インサイドセールスを導入していなければ、このWithコロナ時代、BtoBビジネスでは勝ち残っていけません。
テレワークが普及した現在、営業手法が大きく姿を変えています。旧来のやり方で、新規受注が落ち込んでいる企業が多くいる一方で、コロナ以前から、いち早くインサイドセールスを取り入れていた企業が業績を大きく伸ばしている、そんな話が耳に入ってきます。
しかし、インサイドセールスの意味すら間違って認識している営業責任者が非常に多いのが実態です。インサイドセールスは、単にオンラインで商談することでもなければ、テレアポの新しい呼び方でもありません。
本記事では、インサイドセールスの本来の意味から、注目が集まっている理由、実際に導入する上で必要な知識とノウハウを実体験も交えて、初心者にもわかりやすく解説しています。7分ほどあれば、意味から導入手順、効果指標、必要なツール、管理や育成のコツまで理解できます。
難しい話もなるべく簡単にまとめましたので、ぜひ気楽に読み進めてください。
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この記事の監修・執筆
長谷川 智史(はせがわ さとし)@so_hasegawa
ソウルドアウト株式会社 上席執行役員 /メディアエンジン株式会社 取締役CMO
現職ではマーケティング責任者として、2015年後半から業界に先駆けインサイドセールスを導入。現在も経営に携わりつつ月間10件程度のインサイドセールスの現場実践に取り組み肌感覚を維持している。WACULテクノロジー&マーケティングラボ研究顧問も務める。(執筆記事一覧 )
インサイドセールスとは何か?3つの意味と役割
「インサイドセールス」とは何か?の意味が食い違ったまま、成立していない会話をよく耳にします。
その理由は「インサイドセールス」が意味する役割が大きく3つあるためです。まず、その整理をして認識を合わせてから話を進めていきます。
①内勤で行うリモート営業活動全般を指す場合(≒オンラインセールス)
1つ目として、内勤で行う営業活動全般を指して「インサイドセールス」と呼んでいる場合があります。
2020年時点での国内では、この定義が主流のようです。検索して上位に出てくる記事を見てもこの説明を多く見かけます。このケースは「オンラインセールス」とも呼ばれているため、誤解を防ぐのであれば「オンラインセールス」として説明すると良いでしょう。
インサイドセールス(内勤営業)とは、訪問せずに遠隔で行う営業活動です。電話・Eメール・ウェブ会議ツールDMなどを活用し、通常の営業活動の一部もしくは全てを遠隔化します。
2020年、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言により、多くの企業がテレワークを余儀なくされました。その際「これまで行っていた営業活動をやむなくWeb会議で実施した」というケースはこの分類に該当します。
②リードの商談化(リードナーチャリング)に特化した役割を指す場合(≒SDR)
2つ目の分類は「リードがあることを前提に、訪問せずにフィールドセールスに繋げる役割」をインサイドセールスと呼ぶケースです。
「リードナーチャリング」のプロセスで電話やWeb会議で商談を作る役割です。外資系企業で以前から行われている「インサイドセールス」は主にこの意味合いで使われています。
専門的にはSDR(Sales Development Representive)と呼ばれる役割になります。日本国内では、2019年に発売された書籍「THE MODEL」によって、急速に広まったとされています。
本質的には「分業化」による「専門特化」と「ツール活用によるルール化・可視化」により、これまで職人芸でブラックボックスだった営業活動の一部を標準化し、再現性のある形で科学していくアプローチといえます。
すでにオンラインで商談している状況にも関わらず「インサイドセールスの導入の検討」が話題になった場合には、この意味合いだと思って良いでしょう。
参照:THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス | 福田 康隆
③コールドコールから商談に結びつける役割を指す場合(≒BDR・テレアポ)
3つ目の分類として「コールドコールから商談に結びつける役割」をインサイドセールスと呼んでいるケースも紹介しておきます。平たくいえば「テレアポ」です。
専門的には、BDR(Business Development Representive)と呼ばれている役割で、主にBtoBビジネスにおいて大企業、エンタープライズ向けに特化したコールドコール部隊を指すことが多いようです。
一方、国内では嫌がられがちなイメージのある「テレアポ」「テレマ」を「なんとなく今風のカッコイイ職種っぽくインサイドセールスと言い換えてみただけ」のケースも多発しており、認識齟齬による不幸が生まれないように祈るばかりです。
※なお、本記事では特に断りが無い限り、「インサイドセールス」という言葉を②SDRの導入も前提とする①~③全てを包含した意味合いとして使っていきます。
Withコロナ・テレワーク時代にさらに注目が集まる5つの理由とメリット
インサイドセールスは日本国内においては、2018年頃から注目が集まり出し、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが始まった2020年5月に向けて大きく注目されるようになってきました。以下のGoogleトレンドによる検索数の推移を見ても検索数は過去5年で5倍以上に増えています。
WithコロナによるテレワークでWeb会議での商談への抵抗感が軽減された
注目が集まる一番の理由は、コロナ以降、顧客側の抵抗感が軽減されたことにあります。
緊急事態宣言による外出自粛により、半強制的にWeb会議をせざるを得なくなったことで、実際に多くのビジネスパーソンがオンライン商談を体験することになりました。その結果「ZoomやGoogleハングアウトなどのWeb会議ツールは使ったことがないので使いたくない」「直接対面しないのは失礼に感じる」という人はほぼいなくなりました。
もともと日本は国土が狭く東京一極集中なこともあり「営業は訪問するもの」「足で稼いでナンボ」という慣習が根強く残っており、長年インサイドセールスの本格的な普及を妨げて来ました。しかし、その制約となっていた慣習が弱まったことで、一気にインサイドセールスへのシフトが起こっている状況にあります。
参照:【インサイドセールスに関する調査】外出自粛の影響でインサイドセールスを導入した営業職のうち、約90%はコロナウィルス収束後もインサイドセールス継続意向。|株式会社インターパークのプレスリリース
参照:営業活動のリモートワークに関する調査結果を発表。約8割が「生産性が上がったとはいえない」。ツール導入後は「オンライン商談や社内間の意思疎通」が課題に|株式会社マツリカのプレスリリース
デジタルシフトにより「商談がスタート」ではなく「ゴール」になりつつある
2つ目の理由は「インサイドセールスをしないと勝てなくなりつつある」という外部環境の変化によるものです。
かつては、情報の流通は限定的で、特にBtoBの場合には、Webの情報だけでは購買意思決定が出来ず、とりあえず営業マンを呼んで話を聞いてみることがスタートでした。しかし、ここ数年のWebメディアの隆盛やコンテンツマーケティングの普及をはじめとしたデジタルシフトにより、外部環境は大きく変化しています。
ある海外の調査データによれば、商談の前にすでに購買の意思決定が済んでしまっているケースが半分以上もある、とのこと。もはや商談はスタートではなくゴールになっているのです。そのため、検討段階の早い段階で接点を持ち、課題の所在をヒアリングしたり、解決方法を示唆していくインサイドセールスの役割がますます重要になっているのです。
海外の調査データによると(図6)、一般的な顧客が取引先の営業担当者に直接関与する前に、購買に至るまでの準備の半分以上を完了しているようです。BtoB企業間の事業取引の60%がオンラインで始まるというデータもあります。
引用元:BtoBは商談前に勝負が決まっている? 営業が強い企業でもマーケティングが必要になる理由とは:SalesZine(セールスジン)
テクノロジーの発達によるデータの取得と便利で安価なSaaSの登場
3つ目の理由はテクノロジーの発達です。
マーケティングオートメーションツールを導入すれば、数万もの見込み顧客のデータを管理できます。データを活用することで、例えばメルマガをクリックして、公式サイトの事例を閲覧している見込客を察知して、そのタイミングドンピシャで電話をかけることも可能になっています。結果、無作為に電話をかけている時代では考えられない効率の良さで商談につなげることができるようになっています。
「マーケティングオートメーションツール」のような高度な機能を持ったSaaSと呼ばれる様々なプロダクトが月間数万円程度の安価な価格で利用できるようになり急速に普及しています。これらSaaSの登場によって、これまで考えられなかったようなアプローチができるようになりつつあるのです。
参考:マーケティングオートメーション15種比較!利用のメリットと失敗しない選び方とは?
分業による属人化排除とコストメリット
4つ目の理由は、分業による属人化排除とコストです。
「売れる営業マン」「トップセールス」は、いつの時代も花形職種で、年収数千万円を超えるプロフェッショナルもいる世界です。
一方で、雇用する企業からすれば、「替えが効かないトップセールス」は、高い報酬やインセンティブを支払い続けなければならない悩みの種でもあります。そこで、営業のプロセスを分業化し、商談獲得に専門特化させることで、職人芸の部分を極力減らし、仕組み化を目指した結果できた職種がインサイドセールスです。
旧来の属人的なトップセールス集団に対して、テクノロジーを駆使したインサイドセールスを擁するチームが同じパフォーマンスを数分の1のコストで発揮できるようになっていくと、利益率は大きく改善できます。ゆえに、インサイドセールスが導入できない組織は競争に負け淘汰されていくリスクがあるのです。
テレアポや飛び込み営業に対する抵抗感が増している若手世代への育成
5つ目の理由は、若手世代の抵抗感です。
かつて、営業の研修育成といえば、街で見知らぬ人に声をかけて名刺を集めたり、ビルの最上階から順に飛び込み営業して回る、のような気合と度胸が試される研修も少なくなかったようです。しかし、2020年の現代でそんな研修をしていると「ブラック企業」とレッテルをはられ、場合によってはSNSで炎上し、採用競争力が悪化してしまうリスクがあります。特に、ミレニアル世代~Z世代と呼ばれる若手世代は、ブラック企業的な気合と度胸のアプローチに強い抵抗を持っています。
インサイドセールス、特にリード獲得後、パーミッションを得た上で行動データに基づいてアプローチするのであれば、気合と度胸ではない再現性のある取り組みによって、心理的な抵抗を軽減させながら着実に成長しスキルアップしていける育成方針を取ることができるのです。
20代の社員の中には営業、特にテレアポや飛び込み営業に強い抵抗をもつ人が多い。実際、飛び込み営業は効率も悪いですし。それに代わる手段として、インサイドセールスが重宝されているという面もあります。
インサイドセールス導入の成功事例と失敗事例
インサイドセールスを導入した事例をいくつかご紹介します。事例から成功のコツや失敗を避けるためのポイントを知っておきましょう。
成功事例:移動時間の削減で営業担当の1日の商談件数が2.5倍
わかりやすい成功事例としては、移動時間の削減による営業マンの生産性改善です。
商談件数が増えればその分受注数も増えていきます。リードを潤沢に供給できる体制が整っているのであれば効果はてきめんです。マーケティング体制については別の記事で触れていますのであわせてご確認ください。(参照:BtoBマーケティングの基本~戦略まとめ。デジタル手法からコンサル事例まで17記事の要点を5分で理解)
導入後はヒアリングから営業にいたるまで、全てを遠隔で行う体制に変更。営業先への移動時間の削減により、1日の営業件数が平均3件から8件にまで上がりました。
その結果、PDCAを速く回せるようになり、早い段階で受注率の高い顧客の傾向などを発見できるようにもなったのです。
成功事例:高速PDCAにより商談数も受注数もアップ
インサイドセールスの効果として、営業のPDCAを早く回せることがあります。
これまで、客先での商談というブラックボックスを可視化し、録画機能による「時間と空間を超えた営業同行」により、ハイパフォーマンスな営業のベストプラクティスを横展開しやすいメリットがあります。
商談回数を積み上げるなかで商談内容やアプローチ方法のPDCAサイクルを高速に回すことができるのも、その場で商談に移れるベルフェイスの魅力。営業に同行しなくても商談内容がわかるので、現場の営業水準を上げることにも役立っています。
引用元:訪問せずにすぐ商談!営業効率を上げるインサイドセールス部隊の立ち上げ方
失敗事例:「アポを取るだけ」のインサイドセールスで若手が疲弊
ありがちな失敗事例が若手の疲弊です。
「インサイドセールス」と検索窓に打ち込むと「辛い」という単語が推奨に表示されます。それだけ、インサイドセールスの仕事に辛さを感じている人が多いということです。
わかっていてもリードが枯渇している場合、やむなくアウトバウンドコールにリソースを充当するしか無くなってしまいます。インサイドセールスの導入には潤沢なリード獲得が前提になります。
20代の若手社員やインターン生が、アポを取るだけのインサイドセールスチームに配属されて疲弊し、どんどん辞めていってしまう事態も起こっています。
インサイドセールスの導入手順~役割分担・体制構築のやり方
インサイドセールスの導入手順と成功と失敗を分けるポイントを事前に押さえておくことで成功確率をぐっとあげられます。特に、役割分担と体制構築については、一度決めるとなかなか修正が難しいため、最初にしっかり考えておく必要があります。
インサイドセールスが向いているのは複雑で高難度な商材
まず、自社のプロダクトがインサイドセールスに向いているかを確認します。
リードを商談化まで持っていくインサイドセールス(SDR)の場合には、複雑で理解が難しい商材が特に向いています。顧客の課題を特定し、潜在的なニーズに気づかせるという一連のプロセスが入ることで商談化率は引き上がります。
インサイドセールスが向いているのは、
- ターゲット顧客が数百から数万社など、大規模な営業活動をする必要のある会社
- サイトを見るだけでは理解が難しい複雑な商材を扱っている会社
です。この条件を満たすのは主にBtoB企業ですが、BtoC企業の一部も当てはまります。
つまり、一口に「インサイドセールスを導入する」と言っても、取り扱う商材、顧客、組織の状況は大きく違う。それに応じて具体的なやり方も全く異なります。
BtoBマーケティングの全体戦略との整合性を取る
インサイドセールス「だけ」を導入しようとしてもなかなか上手くいきません。BtoBマーケティングの方針と整合性が取れていることが重要です。
「(ターゲット条件に一致していれば)検討段階の浅いリードを含めて量を取る」方針があって、はじめてインサイドセールスは活きてくるのです。
「リードの質が悪い!」と営業に言われて一番やってはいけないのは、「質の高いリードだけに絞って」獲得しようとすることです。
絞ろうとすればするほど、質の高いリードもCV前に落としてしまう確率は高まっていきます。原則としては、リードは「質より量」を狙うべきです。そのため、CV地点は出来る限り複数にして、検討段階の手前、トリガーが発生する前から接触するのがベストです。
フィールドセールスとの役割分担は「同じゴールの共有」がポイント
インサイドセールス導入の最初のカベがフィールドセールスとの役割分担です。
例えば「他に見込客がおらず、予定が空いてしまうのであれば、ワンチャンス狙った方がよい」という判断をして商談を設定した場合。1人で完結していれば、商談の質くても当然だと思えますが、分業していてコミュニケーションが取れていないと疑心暗鬼になってしまいます。
初回アポからクロージングまでフィールドセールス1人で担当していたときには、何も問題がなくても、インサイドセールスとフィールドセールスで役割分担をした途端にコミュニケーションミスが生まれてしまう可能性がある。
これを防ぐために、フィールドセールスとインサイドセールスは同じゴールを共有し、お互いを信用しないといけません。
インサイドセールスの評価指標が商談成立数のみになっていると部分最適になりがちです。商談後の売上も評価指標に加えるなど、フィールドセールスと同じゴールを共有していくことが成功のポイントです。
人数が増える場合はツールの活用やルール・仕組みが重要に
インサイドセールス・フィールドセールスの人数が増えれば増えるほど、ルールや仕組みが重要になってきます。
商談のログを残さない、ステータスを更新しない、など個人のクセが全体の生産性を落とします。ツールを導入し、そのプロセスに業務フローをあわせにいくなど、ルールや仕組みを整備しておくことが成功のポイントです。
10人を超えるチームになってくると、個人で持っていたノウハウや事例、情報をツールにどう残すのか、標準化のルールや仕組みが必要になります。このあたりも、柔軟に対応しないといけません。
本質的には組織全体の改革が必要
最後に、本質的な成功のポイントについても触れておきます。
インサイドセールスの導入は、単に営業機能を増やす、分業する、という話にとどまらず、本質的にはリーンでアジャイルな組織への移行することにつながっていきます。これは営業のみならず、プロダクト改善へのフィードバックも含めた顧客の声を察知したUX改善を組織全体で行うことでその真価を発揮するのです。
インサイドセールスの仕組みを会社に入れるのは、単にITツールを導入するのとはわけが違います。本当の意味で営業の成果を拡大するためには、インサイドセールスで得たデータや情報を商品やサービスづくりにフィードバックすることが必要になるでしょう。
つまり、マーケティングや営業部門だけではなく、商品開発を含めた会社全体の組織開発につながる話なのです。一部だけ改革しようとしても、失敗するのは目に見えています。
インサイドセールスの効果指標(KPI)と管理方法
インサイドセールスの導入において、効果指標の設計と管理方法を誤ると取り返しのつかない失敗を招いてしまいます。
効果指標は商談化率(件数)と貢献売上金額
効果指標の主流は以下の2つです。
見込顧客数×商談化率=商談件数
1つ目は商談件数です。最もわかりやすいインサイドセールスの成果指標です。振り分けられたリードをいかに商談に結び付けられるかはインサイドセールスの成果を図る上で最もシンプルな指標です。
一方で、この指標のデメリットは、「商談の質」が加味されないことです。商談後の成約率はフィールドセールスの力量に依存する要素も多いため、質を判断することは難しいものの、商談化以降に責任を持たないと「無理アポ」が横行して、組織が誤った方向に進みかねません。
貢献売上:創出商談経由での売上金額
貢献売上を成果指標に加えることで、フィールドセールスとのゴールを一致させているケースも多いです。フィールドセールスが受注しないと貢献売上が増えていかないため、顧客の情報連携もしっかり行われるようになります。
顧客ランクによる重み付け
また、商談数も単純に数ではなく「顧客ランク」により、重み付けした上で評価しているケースもあります。こうすることで、より受注率が高い・受注後の収益性が高い商談を創出するインセンティブが生じます。
さらに顧客ランクを組み合わせることで、営業手法をより効率化できます。お客様の関心度が同じでも、予算や導入時期などが異なるからです。主にお客様の予算や決裁権、必要性、導入時期といったBANT条件を意識すると考えやすくなります。
BANT条件
1:Budget(予算)
2:Authority(決裁権)
3:Needs(必要性)
4:Timeframe(導入時期)
ルールとツールで管理
インサイドセールスの管理は「ルール」と「ツール」が重要です。
ルールを徹底させるオペレーション
インサイドセールスは営業を科学するアプローチです。属人的な職人芸ではなく、確立されたルールを前提にすることで、組織全体を底上げていく営みです。それゆえ、ルールをきちんと守り、徹底することで組織としてのPDCAを回していくことが必要になります。
インサイドセールスのルール(例)
- 初回コールは3分以内に必ず対応
- リードに対して5回までは必ずコールする
- SFAへの入力はその日のうちに必ず
- ヒアリング項目はマストで聞く
ツールで管理
ツールを導入することで、標準化が進みます。ポイントは、自社のフローやルールをあわせるのではなく、ツールに自社のフローをあわせに行くことです。
ツールには膨大な試行錯誤から導き出されたベストプラクティスに基づく設計思想が込められています。ツールの設計思想に基づく業務フローによって管理することで、その真価が発揮できるようになります。
ツールについては次の章で紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
インサイドセールス効率化ツール/システム・必須4ツール&よく活用されている5ツール
インサイドセールスの導入にはツールが欠かせません。本章では、必須といえる4つのツール/システムとよく活用されている5つのツールを紹介していきます。
オンライン商談システム・Web会議システム
まず欠かせないのはオンライン商談システム・Web会議システムです。
電話のみでインサイドセールスを完結することも可能ですが、実際に顔を見たり、画面共有することでコミュニケーションが円滑になります。Zoomやスカイプなどの汎用的なWeb会議システムを活用する以外にもオンライン商談に特化したシステムもあります。
Zoomやスカイプの使い方
オンライン商談に特化したシステム
Web会議・ビデオ通話のツール比較
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マーケティングオートメーション(MA)ツール/メール配信ツール
インサイドセールスの成否を左右するとも言えるのがマーケティングオートメーション(MA)ツールです。
獲得したリードの属性データのみならず、行動データをもとに、インサイドセールスが優先的にアプローチすべき見込客を教えてくれるのがマーケティングオートメーションツールです。管理するリードの量がまだ少ない場合には、メール配信ツールのみで、メールに対するリアクションに応じてアプローチするだけでも、十分機能します。
マーケティングオートメーションツールの理解を深める
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マーケティングオートメーションツールの比較
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メール配信ツールの比較・活用術
SFA/CRMツール
SFAやCRMと呼ばれる顧客管理ツールも必須です。特に、フィールドセールスや既存顧客対応など後工程と顧客情報を一元管理して対応ログを残し一元管理する目的で使われます。
なお、フィールドセールスがなくオンラインで完結するコール主体のプロダクトの場合には、SFAやCRMツールの代わりにCTIを使うケースもあります。
SFA/CRMツールの理解を深める
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SFAツール比較
CRMツール比較
コール主体の場合には、CTIを使うケースも
リスト管理ツール(名刺管理・ABM)
インサイドセールスの導入にはリスト管理ツールも欠かせません。リストの名寄や情報を整理することで、MAやSFAの活用効率は大きく改善します。また、名刺情報をMAやSFAに取り込むことでインサイドセールスの対象リストとして管理できるようにするために名刺管理ツールの導入もあわせて実施しているケースが大半です。
一見、見落としがちですが、これらのツールは、「もっと早く導入しておけばよかった!」となることが多いツールですので、必ず検討しておくことを推奨します。
営業リスト管理の重要性を理解
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アカウントベースドマーケティング(ABM)の理解とツール
名刺管理ツールの説明と比較
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その他よく活用されるツール
上記の4ツール以外にも、インサイドセールスの現場でよく利用されているツールを5種類ほど紹介しておきます。すでに別用途で導入されているツールがあれば上手く流用することでインサイドセールスが円滑に進みます。
ビジネスチャット
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情報・ナレッジ共有ツール
タスク管理ツール
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電子契約
請求管理
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インサイドセールスの採用・スキルアップ/育成・キャリア
いざ、インサイドセールスチームを立ち上げる、となった場合に直面する課題は、チームメンバーの配置です。
社内の異動や配置換えでまかなうのであれば、どんなスキルや特性を持った社員を配置すべきか、新たに採用するのであれば、どんな手法があるのかを知っておく必要があります。
また、配置した人員のスキルアップや育成、キャリアアップについても準備しておかないと、成果を上げるインサイドセールスチームを組織することもおぼつかないでしょう。
インサイドセールスに必要なスキル・特性
インサイドセールスに必要なスキルは「仮説構築」の力と「まめに正確に記録できるライティング力」です。
対面営業に比較して「非言語情報」の割合が下がるため、いわゆる「コミュ力」や、「場の空気を察知」して臨機応変に対応するスキルの重要度は小さくなります。一方で、数多くの商談をチームでこなして行く上で、しっかり記録を残せるライティング力や、限られた情報から、事前にいくつかの仮説を構築しておける「仮説構築」の能力が重要になります。
安易に営業経験がある人材を配置しても上手くいかないケースも多いようです。
――組織づくりの観点で、そもそもインサイドセールスにはどんな人材が向いているのでしょうか?
水嶋:1つ目は、会話の記録をまめに正確にとれること。これは、移動の多いフィールドセールスが苦手にしがちな作業ですが、社内で仕事をするインサイドセールスには必須の能力です。そして2つ目は、記録した情報を見て「次にどんなアクションを取るか」を深く考えられること。インサイドセールスはデータだけではなく人間が相手の仕事ですから、相手や文脈によってその解釈は変化します。これは難しさもでもあるし、楽しさでもある。向き・不向きではなく、きちんと取り組めばできるはずです。
採用方法のパターン
採用方法には、正社員・派遣社員/アルバイト・業務委託があります。
立ち上げ当初は、既存社員をリーダーとした上で、インサイドセールスの経験のある業務委託や派遣社員をチームに入れていくことで、社内調整と経験による試行錯誤の省略を両立できます。
「インサイドセールス求人」などで検索すると、市場の時給相場やスキルセットがつかめますので、情報収集しておくと良いでしょう。
育成方法やキャリアアップ
インサイドセールスは、ログが残るため、ハイパフォーマーの特定が可能、かつ、ハイパフォーマーの録画や録音などがあれば、コール内容を分析して要因を特定することができます。それゆえ、育成の道筋は明確になりやすく、「成長したい」という動機があれば、短期間に見違える成長も可能な職種と言えます。
一般的には、「顧客心理の洞察」を軸に、「商品・サービスの知識」「活用事例や顧客の業務フローの理解」「切り返しトークなどのコミュニケーションスキル」の3つの視点で成長を促すことで、着実に育成が可能になります。
――インサイドセールスをマネジメントする立場にいる場合、何を考えればいいのでしょうか?
水嶋:インサイドセールスの業務にはかなりの工夫の余地がありますが、考えないで数をこなすこともできてしまいます。そうならないためには、インサイドセールスの仕事と「成長したい」という内発的な動機をちゃんと結びつけてあげるといいでしょう。インサイドセールスは記録が残り、ナレッジや経験もためやすい仕事です。だから、1年後に自分の営業記録を見直したら、考える力や営業スタイルに変化が起きていると分かるし、成長を感じられるでしょう。
代行/コンサルティングサービス
自社でインサイドセールス組織を立ち上げるのが難しい場合には、代行やコンサルティングサービスは頼りになります。その分、コストはかかりますので、インサイドセールスを内部に持つのか、外だしするのかは重要な検討ポイントになります。
アポ取得代行サービス
インサイドセールスのゴールを「商談獲得」のみにおくのであれば、アポ取得の代行サービスを利用することは、インサイドセールス導入の補完や代替になり得ます。
本来的には人材育成やサービスへのフィードバックなどの効果もインサイドセールスに期待したい所ではありますが、置かれている状況によっては、そんな悠長なことは行ってられないかもしれません。
フォームアプローチによるアポ取得代行
お問い合わせフォームにアプローチしてアポを取得する手法です。
やろうと思えば誰でもできることですが、独自の企業データベースやアポに繋がりやすいノウハウなどを蓄積することで、効率的・効果的なアプローチを得意とする企業が成功報酬で請け負う形式のサービスが増えてきています。
参考:営業リソースが足りない!? リスク0から始められる成果報酬の新規顧客開拓
電話営業(テレアポ・テレマーケティング)代行
古くからあるテレアポ・テレマーケティング代行でアポを取得するのも、コロナ以降、新たな選択肢として見直されています。テレワークで繋がりにくくなっている分、独自の顧客リストを持っている代行会社にとっては有利な状況でもあります。
参考:新規顧客を獲得!業種・特徴別『テレアポ代行会社』オススメ15選
インサイドセールス代行・組織構築サービス
最近では、インサイドセールスを専門に一部機能を代行したり、組織構築をサポートしているコンサルティングサービスも増えてきています。
自社独力での立ち上げや人員アサインが難しい場合には、アウトソーシングと内製のハイブリッドでインサイドセールスを立ち上げるという選択肢も取ることが可能です。
営業代行・営業コンサルサービス
インサイドセールスのみならず、オンライン化にともない営業プロセスそのものをアウトソーシングする営業代行や、インサイドセールスを含めた全体をコンサルティングする会社に相談する方法もあります。
インサイドセールスの導入目的は何なのか?から考え直し、コアがセールスにないビジネスの場合にはアウトソーシングも選択肢になるでしょう。
- 『営業アウトソーシング』で人手不足を解消!オススメ10社
- ピッタリな営業代行会社はこれ!パターン別ベストのおすすめ会社6選
- 営業代行とは?営業代行会社を選ぶ3つのポイントとオススメ厳選6社
- 大手企業とのアポ獲得なら「カタセル」!継続率87.5%の営業代行とは?
インサイドセールスに関する本・研修・セミナー・資料
インサイドセールスに関する本・書籍
筆者自身が身銭を切って買って読んだ本の中で推薦できる書籍のみを紹介します。
インサイドセールス 究極の営業術 最小の労力で、ズバ抜けて成果を出す営業組織に変わる
本記事でもたびたび引用している著者の本です。インサイドセールスの在り方含めた全体像を把握するために活用できる一冊です。
著者インタビュー:なぜインサイドセールスは成功しない?専門家が説く「インサイト」と「組織改革」の必要性
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
インサイドセールスの概念を日本に普及させた本です。インサイドセールスにとどまらず、BtoBマーケティング全体のプロセスについて理解できる一冊です。
インサイドセールスに関する研修・セミナー
セミナーやカンファレンスは、インサイドセールスに関する旬のトピックスの最新情報や、個別の手法をキャッチアップするのに向いています。
また、参加者はインサイドセールスに実際に従事している方も多いため、実践現場での情報交換など学びが非常に多いためチームメンバーの参加もおすすめです。
その時々において開催されているセミナーが異なるため、個別のセミナーを推薦することは難しいですが、以下のサイトで告知されている中から、興味や課題にあわせたセミナーに定期的に参加していくのは良い勉強法です。
- 『インサイドセールス』セミナー・勉強会・イベント - こくちーずプロ
- セミナー・講座・オフ会 | Web担当者Forum
- BtoB | 日経イベント&セミナー
- イベントに参加する | 宣伝会議オンライン
無料で入手できるノウハウ資料
インサイドセールス支援会社やツールベンダーの中には、書籍レベルのホワイトペーパーを無料でダウンロードできるようにしている会社もいます。
自身がリードとなり、インサイドセールスを受ける側の体験をすることも、インサイドセールスの偏差値をあげる上では重要な体験です。当サイトからダウンロードできる各社のインサイドセールス関連の資料を以下に紹介しておきます。
まとめ
本記事では、インサイドセールスで実際に成果を出せる現場の知識をなるべく要点に絞ってまとめました。
本記事を活用し、参考記事をあわせて読むことで自社のフェーズに合わせた施策で成果を上げることに役立ててください。
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