新規事業の立ち上げは企業にとっても大きな選択なので、立ち上げのかじ取りを命じられた担当者には相当なプレッシャーがかかっているはずです。絶対に失敗させたくない、と考えるのが通常です。
しかし、新規事業の立ち上げの舵取りをした経験がある人はそう多くなく、そもそも何から始めたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな方のために、新規事業を立ち上げる上での入門編として、最低限おさえておきたいポイントや、新規事業を立ち上げる上での初期段階で活用できる4つのフレームワークをご紹介していきます。
この記事を読むことで新規事業を立ち上げる際の考え方や、全体像がイメージしやすくなります。
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新規事業を立ち上げる際に最低限おさえておきたい2つのポイント
新規事業を失敗させないために覚えておきたいことは多々ありますが、最低限押さえておきたいのは「新規事業を選ぶときの基準が偏るリスク」と「新規事業を立ち上げる際のトレンド」の2点です。新規事業は、今後の市場の伸び率だけで判断しない
新規事業を考えるにあたって、自社の既存の知見などが活用できるような市場を選びましょう。儲かりそう、今後市場が熱くなりそう、という目線だけでは失敗につながります。 もちろん全く自社と関連性のない、新たな事業を始めることもありますが、うまくいかないことが多いです。 例えば今まで飲食店をやっていたのに、「これからは人材活用の時代だから、人材系の事業を立ち上げよう」と考えるのは非常に危険です。 当たり前のことのようですが、意外と市場の規模や未来ばかり見て、自社との親和性を考えずに失敗するケースも少なくありません。リーンスタートアップで始めるのが今のトレンド
近年リーンスタートアップで、コストやリスクをおさえながら新規事業を立ち上げるスタイルが増えてきています。 コストをおさえて新規事業をスモールスタートさせ、短期の間に市場の反応などを伺いながらアクションを決定していきます。細かく事業にテコ入れしていって、方向性を正しながら進めていく手法です。 新規事業と聞くと高額な予算を投入して、大きな売上を目指していくことをイメージしている方もいるかもしれません。しかしこれだと一度の失敗が大きな損失につながります。 リーンスタートアップは細かな失敗を糧にして売り上げを伸ばしていきます。リスクをおさえることで精神的な負担は小さいですし、スピード感を持って事業を拡大することができます。創出フェーズに使える!新規事業の立ち上げに活用できるフレームワーク4選
新規事業を立ち上げる際、何から始めたらいいかわからない……という方は、とにかく多くのフレームワークに触れましょう。事業の立ち上げに役立つフレームワークは多く、実際に事業を進めていくにあたってどんなフレームワークを使って、どんなことをすべきかをイメージしておきましょう。 今回は新規事業の方向性や市場の把握などに活きてくる4つのフレームワークをご紹介していきます。SWOT分析を使って自社の強みを正確に把握する
SWOT分析は新規事業の立ち上げ段階に用いるフレームワークで、自社の強み・弱みを客観的に判断する際に効果的です。 SWOT分析は自社の長所・短所を内部環境と外部環境の二軸でとらえる分析手法です。- 内部環境
- 強み(Strength):他社よりも勝っている部分
- 弱み(Weakness):他社よりに勝てていない部分
- 外部環境
- 機会(Opportunity):自社のビジネスチャンスを拡大させる外部環境の変化のこと
- 脅威(Threat):自社の強みをスポイルする、競合や市場の変化のこと
クロスSWOT分析で、自社の強みを生かした新規事業の戦略を考える
SWOT分析のあとに行うべきなのが、「クロスSWOT分析」を行って新規事業を立ち上げるための計画を決めていきましょう。SWOT分析で抽出したデータをもとに、具体的な戦略・戦術の策定を行います。 名前の通り、4つの分析項目を掛け合わせて、計画などを練っていきます。- 強み×機会:プラス要因を掛け合わせてどんなことができるか、理想の状況の想定
- 強み×脅威:強みを活用して、外的脅威を乗り越える方法
- 機会×弱み:弱みによって市場機会を逃さない具体的な戦略
- 弱み×脅威:弱みと脅威というマイナス要因が同時に起こった時の対策
3C分析で事業の方向性を定める
3C分析は、新規事業の立ち上げの検討や、今後の事業の方向性を定めるために行うフレームワークです。 「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つを分析することから3C分析と名付けられています。 この分析では、3つの観点で新規事業を検討してきます。 Customer:顧客(市場)ニーズの変化 Competitor:競合は顧客ニーズの変化に合わせた対応法 Company:上記2点を踏まえて、新規事業を成功させるための具体案ポジショニングマップで、市場における自社の立ち位置を定める
ポジショニングマップは市場において、自社がどの位置を目指すのかなどを明確にするためのフレームワークです。ポジショニングマップを作成することで、競合が少なく勝率が高そうな分野が見えてきます。 まず縦軸と横軸を決定します。軸に選ぶ内容は顧客が商品を購入するうえでの選定基準などを入れると良いでしょう。 軸が決まったら、実際に企業をマッピングしていきましょう。企業はどの位置にいるのかなどを正確に記載していきます。慎重かつ正確なマッピングのためにアンケート調査を実施しても良いでしょう。 作成したポジショニングマップを見ることで、ブルーオーシャンな市場を見つけることができます。新規事業の発案~立ち上げまでの全体像
ここまでは新規事業を立ち上げるための最低限押さえておくべきポイントを解説してきました。 ここからは、もっと全体像のイメージを固めたいという方に向けて、新規事業の「発案」から「立ち上げ」までのフローをざっくりとまとめました。新規事業を立ち上げる方法をフェーズごとに紹介
新規事業を立ち上げる方法は、次の3つのフェーズに大きく分類されます。- キックオフで新規事業の方向性を決定すること
- 市場機会を発見すること
- 事業戦略を構築すること
フェーズ1.キックオフで新規事業の方向性を決める
最初に取り組むことは、キックオフの際に新規事業の方向性を明確にすることです。新規事業の方向性を決める際、以下の3つのプロセスを踏むことが求められます。- 事業内容を決定
- プロジェクトの立ち上げ
- 社内に発表
1.どんな事業を行うのかを決定する
新規事業としてどのような事業を行うのか、事業内容を明確に決定します。 事業を決定にする際のポイントとして、具体的な製品やサービス内容を決定する「物理的定義」と、顧客のニーズに合わせて事業内容を決定する「機能的定義」の二つがあります。 物理的定義としては、例えば「カフェを出店してコーヒーを提供する」といった具体的な事業内容を決定します。さらに機能的定義としては、「顧客が安らげる憩いの場を提供する」というように、顧客ニーズにあった事業内容を決定します。 物理的定義と機能的定義の両者の観点から定義付けを行い、事業の方向性を決定します。2.事業内容に合わせてプロジェクトを組む
事業内容を明確化することができたら、その事業内容に合わせてプロジェクトを立ち上げます。プロジェクトを組む際は、社内だけにとどまらず、社外の人材も視野に入れてプロジェクト遂行に必要なメンバーを選出します。3.社内広報等で新規事業の立ち上げを発表
プロジェクトを組んでメンバーを編成した後は、社内広報などを利用してプロジェクトの立ち上げを社内へ向けて発表します。まずは社内の人々に新規事業の存在を認知してもらいます。 その後は事業の進捗状況を随時報告して、社内での情報共有を行います。今後事業を構築していくプロセスにおいて、情報を共有することは大切な作業です。少しでも協力してもらいやすい社内体制づくりを行うために、定期的に報告することが大切です。フェーズ2.市場機会の発見
次に、決定した事業内容に関して徹底的に市場調査を行い、戦略立案の足がかりを探します。 具体的には、以下の4つのステップを踏みながら市場機会を発見する作業を進めます。- 顧客課題の洗い出し
- 事業アイディアの立案
- 市場魅力度の調査
- 新規事業の仮説立案
1.顧客課題の洗い出し
顧客の視点から新規事業を捉えて、顧客が現在抱えている悩みや今後抱えるであろう課題、潜在的な悩みの洗い出しを行います。 顧客が抱えている悩みの中には、新規事業の方向性を決定するヒントが多数存在します。その中から事業化できそうな課題を抽出して、今後の経営戦略の策定や商品化に役立てます。2.事業アイディアの立案
次に事業アイディアを立案します。立案する際のポイントは、顧客のニーズに沿ったアイディアをできる限り多く立案することです。 立案する際に心がけるポイントは、事業が顧客の抱えている課題を解決できるかどうかという点です。できるだけ多くのアイディアを立案して複数の選択肢を用意し、その中から顧客の課題を解説できそうな案をピックアップします。3.市場魅力度の調査
捻出した事業アイディアをひとつひとつ精査して、市場魅力度の高い事業を探し出します。その際は、競合他社の参入状況を調査する必要があります。 たとえ競合他社が少ない市場でも、市場魅力度が低ければ結果につなげることは困難です。一方で急成長しており多くの競合が参入している市場においても、戦略やアイディア次第では有利な条件で参入することが可能です。 市場魅力度の調査を綿密に行い、差別化できる方法はないか徹底的に探ります。手順4.新規事業の仮説立案
新規事業の仮説立案を行います。マクロ視点とミクロ視点の2つの方向からPEST分析などを実施して、社会への影響や効果などの仮説を立案します。 それぞれの視点から多角的に分析を実施して、時間をかけて綿密に新規事業の仮説立案を行います。フェーズ3.事業戦略の構築
第3のフェーズでは具体的な事業戦略を構築します。具体的には以下のステップで事業戦略を構築します。- 商品コンセプトとターゲットの明確化
- 競合他社のリサーチ
- 事業計画の策定