向上していきます。
人事評価システムが普及した背景
日本では「終身雇用」が当たり前という時代が長く続きました。つまり、従来の人事評価は勤続年数や年齢を基準とする「年功序列制」でした。しかしながら最近では、「成果主義」を取り入れる企業が多くなり、人事評価の方法も大きく変化しています。
成果主義で評価をするために、「人事評価システム」を導入することで公正な評価が行うことによって、社員の満足度や会社の生産力が向上することにつながるのです。
人事評価システムで、主にできることは以下のとおりです。
- 社員評価を一元管理
- 社員の経歴・評価をシステム上で見られる
- 人工知能・ビッグデータ解析などの最新のIT技術による科学的な分析・評価
- アンケート調査などによる社員の不満の聞き取り
人事評価システム活用を検討するなら
人事評価システムには無料のものと、有料のものがあります。人事評価システムの導入を検討されている方のために導入するメリットと選ぶ基準、そしてスコアリングした結果、おすすめのシステム6個について説明します。参考にしてください。
人事評価システムを導入するメリット
人事評価システムを導入するメリットを3つ紹介します。
公正な評価ができる
人事評価システムの導入により、公正な評価ができるようになります。人事評価システムを導入する際には、自社における明確な評価基準や目標を必ず設定する必要があります。その基準にのっとって、システムにより各社員の実績データが分析されるので、公正な評価が可能となります。単純に人との比較をする絶対評価ではなく、成果・取り組む姿勢などを評価項目へ取り入れることで実績を正しく評価できるので、社員にとっては納得のいく評価となるでしょう。
人事評価システムでは、複数人でデータを共有できるので、偏りのない評価を実施できることも公正な評価につながります。
社員の成長とモチベーションの向上
人事評価システムを導入することは、社員の成長とモチベーションの向上につながります。ほとんどのシステムでは人事評価の「見える化」をおこなっています。社員が、自分は不当な評価をされていないか、評価が公正に行われているかなどを自分で確認することができます。公正な評価により、評価に対する社員の不満が解消され、モチベーションが向上します。
評価するだけではなく、個人のスキル・潜在能力なども把握できます。スキル不足のポイントや仕事上の問題点を明確化にすることで、社員のさらなる成長が期待できます。
作業の効率化と低コスト化
システムを導入していない場合の人事評価は、データをExcelなどで管理し、印刷した評価シートを上司に配布・回収を行うなど、非常に面倒な作業を必要とします。
これらをシステム化することで、Excelなどにより管理されていた評価データは簡単に集計・分析できるようになるので、作業の効率化がはかれます。作業の効率化による人件費の削減・ペーパーレス化により低コスト化が図れます。
人事評価システムを選ぶ際の基準
人事評価システムを選ぶ際の基準について3つ紹介します。自社に合ったシステムを検討するために、導入する際に注意すべきポイントを理解しましょう。
自社にマッチした機能を備えているか
自社にマッチした機能を備えているかを確認しましょう。人事評価システムを導入しようとする目的を明確にした上でシステムを選ぶことが大切です。自社の人事評価についての課題点を抽出し、それらを解決できる機能が何かを把握した後で、選ぶことをおすすめします。
自社の課題を解決できそうなシステムの候補をいくつかあげ、できる事とできない事を箇条書きし、照らし合わせるとよいでしょう。
利用者の目的に応じて、使いやすいものになっているか
人事評価システムにはさまざまな機能があります。何をしたいかを明確にした上で選ぶとよいでしょう。
- 上司と部下で定期的な振り返り面談をおこなうときに使いたい
社員の経歴・評価・スキル・目標などが閲覧できるシステムを選ぶとよいでしょう。
上司が変わっても、面談を行う社員について、過去にさかのぼって簡単に調べられるので、スムーズに面談が行えます。
- 全社的に不満がないか調べたい
社員に対するアンケート調査のできるシステムを選びましょう。
社員の満足度を調査することで、会社の問題点を見出せます。
- ツール利用だけでなく、人事コンサルのサービスもあわせて利用したい
評価するだけではなく、人事制度なども含めてトータルでサポートしてもらえるシステムを探している方には、人事コンサルティングも合わせてできるシステムをおすすめします。
現状の調査・分析だけにとどまらず、社内の等級・報酬・評価の制度設計から制度導入のための社員研修までトータルでサポートしてもらえます。
導入費用・運用費用が適切か?
導入費用・運用費用が自社にとって適切な価格であるかの確認をしましょう。システムによっては導入費用無料のものもあります。運営費用もシステムによりさまざまです。システムの特徴をよく調べた上で、自社の予算で導入できるサービスを見つけてください。
費用等については非公開のシステムも多いので、複数のシステムの資料請求・見積もり・デモの依頼をした上で、検討されることをおすすめします。
人事評価システム6個を比較
人事評価システムを紹介している既存のサイトを調査し、出現頻度をスコアリングしました。出現頻度の高い順に掲載しているので、この記事を読めば効率よく良質な人事評価システムを見つけることができます。
会社名 |
機能・特徴 |
目的 |
導入・運用費用 |
カオナビ |
直感的な操作性を備え社員全員で利用可。スマートフォンにも対応 |
毎月の面談記録をアーカイブし、振り返り面談を行いたい |
29,800円/月~
※初期費用なし、無料デモあり |
評価ポイント |
簡単・シンプルにアンケート設定と回答ができる |
評価だけではなく、社員に対するアンケート調査を行いたい |
7,000円/月~
※初期費用 50,000円~ |
MBO Cloud |
社員の目標達成の進捗状況を見える化でき、カスタマイズも可能 |
社員個人の目標を、経営目標や部門目標と連動させて管理したい |
非公開 |
MINAGINE |
評価プロセスをクラウドで一元管理、ベンチャー・中小企業向けテンプレートもあり |
自社の成長や組織変更に合わせて柔軟にカスタマイズしたい |
10,000円/月~
※初期費用200,000円 |
Smart Company |
人事履歴情報を一元化し「人材の見える化」を支援 |
従業員一人ひとりを個別把握し、適所への配置や育成を行いたい |
非公開 |
人事部門・経営層をふくむ社員全員が直感的に利用できる「カオナビ」
カオナビ
機能・特徴
- 顔写真が並ぶ画面で直感的に使える
- 毎月の面談記録がアーカイブでき、振り返り面談ができる
- 社員アンケートが簡単操作に実施できる
- スマートフォン対応で、出先でもデータの確認ができる
- 人事部門・経営層をふくむ社員全員で利用できる
利用者・目的
人事部門:面談データを有効活用したい
価格
- データベースプラン:29,800円/月~
- パフォーマンスプラン:44,700円/月~
- スタラテジープラン:59,600円/月~
※初期費用なし、無料デモあり
導入実績
エイベックスを始めとした1,000社以上
簡単・シンプルにアンケート設定と回答ができる「評価ポイント」
評価ポイント
機能・特徴
- 簡単・シンプルにアンケート設定と回答ができる
- 「LINE WORKS」/LINE/Slack/チャットワークなどのSNSと連携できる
- 管理者のポイント付与をリアルタイムに見られる
- 貯まったポイントは社内通貨・商品などと交換できる
利用者・目的
人事部門:評価だけではなく、社員に対するアンケート調査も簡単に実施したい
価格
初期費用:50,000円~
運営費用:7,000円/月~
導入実績
株式会社HASを始めとした100社以上
MBO Cloud
機能・特徴
- 社内全員(社員・人事・経営者)が参加できるプラットフォーム
- 直感的に使える操作性
- 社員個人の目標を、経営目標や部門目標と連動させることができる
- 社員の目標達成の進捗状況を見える化できる
- 柔軟にカスタマイズできる
利用者・目的
管理職・人事部門:社員の目標管理と進捗状況を経営目標や部門目標と連動させて管理したい
価格
要見積もり
※デモ申込み可
導入実績
日本KFCホールディングス株式会社、マルコメ株式会社など
人事コンサルティングのノウハウを凝縮「MINAGINE」
MINAGINE
機能・特徴
- 目標設定や評価システムをクラウドで一元管理できる
- 自社の成長・組織変更に合わせてカスタマイズできる
- ベンチャー・中小企業向けに特化した評価項目のテンプレートがある
- 権限ごとの記入・提出・配布が可能である
利用者・目的
管理職・人事部門:ベンチャー・中小企業にあった評価システムを導入したい
価格
初期費用:200,000円
運営費用:10,000円/月~
導入実績
株式会社ビルテックなど
多様なモジュールの組み合わせで、人事情報を一元管理「Smart Company」
Smart Company
機能・特徴
- 人事履歴情報を一元化し「人材の見える化」が行える
- オンプレミス・クラウドの2通りから選べる
- ERPシステムや人事給与システムと連携できる
- モジュール単位で購入でき、段階的にシステムを拡張できる
利用者・目的
人事部門:従業員一人ひとりを個別把握し、適所への配置や育成を行いたい
価格
要見積もり
※導入方式、管理対象人数および導入モジュールにより変動
導入実績
日立金属株式会社、国土交通省など
スマホやPCで社員のモチベーションを簡単に収集「タレントパレット」
タレントパレット
機能・特徴
- スマホやPCで社員のモチベーションを簡単に収集
- アンケート設計で従業員満足度調査ができる
- 自社に合わせた柔軟なカスタマイズ可
- 目標達成にかかった時間、達成感をリアルタイムに見える化
利用者・目的
人事部門:人材データを活用して、社員のモチベーション管理や離職の防止をしたい
価格
要見積もり
※無料デモ・無料体験あり
導入実績
株式会社イオン銀行、株式会社KDDIエボルバなど
無料で人事評価を始めるならExcelの活用がおすすめ
Excelを利用すると無料で人事評価を行えます。Excelのテンプレートを配布しているサイトもあるので、参考にしてください。
Excel活用のメリット
- システムの導入が必要なく、無料で簡単に利用開始できる
- 自由にカスタマイズできる
Excel活用のデメリット
- 複数人で共有できない
- データが複数シートにまたがるなど一元管理ができない
- 評価シートを配布するための印刷コストがかかる
- 担当が代わると、上手く更新・活用できにくい
参考:
人事評価シートとは?無料エクセルテンプレート | 書き方・注意点 | ボクシルマガジン
まとめ
終身雇用制から成果主義に変化してきている現在、注目されてきている人事評価システムについて解説してきました。人事評価システムの導入により、公正な評価を効率的に行うことができ、会社の業績の向上が期待できます。
導入する際には、なにを重要視するかで選ぶシステムは変わってきます。この記事を参考にして、導入の目的・予算・操作性・メンテナンス・サポートなどをよく検討し、目的にあったものを選ぶようにしましょう。
参考