新規事業の担当者に求められているのは「成果」です。新規事業を軌道に乗せ、自社の可能性を広げていくことが求められています。
しかし、新規事業の開発担当に任命された方の多くが手探りでのスタートとなっていて、中にはただ漠然とプレッシャーに押しつぶされそうになっている方もいるのではないでしょうか。
新規事業を開発するには、まず開発の全体像をつかむことが大切です。
この記事では新規事業を開発するまでのステップを解説しています。また、新規事業開発のステップごとに、役立つフレームワークを計30個ご紹介します。
この記事を読むことで事業開発の全体像をイメージでき、開発に向けて動き出せるようになります。どうした良いかわからずに足踏みしている方は、まずこの記事を読んでみてください。
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新規事業を開発するまでの5ステップ
新規の事業開発を進めるためには、まず事業開発にはどのようなステップがあるかを把握することが大切です。
新規事業の開発は大きく5つのステップに分けられます。
- マーケットニーズの調査・分析
- 事業のアイデア・提案をまとめる
- 事業内容を構築する
- 修正・改善のためサービス化する
- スタートした事業を分析する
1.マーケットニーズの調査・分析
まず始めに行うべきことは、現在の市場調査です。知りたいと思っている分野の現在の状況を把握する必要があります。
そして、その調査内容から現在必要としている分野や商品・サービスの現状を正確かつ細部にわたり知る必要があります。
さらに、得た情報を知るだけではなく、その情報を分析して、今後のマーケティングの将来性について分析するなど今後の資料としても活用しなければいけません。
参考:
新規事業の立ち上げプロセス、フレームワークなど現場の事例【10選】まとめ
2.事業のアイデア・提案をまとめる
第1段階では、現状の情報を得て、それらの情報を独自に分析、今後のマーケティングに生かせるかどうかを見極めました。
次の第2段階では、多くの事例からアイデアや考え方、方向性などを相手と共有する作業を行います。
参考:
新規事業の立ち上げプロセス、フレームワークなど現場の事例【10選】まとめ
3.事業内容を構築する
市場調査や分析、方向性の共有を終えましたら、実際に事業として開始した際に商品を売るための市場調査、業務の内容をより標準化するための方法、万が一のリスクをどのように回避するか、あるいは対処するかを含めた事業内容を構築していきます。
4.修正・改善のためサービス化する
構築が出来たら事業を本格的に始動します。
実際に事業を開始してから分かるのが顧客や消費者の反応や要望です。
消費者の要望にはサービスという形で応えていきます。効率的なサービスは「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」を繰り返し行っていきます。
事業を続けるだけではなく、さらに発展させるためには顧客の反応や要望を受け止め、事業の質を高める作業が必要になります。
5.スタートした事業を分析する
事業をスタートさせることが目標ではありません。スタートさせた事業をいかに継続し質の高いサービスを行っているかが大切です。
そのためには、事業をスタートさせてからも市場調査や分析を定期的に行い、自社が当初の目標を達成しているかどうかを
客観的に分析することが大切です。
この分析結果から次への目標設定を行ったり軌道修正を行い、事業の見直しをするのがいいでしょう。
【市場調査・分析】で使うべきフレームワーク・ツール5選
市場をリサーチ、分析する際に役に立つフレームワークを5つご紹介します。
フレームワーク |
用途 |
ポジショニングマップ |
新規事業参入で自社のポジションを決定する |
VRIO分析 |
新規事業の内容や製品、経営力の強さを測る |
3C分析 |
自社と競合との比較をする |
アドバンテージ・マトリックス |
自社事業の優位性持続の可能性を把握する |
STP |
マーケティングにおける自社の立ち位置を認識する |
1. 位置づけを決定するための「ポジショニングマップ」
新規事業参入の際に自社をどの立ち位置に据えるかを、決定するために使うフレームワークです。
ポジションマップは、次のような流れで作成します。
- 顧客が製品を購入するきっかけとなる要因を抽出します
- 1で抽出した情報から、自社が重視する項目を抽出します
- 2で抽出した項目を競合他社と比較します
- 3で抽出した項目の中から自社の強みとなる項目を2つ選び、マップの縦軸と横軸に据えて作成します
ポジションマップを用いることで、自社製品の差別化できる点を明確にし、顧客に対して独自の位置づけを行えます。
参考:
ポジショニングマップの作り方
2. 事業モデルを策定するための「VRIO分析」
引用:VRIO分析とは?経済価値・希少性・模倣困難性・組織の質問:無料テンプレートあり
新規事業のサービス内容や製品、経営資源の強さを客観的に測るためのフレームワークです。
自社の経営資源が戦略に使えるかどうかを判断でき、特定の瞬間をとらえて分析することができます。
「VRIO分析」は「VALUE(経済価値)」「RARITY(希少性)」「INIMITABILITY(模倣困難性)」「ORGANIZATION(組織)」の4つの問いに順番に答えることで、自社の強みの度合いを判別します。
「VRIO分析」は次のような流れで利用します。
- 分析対象になる経営資源を決めます
- 経営価値の問いに答えます(その経営資源は機会や脅威に適応できるか?)
- 希少性の問いに答えます(どれくらい多くの競合がその資源を持っているか?)
- 模倣困難性の問いに答えます(他社が同じ経営をした場合のコストは?)
- 組織の問いに答えます(フルに活用できる組織か?)
参考:
VRIO分析とは?経済価値・希少性・模倣困難性・組織の質問:無料テンプレートあり
3. ビジネスプラン査定に役立つ「3C分析」
自社がおかれているマーケティング市場の環境を把握するのに用いるフレームワークです。自社と競合他社との比較をして自社の強みと弱みを明確にします。
- Customer(市場・顧客):どのような人がどのようなニーズを求めているか
- Competitor(競合):現在の競合の状況や市場のシェア、競合他社の評価
- Company(自社):自社の特徴、評価を観点として、新規事業の立ち上げを検討
「3C分析」は、次のような流れで実施します。
- 3C分析に用いるための情報収集をします
- 収集した情報を3C分析にあてはめます
- 実際の分析は「SWOT分析」を用いて行います
- 上記で分析した情報をもとに、戦略を練り具体的な施策を立てていきます
参考:
3C分析のやり方-マーケティング環境分析
4. アドバンテージ・マトリックス
新規事業が、将来的に競合との優位性が持続していけるかどうかを客観的に分析するフレームワークです。
「業界の競争要因の数」と「優位性構築の可能性」という2つの軸から、4つの事業タイプに分類します。
4つの事業タイプは次のように分けられます。
事業タイプ |
特徴 |
分散型事業 |
競合が多く、優位性確保が難しい |
特化型事業 |
競合が多く、優位性確保の可能性が高い
特定の分野で強みを持つことが必須 |
規模型事業 |
競合が少ないが、優位性確保の可能性は大きい
それだけの投資が必要 |
手詰まり型事業 |
競合が少なく、優位性の確保も難しい
事業としては「衰退期」に属する段階
分散型や特化型に移行する必要がある |
自社が4つのタイプのどこに入るかで、今後の戦略が立てやすくなります。
参考:
BCGのアドバンテージ・マトリックス | 経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~
5. 市場とサービスの分析なら「STP」
新規に事業を立ち上げる際に、顧客のニーズや企業としてどのような製品やサービスを提供できるかといった需要と供給の内容を明確にするためのフレームワークです。
STP分析により、顧客層やニーズを整理でき、自社の戦略を明確にすることができます。さらに、競合を避けて新規事業をすすめることもできます。STPでの分析は、次の3つの観点から分析します。
項目 |
内容 |
セグメンテーション
(Segmentation、市場細分化) |
市場の全体像を把握する
4つの指標を基にする |
ターゲティング
(Targeting、狙う市場の決定) |
事業を進めようと考えている市場を決定する
3つのタイプがある |
ポジショニング
(Positioning、自社の立ち位置の明確化) |
競合の製品やサービスを見て自社の立ち位置を決定する |
顧客あっての分析ですので、常にユーザー目線、顧客目線で行うことが大切です。
参考:
STP分析|マーケティング初心者は押さえておきたいフレームワーク
【アイデア出し】で使うべきフレームワーク・ツール5選
新規事業を開発する際の進め方として第2段階に行うアイデアや提案をまとめるために役に立つフレームワークを5つご紹介します。
フレームワーク |
用途 |
SCAMPER(スキャンパー) |
より多くのアイデアを生み出すための質問表 |
ステークホルダー(体制図) |
プロジェクトに対する弊害や成功のコツを把握する |
MVV |
自社の理念やビジョンを定義し、メンバーで共有する |
ペルソナ分析 |
架空の顧客を設定して、顧客のニーズをもとに、製品やサービスを考える |
5W1H |
論理的に物事を整理し考える |
1. アイデア発想に役立つ「SCAMPER」
とにかくアイデアを強制的にたくさん出す必要があるときに用いるフレームワークで、新鮮な発想を広げたい場合に有効です。
「SCAMPER]は次の7つの質問をもとにします。
項目 |
質問内容 |
Substitude(代える) |
他のものに置き換えられるか?
他にどのような材料を使うことができるか? |
Combine(組み合わせる) |
複数の製品をどのように組み合わせることができるか?
どれだけの応用が可能か |
Adapt(適応させる) |
他に類似したものはあるか?
過去のアイデアは使えるか? |
Modify(修正する) |
大きさや色の変更は可能か? |
Put to other uses(他の使い道) |
他の使い方がないか? |
Eliminate(削減) |
現在の製品から取り除けるものはあるか?
最低、どの程度のパーツで機能するか? |
Reverse・Rearrange(逆転・再編成) |
逆にしても可能か?
並べ替えをしても可能か? |
質問に対する回答をもとに、次々とアイデアを出していきます。
ここで注意しなければいけないのは、スピード感を持って出来る限り多くのアイデアを出していくことです。良し悪しを考えずに、実際に有効かどうかはあとで考えることです。
参考:
SCAMPER法とは?アイデアを強制的に生み出す発想のスパークプラグを使いこなそう
2. ステークホルダー(体制図)
新規事業に対して影響を及ぼす人や組織との関係性を図にしたフレームワークです。
ステークホルダーは次のような流れで作成していきます。
- ステークホルダーとなり得る人物を書きだす
- プロジェクトに対する影響度と関心度を考えてマトリクスに配置する
- マトリクスに配置した個々の情報を表に言語化する
- それぞれどのようなアプローチが必要なのか検討する
ステークホルダーは新規の企画やプレゼンの際に、できるだけ多くのメンバーに共感を得るためのアピール方法として有効です。
参考:
企画に他者を巻き込んでいく際に活用できるステークホルダー分析【企画運営】
3. 事業理念を表現するなら「MVV」
自社が社会において存在する意義や役割を定義しメンバーで共有するためのフレームワークです。
MVVを用いることで、「何のために働き、自社およびチームがなんのために存在するのか」をメンバーに自覚、理解させやすくなります。
MVVは次のような考え方で定義していきます。
- ミッション:自社が存在する意義・役割
- ビジョン:自社が目指すべき姿
- バリュー:ミッション・ビジョンの実現に必要な行動指針
引用:組織の存在意義は何か?ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を考える
自社の存在を視覚化し、さらに言語化していきます。
なお、言語化する際は、関わるメンバー全員で作成していくことが大切です。
このMVVをクレドや社訓に利用している企業もあります。
参考:
組織の存在意義は何か?ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を考える
4. ターゲットの対象者を想定する「ペルソナ分析」
顧客の基本的な情報をもとに顧客のキャラクターを想定して具体的に戦略や指針を検討するために用いるフレームワークです。
想定したキャラクターの精度が高いほど成功率が高くなります。そのためには、事前に綿密な調査や情報収集が重要な作業となります。
また、ペルソナ分析は、あらゆる製品やサービスにも活用できるだけではなく、提供後のアフターサービスにも効果的です。
ペルソナ分析を行う手順は次の通りです。
項目 |
内容 |
情報収集 |
ターゲット層を想定して、該当する情報の収集
情報源は口コミサイトやSNSのほか、アンケート、ユーザーインタビュー、政府が公開しているデータなど |
情報の整理 |
得た情報を内容別に整理し、さらに年齢別や性別、職種別などに分類 |
データの分析 |
情報をもとにデータを分析
インターネット利用者など広範囲なデータが欲しい場合は、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを利用する |
ペルソナ分析により、マーケティングでの集客方法が明確になり、かつそれに適したコンテンツの絞り込みもできるようになります。
参考:
良質なペルソナ分析と作り方・手法を公開
5. アイデア発想や課題発見には「5W1H」
5W1Hは英語の「when」「where」「who」「what」「why」「how」をまとめた言葉で、物事を論理的に考えるのに有効なフレームワークです。
新規事業開発においてはアイデアや課題などの情報をまとめる際に使います。5W1Hは情報をまとめる順番が肝心です。順番は、利用シーン・内容によって変わります。
新規事業の開発における「企画のプレゼン」「プロジェクトの見直し」「戦略立案」などは、それぞれ以下の順番でまとめていくと良いでしょう。
目的 |
順番 |
新規企画のプレゼン |
Why-How-Who-What-When-E-Where |
プロジェクトの見直し・問題点の原因究明 |
What-When-Where-Who-Why-How |
戦略の立案 |
Why-Who-When-What-Where-How |
【サービス構築】で使うべきフレームワーク・ツール9選
事業内容の質をより高いモノにするために構築するために役に立つフレームワークを9つご紹介します。
フレームワーク |
用途 |
4C分析 |
自社商品やサービスの分析を行う |
ファイブフォース |
業界全体の収益性や需要などを分析する |
6W3H |
5W1Hに商品の数や価格、コストなどの要素を加えて考える |
マンダラート |
目標設定をする |
ビジネスモデルキャンバス |
事業に関わるあらゆる要素を視覚化する |
マーケティングの4P |
自社製品やサービスにおける課題を再確認する |
AIDMA |
顧客が購入する際の過程を分析する |
AISAS |
AIDMAをインターネット上での取引に置き換える |
アンゾフの成長マトリクス |
企業の成長戦略の選択肢を選び出す |
1. 自社を分析する「4C分析」
自社製品やサービスを顧客目線で分析するフレームワークです。
分析に用いる4つの要素は次の通りです。
要素 |
内容 |
Customer Value |
どのようなメリットがあるか?
どのような点に価値があるか? |
Customer Cost |
どのくらいのコストがかかるか?
価格に見合った商品か?手に入れるためにかかった時間、手間は? |
Convenience |
どんな時に手に入れることができるか?
手順の簡単さは?
気軽に手に入れることができるか? |
Communication |
続的に利用してもらうための施策は?
顧客に対するアフターフォローは? |
顧客目線で考えることにより、顧客のニーズやメリットがどのようなものなのかを知ることができます。
4C分析を用いることで自社のサービスや製品が顧客に与えるメリットを整理・確認できます。
参考:
マーケティングミックスの基礎、「4C分析」とは?
2. 業界の状況を分析するなら「ファイブフォース」
業界全体の価格バランスの状況を客観的に分析できるフレームワークです。
ビジネスでの収益の仕組みや脅威を正しく認識して今後の方針を決定するときに有効な手法です。業界全体の収益の要因として挙げられる次の5つの要因によって業界全体の製品の収益が決定します。
売り手の交渉力
売り手の交渉力が強いと、買い手側は想定価格より高額で購入せざるを得ないため、買い手の収益性は低くなります。
売り手が寡占状態であったり、独占企業の場合に起こりうる状態です。
買い手の交渉力
買い手の交渉力が強いと、値引き交渉が行われ売り手の収益性は低下します。
競合間の敵対関係
競合社が多いと、競争が激しくなり収益性は低下します。
新規参入業者の脅威
新規参入業者が現れると、業界としての収益は上がりますが、すぐに収益は低下する可能性があります。
代替品の脅威
類似品が犯版された場合、業界自体の収益は低下します。さらに、コスパの良い商品が出ても業界全体の収益は低下します。
参考:
ファイブフォース分析とは!?〜マクドナルドを例に解説〜
3. ビジネスメールや書類作成の基本の「6W3H」
6W3Hは、5W1Hに「Whom(誰に)」「How many(商品の数)」「How much(価格)」といった、ビジネスシーンでは必要不可欠な3つの要素をプラスしたものです。
相手あってのビジネスの世界でよく使われるようになりました。WhomとHow Many、How muchを加えることによって、より思考の幅が広がり、より深い発想もできるようになります。
しかし、6W3H単独で使うには限界があるので、他のフレームワークと併行して使うことをおすすめします。参考:
6W3Hとは?その意味を知る-WとHが指すもの・・・
4. 目標を達成したいときに便利な「マンダラート」
「大目標」を達成したいときに必要な「中目標」と目標を達成するために必要な要素マス目に書き込むことで目標達成までの思考が整理できるフレームワークです。
マンダラートは次のような使い方をします。
- 3×3=9で小曼荼羅状に配置されたマス目の中央に最終目標となる「大目標」を書き込みます
- 次に残りの8マスに中央に関連した語句を書き込みます
- それぞれのマスから次のマスへと派生させていきます
- それぞれの小目標を達成するための要素を全て書き込みます
つまり、「大目標」を達成するためには、マスの一番外側にあるマスに書かれた要素から内側へと対処してくと最終的には大目標が達成できることになります。
最終的な目標は決まっていても、どのようなことをしたらいいのか分からない場合に効果的な方法です。
参考:
マンダラートとは?9つのマスで閃きが加速する一流のアイデア発想法
5. 新規事業の立案に使える「ビジネスモデルキャンバス」
ビジネスの構造を考えるためのフレームワークです。自社の現状を整理したり、改善点や新規事業の立案を練る時にも使えます。
9つの欄に区切られた一枚のシートに、それぞれの枠内に関連する語句を書き込む、あるいは付箋を貼っていきます。
- 顧客:製品やサービスを利用する対象者で、法人客と個人客に大別されます
- 価値提案:顧客に提供する製品・サービスの価値で、顧客が選ぶきっかけにもなります
- チャネル:販売経路のことで、適切に設計すると効率的な顧客獲得にも繋がります
- 顧客との関係:関係性の長短によって収益に違いが出ます
- 収益の流れ:収益の方法と収益の特徴に分けられます
- キーリソース:価値を生み出すための経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)
- 主要活動:価値を提供するための活動とキーリソースを生み出す活動に分けられます
- キーパートナー:自社にない経営資源を提供してくれる(仕入先会社、提携先、代理店など)
- コスト構造:上記中、6,7,8の中で主要なもの
以上の順序ごとに該当する人やモノなどを挙げていきます。
こうすることで、自社の特徴や現状を客観的に確認することができ、また課題点も明確になります。
参考:
ビジネスモデルとは?ビジネスモデルキャンバスとは?わかりやすく解説
6. 販売戦略に使える「マーケティングの4P」
自社製品やサービスのマーケティング上での課題を再確認する時に用いるフレームワークです。
このフレームワークを使用することで、自社製品の現状と収益の度合いを客観的に確認することができます。
「4P]とはマーケティング戦略の立案や実行のプロセスを6つの段階に分けた時の、5段階目にあたる「マーケティングミックス」に関連する要素のことを言います。
要素である4Pは次の4つです。
- Product:企業の利益源となる製品
- Price:市場での販売価格
- Place:流通経路や販売場所
- Promotion:広告やCM、イベントなど
製品を認知させ販売を促進させるためには、4Pのいずれもバランスよく行われなければいけません。どれか一つでも欠けると、経営不振に陥る可能性が高まります。
参考:
マーケティングの4P分析とは?基本と5分でできるケーススタディ3選
7. 顧客の意思決定を分析できる「AIDMA」
顧客が購入する時の心理プロセスを順を追って分析するフレームワークです。顧客の立場に立ったマーケティング戦略を立てる時に使用するのが効果的です。
顧客が購入する場合には次のように5つの段階があります。
- Attention:注意
- Interest:興味
- Desire:欲求
- Memory:記憶
- Action:行動
参考:
AIDMAモデルとは
8. インターネット販売の顧客分析なら「AISAS」
AIDMAをインターネット上で購買した場合の分析に用いるフレームワークです。
AIDMAのプロセスに「Search(検索)」と「Share(共有)」が加わったものがAISASです。
ネット社会に即した分析方法なので、ネットショッピング事業を始めるためには最適なフレームワークです。
製品に対する反応をすぐに知ることができる点もインターネットならではの強みになります。
参考:
購買行動モデルAISAS(アイサス)の法則とは?|事例・施策も合わせて解説!
9. アンゾフの成長マトリクス
企業の成長戦略の選択肢を抽出するためのフレームワークです。縦軸に「市場」、横軸に「製品」と設定し、4つのセグメントにより多くの成長戦略のヒントを導き出すことができます。
4つのセグメントは次の通りです。
- 既存市場浸透:既存市場で既存商品を提供する
- 新市場開拓:新規市場で既存商品を提供する
- 新商品開発:既存市場で新規商品を提供する
- 多角化:新規市場で新規商品を提供する
引用:アンゾフの成長マトリクスとは?一番わかりやすい入門編
市場で商品販売するには上記の4つのいずれかに当てはまりますので、現在の事業内容の確認ができる上に、新しく事業を立ち上げるための戦略を検討するためにも効果的です。
参考:
アンゾフの成長マトリクスとは?一番わかりやすい入門編
【事業の修正・改善】で使うべきフレームワーク・ツール6選
新規事業開発における「事業内容の修正・改善」に役に立つフレームワークとして、以下の6つを解説していきます。
フレームワーク |
用途 |
PLCサイクル(製品ライフサイクル) |
商品が市場に出てなくなるまでの期間を表す |
ECRS |
4つの視点から業務を見直す |
バリューチェーン分析 |
ビジネスのプロセスをチェーンのようにつなげて表す |
ピラミッドストラクチャー |
論理展開を整理する |
PDCA |
事業活動を進める手順を表す |
AARRR |
ユーザーが離れる段階を見極める |
1. PLCサイクル(製品ライフサイクル)
市場に出る製品において、時系列による売り上げの変化を明確にする考え方です。
プロダクトのライフサイクルは次の4つの分類できます。
- 導入期:新しい製品やサービスを市場に導入した直後の時期
- 成長期:市場成長率が上昇し、大衆層に浸透する時期
- 成熟期:ニーズが頭打ちとなり、市場の拡大が見込めなくなってきた時期
- 衰退期:その分野に対する需要が減り、売り上げや収益も減少する時期
4つの時期の特徴を自社の現在にあてはめて、事業の再確認やや見直し、さらに今後の戦略の検討にも生かすことができます。
常にさまざまな角度から情報を収集し、複数のシナリオを用意しておくなど、自社の未来を予測しておく姿勢が大切です。こうした予測をするのにも使用することができます。
参考:
プロダクト・ライフサイクル(PLC)の基本知識と5つのステージ活用法について
2.「ECRS」は業務改善に役立つフレームワーク
業務のプロセスを4つの視点から改善していくフレームワークで、ECRSの4原則とも言われています。
元は製造業の効率よく生産性を向上させる目的で開発されたものですが、分かりやすくシンプルな方法のため、あらゆる業種の利用が可能です。
生産性を高めたい、効率のいい業務にしたい場合に適しています。
4つの原則とは次の通りです。
- Eliminate(排除):不要な業務を削除できないか
- Combine(結合):重複している業務を一つにまとめられないか
- Rearrange(交換):業務内容の手順を変えたり変更したりできないか
- Simplify(簡素化):業務をより簡素化できないか
この4つの原則を順序通りに検討していくことで、現在の業務内容を客観的に見直すことができます。また、今後の業務の効率化を測るきっかけにもなります。
現在の業務がうまく稼働していても、社会状況によっては通用しなくなる可能性があります。そのため業務の見直しは、定期的に行うことをおすすめします。
参考:
業務効率を改善する「ECRSの原則」とその具体例
3. プロセスを可視化する「バリューチェーン分析」
事業を2つの活動に分類し、その工程で付加価値を出しているかを分析するためのフレームワークです。
「2つの活動」とは「主活動」と「支援活動」です。
- 主活動:製品が顧客に届くまでの流れと直接関係する活動
- 支援活動:主活動を支える活動、バックオフィスなど
バリューチェーン分析は、外的要因により競合の動向を予測するとともに、自社の強みを認識することもできます。
バリューチェーン分析は次のような流れで活用します。
- バリューチェーンの把握:自社の「主活動」と「支援活動」を把握する
- 各レイヤーのコストの把握:商品企画や仕入れなどの活動にかかるコストを把握する
- バリューチェーンの分析する:自社と競合の強みと弱みを表にする
バリューチェーン分析だけでは、今後の事業改革はできません。事業の将来的なビジョンを考えるためには、VRIO分析を用いるのがいいでしょう。
参考:
「バリュー・チェーン分析」の4つのステップ!事業のムダをなくして圧倒的な成長スピードを実現するフレームワーク
4. 論理を分解する「ピラミッドストラクチャー」
引用:ピラミッドストラクチャーとは|ピラミッド構造の作り方を図解解説|具体例有
伝えたい「結論」と「その根拠」をピラミッド状に図式化したフレームワークです。別名「ピラミッド構造」や「ピラミッド原則」とも言います。
ピラミッドストラクチャーは、提案や報告が伝わりやすいため、説得力もまします。さらに、物事を本質的に考えられるようになります。
ピラミッドストラクチャーは次のような手順で作成します。
- 論点を正確に見極める
- 論点に対する仮説を立てる
- 仮説が妥当かどうかを証明するための論点を導き出す
- 仮説に対する論点を事実と照らし合わせて検証する
- 全体のロジックと整合性を確認する
- 提案・報告する
参考:
ピラミッドストラクチャーとは|ピラミッド構造の作り方を図解解説|具体例有
5. セルフマネジメントメソッドの「PDCA」
企業の業績を上げたり、効率的な業務を行う際に用いるフレームワークです。
- Plan(計画):できるだけシンプルで実現性が高い計画を立てる
- Do(実行):計画通りに実行する
- Check(評価):計画、達成度について、客観的に数値で判断する
- Action(改善):施策の精度を高めるための改善案を出したり、方向性を転換する
- 実行が難しいものや達成度の低いものは変更や削除なども検討する
「PDCAサイクル」とも言われるように、一度だけでは終わらせず、定期的に何度も実行して行くことが大切です。
参考:
PDCAサイクルとは? 効率的に回す方法 / ToDoにまで落とす具体例
6. 顧客離れの分析なら「AARRR」
ネットショップなど会員を集めて収益につなげる業種用に作られたフレームワークです。
AAARRを使うことによって、各ステップで目標とする形を決め、部分的に修正や改善を繰り返し、最終的には全体が改善されているという流れになります。
製品の売り上げが減少したり、サービス利用の顧客が減少傾向になった場合に自社事業の分析をするのに用いるフレームワークです。
AAARRのステップは次の5ステップですすめられます。
- Acqisition(新規ユーザー獲得):ユーザーの比率を指標とする
- Activation(利用開始):登録したユーザー会員が一定期間内に一定回数以上、主要なサービス機能を利用するかどうかを指標とする
- Retention(継続利用):一定期間後も利用しているかどうかを指標とする
- Referral(紹介):ユーザーが新規ユーザーを紹介するかどうかで、サービスに対する満足度を測る
- Revenue(収益化):サービスを利用した場合に発生する1件当たりの平均収益や収益が発生しやすい曜日や時間帯などをみる
参考:
【テンプレート付】AARRRとは〜サービスを成長させるための基本戦略
【見直しと組織改善】で使うべきフレームワーク・ツール5選
事業の見直しや再分析を行う際に役に立つフレームワークを5つ紹介します。
フレームワーク |
用途 |
ロジックツリー |
ビジネス上の問題分析や考えを発展させる |
SWOT分析 |
自社を取り巻く環境の現状分析をする |
7つのS |
組織の全体像と改善の要素の関係性を把握する |
PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント) |
経営資源を効率的に配分する方法を考える |
PEST分析 |
自社ではコントロールできないような要素を分析する |
1. 問題解決や課題発見には「ロジックツリー」
ビジネス上に起きた問題ツリー状に分解し。論理的に原因や解決方法を探すフレームワークです。
図式化することで、問題点や原因を明らかにしやすく具体的な解決策からアクションの優先順位も考えやすくなります。そのため、チーム間の共有もしやすくなります。
引用:ロジックツリーとは|問題解決に役立つロジックツリーの作り方と例|例題有
参考:
ロジックツリーとは|問題解決に役立つロジックツリーの作り方と例|例題有
2. 自社環境を分析するなら「SWOT分析」
製品の価格や品質など環境におけるプラス面とマイナス面を「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つの観点から分析するときに役立つフレームワークです。
自社の強みや機会を活かしてさらに新規の事業立ち上げようとするときに使われます。
参考:
SWOT分析のやり方とコツ:環境分析から戦略目標を引き出す方法
3. 組織改善に有効的な「7つのS」
組織の全体像と要素の関係性を視覚的に把握するためのフレームワークです。
ハードのSとソフトのSに分けられた計7つのキーワードをもとに、組織改善を行っていきます。
- ハードのS:「「戦略(Strategy)」「組織(Structure)」「システム(System)」「価値観(Shared Value)」
- ソフトのS:「スキル(Skill)」「人材(Staff)」「スタイル(Style)」
参考:
7つのSとは?一番わかりやすい入門編
4. PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
引用:プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは?
経営資源を効率的に配分する方法を「利益の得やすさ」「投資の必要性」の2つの観点から見直すために用いるフレームワークです。
今までの事業結果を縦軸がプロダクトライフサイクル、横軸が経験曲線効果にした図に当てはめて分析します。
参考:
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とは?
5. 責任者の目線で使うと便利な「PEST分析」
自社ではコントロールできないような要素を分かりやすいように視覚化するために用いるフレームワークです。
「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」といった4つの外部環境の点から、自社への影響の度合いを分析します。
問題の外的要因を大きな視点でとらえ、世の中の動向を把握し将来の展望を効率よく考えるのに効果的です。
参考:
PEST分析とは何か?コトラー教授が考案、海外進出を行う際にも使えるフレームワーク
まとめ
新規事業の立ち上げの段階から事業継続中の分析まであらゆる場面で役に立つフレームワークが数多くあります。
それぞれに特徴が違いますので、良さや活用法を十分に理解して上手に使いこなすと新たなアイデアや思わぬ発想が生まれてきます。
新規事業開発で何から始めたらいいかわからないという方は、まず全体像をつかみつつ、有効なフレームワークをおぼえておきましょう。