近頃RPAという言葉を耳にするようになったと感じる方は多いのではないでしょうか。働き方改革や人手不足を解決する手段として、自社の業務を効率化させたいと考える企業は増えています。
本記事では、RPAで何ができるのか、RPAを導入するメリットや、実際に導入した事例などを紹介していきます。RPAへの理解を深めて、自社の業務効率化を実現するために、ぜひ参考にしてみてください。
参考:RPAツール徹底比較10選!自分の会社に最適な業務自動化システムとは?
RPAとは?
RPA(Robotic Process Automation)とは、バックオフィス業務などをはじめとするホワイトカラー業務をソフトウェアに組み込まれたロボットが代行する取り組み、およびその概念を指します。RPAには3段階ある
RPAを利用した業務にはclass1からclass3まで3段階あり、それぞれRPA、EPA、CAと呼びます。それぞれできる業務の内容や範囲などに違いがあり、クラスが上がるほど複雑な機能に対応できます。class1:RPA(Robotic Process Automation)
class1と呼ばれるRPAは、定型業務をミスなく的確に遂行する、またいくつかのアプリケーション連携が必要とされる単純作業に対応します。人事・経理・総務・情報システムなどのバックオフィスの事務・管理業務や、販売管理や経費処理などに使われています。class2:EPA(Enhanced Process Automation)
class2と呼ばれるEPAは、データの収集や分析に対応できます。自由記述式アンケートの集計やログ解析、複数要因を加味した売上予測など、様々なデータを基にした分析を自動化する処理に用いられます。class3:CA(Cognitive Automation)
class3であるCAはRPAにAIのような自律的な判断力を備えたもので、プロセスの分析や改善、意思決定までを自動化するとともに、ディープラーニングや自然言語処理まで対応できるものもあります。膨大なデータの整理・分析だけでなく、得られたデータを生かした経営改善などにも活用できます。AIとの違い
RPAとAIはよく混同されますが、この2つには違いがあります。RPAは標準化されているルール通りに、ミスなく正確に業務を遂行します。ただし、あくまで人間が指示をしなければならず、RPA自体が「意思決定する」ことはできません。 これに対してAIには学習能力があり、ここが大きな相違点となります。指示したことのみを行うRPAとは違い、蓄積されたデータを分析し、見直し・改善するためのルールを自ら判断することができます。RPAブームの社会的背景
次にRPAが注目されている社会的背景についてご説明します。働き方改革の推進
RPAブームの背景のひとつとして働き方改革の推進があげられます。「生産年齢人口の減少」「働く人のニーズの多様化」を解決するために、就業機会を拡大し、意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題となっています。 RPAを活用して複雑な作業を自動化することにより、単純業務をミスなく効率的にできるようにし、一人あたりの生産性を高める狙いがあります。 参考: 「働き方改革」の実現に向けて|厚生労働省労働環境の変化
また、RPAブームの背景には、日本の超高齢化社会による人手不足が考えられます。 日本では人口が2053年に1億人を割り、2065年には8,808万人になると推計されています。生産年齢人口が減少する中で生産力を高める手段として注目されているのが、RPAなのです。2017年の調査によると、日本国内では14.1%の企業がRPAを導入済み、6.3%は導入中と回答しています。また19.1%の企業がRPAの導入を検討していると回答しました。 RPAのみならず、日本企業で業務効率向上のためにIT化やロボット導入を検討することは、必然と言えます。 参考: RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)|総務省 ガートナー、RPAに関する調査結果を発表|ガートナー ジャナパン株式会社RPAを導入の3つのメリット
RPAを導入することによって、企業が得られるメリットを3つご紹介します。メリット1:業務の効率化
RPAを導入することで、業務の効率化がはかれます。RPAは人間とは異なり、24時間365日休みなく稼動できます。単純作業を全てRPAに任せることで、人間はコニュニケーションが必要とされる仕事や、クリエイティブな仕事に集中できます。 業務のすみ分けを最適化することにより、効率的に業務が行えるようになり、よりクオリティの高い仕事が実現します。メリット2:コストの削減
企業経営の中で経費の大きな部分を占めているのが、人件費と言われています。RPAを導入することで、コストを削減できます。複数の人間で行っていた単純作業をRPAが代わりに実施することで、25~50%の人件費削減が可能と言われています。 参考:今、話題のRPAとは?業務自動化で人件費削減|Sackleメリット3:ミスが少なくなる
RPAは決められたルールに基づいて作業を正確に行うので、人間のようなミスを起こしません。人の手で行われる仕事には、どうしても抜け漏れなどのミスが発生しやすいものですが、RPAの導入によって人為的なミスがなくなり、業務を正確に遂行できるようになります。RPAが効果的な3種類の業務
RPAはどのような場面や業務に使用でき、役立てるのでしょうか。効果的な3種類の業務をご説明します。1.ルール化しやすい業務
決められた作業フローや決まったルールに基づく業務などについては、RPAを利用することで比較的簡単に効率化できます。- 送られてきたメールの添付ファイルを自動でフォルダに格納
- 提出書類の不備チェック
- 書類の情報を社内の基幹システムに報告・登録
2.繰り返しの多い業務
定期的に何かの情報からリストを作るなど、繰り返しの多い業務にRPAを導入すると効果的です。- ネット上の自社の口コミ情報の収集など検索
- データ入力やコピー&ペースト作業
3.パソコンのみで完了する業務
パソコンだけで作業が完結する業務にはRPA導入が検討できます。- 営業部門の担当者ごとの営業活動情報を集計
- 営業活動情報を翌朝には実績を速報値として部門全員にメール配信・情報共有
- 受注案件の事務処理