ホワイトペーパーとは、主にBtoBマーケティングにおいて、リード獲得ツールとして活用される資料を指します。個人情報と引き換えに資料のダウンロードを促すことで、提供者側はリード情報を獲得し、メールやコールなどでの継続的なコミュニケーションを通じビジネスにつなげることを目的としています。
コロナ以降、展示会やセミナーが開催されずリード獲得の手段が限られてきたり、テレワークによる対面営業のハードルが上がっている中、ホワイトペーパーの果たす役割はますます重要になってきています。
しかし、ホワイトペーパーを作るのは想像以上に大変です。自分で執筆・編集すれば相当な労力・時間がかかります。制作会社に外注しても費用がかさんだ上に、思っていたのとはズレたものが仕上がってしまった、という話をよく耳にします。
そこで、本記事では、ホワイトペーパーを効率的に作る方法として、社内にある「ありもの」の資料をアレンジしてホワイトペーパー化することを提案し、その事例、有効性、要素別のテクニックと、公開後にやるべきことまで、わかりやすくまとめました。
実際に当社で制作した実例も交えて、実践的な内容になっていますので、すぐにホワイトペーパーを作成し効果を出せるようになります。
ホワイトペーパーを使ったBtoBリード獲得なら「RentaLISKUL」資料ダウンロード
この記事の監修・執筆
長谷川 智史(はせがわ さとし)@so_hasegawa
ソウルドアウト株式会社 上席執行役員 /メディアエンジン株式会社 取締役CMO 現職ではマーケティング責任者として、オウンドメディア「LISKUL」立ち上げやホワイトペーパー制作を通じ、月間3件だった同社のオンライン経由のリードを2年で月間1000件以上まで増やし、東証一部上場企業にまで成長する一翼を担った実績あり。WACULテクノロジー&マーケティングラボ研究顧問も務める。(執筆記事一覧 )
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最短15分で作れた!ホワイトペーパー実例6選
まずは実際のホワイトペーパーを見ていただく方が早いので、まず当社グループでの実例を6つほど紹介します。
いずれも「社内のありもの資料」をアレンジしてホワイトペーパー化しており、現在もリード獲得に活用しています。(2020年10月時点)ダウンロードから受注につながっているケースも多くあり、すべて効果が実証されているホワイトペーパーになります。
5G時代を見据えた「動画広告」攻略の方向性
5G時代を見据えた「動画広告」攻略の方向性
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
顧客向けの既存資料を15分程度編集し、ホワイトペーパー化した資料です。
もとの資料は、まだ動画広告に取り組めていない既存顧客に「動画広告を一緒に攻略していきましょう」という提案資料です。5G時代への移行を含めた市場環境から、媒体別の攻略の方向性がまとまっていたため、ほぼそのままホワイトペーパーとして利用できました。
編集ポイント
- タイトルの変更:抽象化して間口を広く
- 事例の一部削除・抽象化
- 「ご提案」など、既存顧客向けの言い回しを「方向性の示唆」など情報提供に変更
非対面型オンライン接客時代のLINE公式アカウント活用術
非対面型オンライン接客時代のLINE公式アカウント活用術
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
ウェビナーでの講演資料を15分程度編集し、ホワイトペーパー化した資料です。
ちょうどコロナによる緊急事態宣言が出た直後に開催されたウェビナーの資料で、対面接客ができなくなった状況下における、方向性を示した資料です。先行してLINE公式アカウントを活用した非対面型への移行事例を解説した資料だったため、ほぼそのままホワイトペーパーとして利用できました。
編集ポイント
- 自己紹介やアイスブレイクコンテンツの削除
- セールス情報の追記
- 実施時からアップデートされたプロダクト情報を反映
SEOのみで500万人を集めた 「LISKULのSEO手法」大公開
SEOのみで500万人を集めた 「LISKULのSEO手法」大公開
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
こちらもセミナー資料を15分程度編集し、ホワイトペーパー化した資料です。
セミナー資料は、ホワイトペーパー同様、セールス色は出さずに役に立つ情報を提供する目的で作成されているケースが多いため、ほぼそのまま利用できることが多いです。
編集ポイント
- 自己紹介やアイスブレイクコンテンツの削除
- セールス情報の追記
- 実施時からアップデートされたプロダクト情報を反映
【代理店向け】運用型広告にまつわる情報をピックアップ『SOTマガジン』6月号
【代理店向け】運用型広告にまつわる情報をピックアップ『SOTマガジン』6月号
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
すでにサービスをご利用いただいている既存顧客向けのマガジンを15分程度編集しホワイトペーパーとして利用している例です。
プロダクトのターゲットが「運用型広告を扱う代理店」と非常にニッチなため、既存顧客向けのマガジンも専門性が高くターゲットと親和性のあるホワイトペーパーになっています。
編集ポイント
- 既存顧客向けの言い回しを修正
- 公開データの抽象化・削除
マーケティングオートメーション(MA)ツール 調査レポート-LISKUL-2019年版
マーケティングオートメーション(MA)ツール 調査レポート-LISKUL-2019年版
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
別目的で調査したネットリサーチの結果を60分程度編集しホワイトペーパーとして利用している例です。
調査データは公開しても良い情報のみ抜粋しホワイトペーパー化。またプレスリリースをあわせて実施すると、露出が増え、ダウンロードにもつながります。
マーケティングオートメーションツールの継続率は96.7%!ツールを導入した90%が満足しているという結果に|ソウルドアウト株式会社のプレスリリース
ちなみに、このホワイトペーパーは、当時MAベンダー向けのサービスを提供していたタイミングであり、MA導入検討者ではなく、MAベンダーや周辺サービスを提供している提供者のリード獲得を目的に作成し、見事な効果を発揮しました。
編集ポイント
- 調査結果サマリなどの追記
- 一部データの抜粋・加工
- データをPPT形式に変換
LP分析シート
LP分析シート
※実際に内容に興味がある場合のみダウンロードいただけますようお願いいたします。
もともと社内のナレッジ共有のために作成したチェックシートを15分程度編集してホワイトペーパー化しています。
ノウハウを公開することに多少のためらいもありましたが、ランディングページに興味のある人のリード獲得に貢献しています。
編集ポイント
- 具体例の削除
- 言い回しを社内向けから外部公開向けに
効果の出るホワイトペーパーをラクに作成するためのたった1つの方法
効果の出るホワイトペーパーをラクに作成するためのたった1つの方法とは、「すでに社内にある資料(ありもの資料)を編集・加工してホワイトペーパー化する」ことです。
改めてイチからホワイトペーパーを作成しようと思っていた方には、あまりうれしい情報ではないかもしれません。それでも、あえて新規のホワイトペーパーを作るよりも、社内のありもの資料をホワイトペーパー化する方をおすすめしています。
その理由を5つ説明します。
理由1:費用や労力がかからない
社内のありもの資料をホワイトペーパー化する最大のメリットは、費用や労力があまりかからないことです。
ホワイトペーパーを新しく作成しようとすると、費用と労力が「それなりに」かかります。10~15ページの簡易なホワイトペーパーでも外注すれば30万円程度はかかります。社内で制作する場合、簡易なものでも10時間~15時間は必要でしょう。このコストや労力をカットできる効果は見逃せません。
また、特に労力がかかるのが、テーマの決定など企画段階です。ありものの資料を使う、という制約がかかることで、ターゲットから必要なテーマ・コンテンツを考える、という思考プロセスが逆転し、資料がハマるターゲットやシチュエーションを探すようになるため、スムーズに進みます。
理由2:すぐに公開できる
「すぐに公開できる」メリットは、想像以上に大きな成果をもたらします。
新規施策として「ホワイトペーパー制作プロジェクト」を立ち上げた場合、公開までに3ヶ月~6ヶ月かかることはザラです。仮に公開までに3ヶ月かかった場合、このホワイトペーパーで期待できる月間リードが100件と仮定しすると、300件の損失です。広告出稿時の獲得単価を仮に10,000円とした場合、300万円分の逸失利益が発生することになります。リードから受注できた場合の期待収益で見ればさらに大きい金額になるでしょう。
さらに、上手くいかなかった場合のリカバリやタイトル・クリエイティブのチューニングなどの要素が加われば、この逸失利益は何倍にも膨れ上がります。
そして何より、この手の公開する制作物を新規に作るプロジェクトは、形になって目に見えやすい分、社内の様々な関係者からツッコミを受けやすい傾向があります。営業部やカスタマーサポートの調整で、公開が遅れるどころか、日の目を見ずにお蔵入りするリスクもあるのです。
理由3:種類・数を増やせる
ホワイトペーパーは、1本作って終わりではなく「種類を増やす」のが勝ち筋です。
社内のありもの資料をアレンジするのであれば、費用や労力がかからない分、数を増やすことは容易です。
また、数があれば、パフォーマンスを比較することが可能です。パフォーマンスが良いホワイトペーパーと悪いホワイトペーパーを比較することで、成果につながる要因を分析し、次に繋げることで、精度はさらに上がっていきます。
ホワイトペーパーが増えるとリード数も増える
ホワイトペーパーも多ければ多いほど、リード数は増加します。ユーザーの潜在ニーズはさまざまで、コスパで刺さる人もいれば、携帯のビジュアルやPCなど他のデバイスとの相性で刺さる人もいます。
引用元:「継続は力なり」 ホワイトペーパーは常に作り続けるから、良い商談につながる|BizHint_実践B2Bマーケティング|note
理由4:有益な情報になることが多い
社内のありもの資料をアレンジしたホワイトペーパーの方が、結果的にユーザーにとって有益な情報になることが多い傾向があります。
元になる資料は、何らかの必要に迫られて作成されているため、必然的に特定の課題やニーズにフォーカスしている内容となっていることが大半です。
一方で、ホワイトペーパーを新規に作ろうとすると「ホワイトペーパーを作る」こと自体が目的となり、他社のよくあるホワイトペーパーに似せた、内容の薄い資料が作られやすい傾向にあります。特に、業界知見があまりない制作会社に依頼すると、デザインは美しいが中身はWeb上のよくある記事の焼き直しホワイトペーパーが制作される傾向があります。(そんなホワイトペーパーをよく見かけないでしょうか。)
自社にとっての「あたりまえ」が、初心者にとって「大きな気付き」になるケースはよくあります。いつも使っている代わり映えしない提案資料や新人研修の資料こそ、説得力と安心感を持つ唯一無二のホワイトペーパーになる可能性を秘めているのです。
理由5:デザインがキレイで体裁が整っていることはさほど成果に影響がない
社内のありもの資料をアレンジする場合に気になるのが、デザインや体裁が整っていないことです。
しかし、内容が優れていれば、デザインや体裁はさほど成果に大きな影響を与えません。
確かに表紙のビジュアルによってダウンロード率が変わることがありますが、それもタイトルのコピーの影響度に比べると軽微です。もしどうしても気になるのであれば、表紙のビジュアルだけでも社内のデザイナーや外注すると良いでしょう。最低限おさえておきたいデザインのポイントについては、次の章で解説していきます。
【種類・テンプレート・デザイン・タイトル】要素別おすすめテクニック
実際に、ありもの資料をアレンジしてホワイトペーパーする際に役立つテクニックを要素別にご紹介します。(既存資料アレンジの際だけではなく、ホワイトペーパーを新規作成する場合にも役に立つテクニックです。)
種類:ターゲットを再確認して汎用的なパターンに寄せる
ホワイトペーパーの種類は、ターゲットとなる企業/担当者の「検討段階」で分類して整理できます。
既存の資料をどの検討段階に向けたホワイトペーパーにアレンジするのかを最初に決めておくことが重要です。検討段階に応じて効果があるホワイトペーパーの種類には傾向があるため、オリジナリティを発揮するよりも汎用的なパターンに寄せていった方が手堅く効果を出すことができます。
4つの検討段階
①意思決定後に接点を持つ :意思決定段階
②トリガーの後に接点を持つ:情報収集・比較検討段階
③トリガーの前に接点を持つ:日常生活段階(主なトリガーは「気づき」)
④認知や好意を形成する:日常生活段階(主なトリガーは「外圧」)
①意思決定段階に効くホワイトペーパーは「サービスガイド」「事例集」「(導入説得用)リサーチ」
意思決定段階は、すでに自社プロダクトを導入に前向きで、あとは不安払拭と社内説得を残している段階です。
提供者側としては、いち早く接点を持って営業につなげたい所ですが、まれに正式決定まで接点が持てないケースがあります。発生確率はあまり高くないので、ケアする優先順位は低めではありますが、この場合、サービスガイドや事例集をホワイトペーパーとしておくと接点を持てる可能性が高まります。
特に、料金を開示していないサービスやプロダクトについては、料金ページを作成し、料金表をダウンロードできるようにしておくことは、SEO観点(プロダクト名×料金の掛け合わせキーワード)からも、実施しておきたい施策です。
また、社内稟議を作成する上で必要になりそうなリサーチ素材や事例集をホワイトペーパーしておくのも有効です。まれに、導入稟議書のサンプルや見積書に社名を入れてダウンロードできるようにしてあるプロダクトもあり、参考にできそうです。
- (参考例:サービスガイド)RentaLISKULサービス資料
②情報収集・比較検討段階に効くホワイトペーパーは「ジャンル入門ガイド」「事例集」「比較表」
情報収集・比較検討段階は、自社プロダクトを含む特定ジャンルのプロダクトや、特定課題を解決するサービスを検討するなんらかの「きっかけ」が発生した後の段階です。検索したり、知り合いに聞いたりして、積極的に情報を収集しているホットな状態のユーザーになります。
この段階のユーザーはホワイトペーパーの内容にしっかり目を通し、良し悪しが選定の参考材料になる傾向があります。内容が優れていれば比較検討のプロセスで優位になる一方で、競合他社に比べて品質レベルが低い場合には、商談前の足切り材料になってしまう可能性もあるため、渾身のホワイトペーパーを準備する必要があります。
- (参考例:ジャンル入門ガイド)【無料Ebook】リスティング広告で成果を出すための全手順
③日常生活段階で気づきを与えるホワイトペーパーは「トレンド系」「(ターゲット環境)リサーチ」「(ターゲットの競合)導入事例」
ホワイトペーパー施策の主戦場となる検討段階がこの領域です。
ターゲットユーザーは潜在的に課題を感じており、課題に気づき顕在化することがトリガーとなって自社サービス検討が始まる可能性のある状態です。ユーザーの興味にフックをかけて、ホワイトペーパーの内容やインサイドセールスのアプローチなどを通じて課題に気づいてもらうことで、商談につなげていきます。
この場合、いかに興味を惹けるか、が勝負になりますので、うまく時流に乗る、新規性がある、など興味につながりやすいテーマ設定が効果的です。冒頭に紹介した資料も、既存資料をホワイトペーパー化するにあたって「5G時代」「非対面型オンライン接客時代」などのタイトルを設定しています。
同様にトレンドを捉える目的でダウンロードされやすいのはリサーチ系の資料です。注意点としては、自社サービスを取り巻くトレンドではなく、ターゲットユーザーを取り巻くトレンドのリサーチ資料をホワイトペーパー化することです。この段階では、課題解決手段ではなく自社の業界トレンドに関心があるためです。
例えば、以下のレポートは、MA導入検討者向けに見えますが、提供側の狙いとしてはMAツールベンダーのリードを取るために作っているホワイトペーパーです。
同様に、ターゲットがベンチマークしている競合企業が登場する事例は抜群に効果があります。例えば、コンビニ業界でいえば、セブンイレブンへの導入事例は、ローソンやファミリーマートの担当者にダウンロードされやすい、というのはデータを見ずとも感覚的に理解できるはずです。
④日常段階で認知や好意を形成するホワイトペーパーは「ノウハウ系」
最後に、認知や好意を形成するホワイトペーパーについても補足しておきます。
すでにコモディティ化しており、課題が潜在化していない系のプロダクトやサービスの場合、2年に1度コンペして見直しするケースや、組織の規模が一定に達した場合など、何らかの外部条件の変化がトリガーになる場合には、気付きを与えるのではなく、来たるべき時に第一想起されるよう認知や好意を積み重ねておくアプローチとなります。
その場合に効果的なのはノウハウ系のホワイトペーパーになります。ノウハウを積極的に発信し活用してもらい実際に役に立つなど、良い印象を形成できれば、検討時に優位に働きます。即効性は低いですが、中長期的にじわじわ効いてくる施策になります。
テンプレート:王道の「課題解決ストーリー」が基本
ストーリー展開にテンプレートを適用してアレンジすべきなのは、日常生活段階で気づきを与えるホワイトペーパーです。(逆に、他のホワイトペーパーはあまりテンプレートを意識する必要はありません。)
アレンジの際、それぞれの要素が欠けていないか、説明する順番がストーリーに沿っているかチェックすると良いしょう。なお、冒頭に紹介した以下の資料でもこのストーリーテンプレートに沿って展開していますので、照らし合わせながら確認してみるとイメージがつかみやすいかもしれません。
①背景・文脈の共有
まず、テーマを取り巻く背景や文脈を共有します。
2020年10月時点だと、Withコロナ時代の新しい生活様式への対応や、来たるべき5Gの導入スケジュールに向けた各プラットフォームの動きなど「すでに起こっている未来」についての情報提供をしていきます。
②課題設定・具現化
次に、そのテーマにおける、陥りがちや不安を感じやすい「あるある課題」を特定して共有します。
提供者の押し付けではなく、できる限り自分ごと化できるような「しみじみ感」のある課題設定が気づきを与えるカギとなります。
③解決策の提示
その上で、課題の解決策を提示します。
解決策=自社プロダクトの導入、という文脈になると、内容によっては一気に我田引水になって興ざめされてしまうので、自社サービスありきではないフラットな解決策を提示していくことがポイントです。
④解決策の具体例(事例・ケース)
解決策の具体例として、事例があるとベストです。
ここでも、自社プロダクトを導入したから、ではなく、自社プロダクトを導入して〇〇が改善したから解決したの〇〇の方を中心に書くことで、フラットな情報提供になります。
⑤サービス紹介・会社紹介
サービス紹介や会社紹介は最後に掲載します。
あくまでも役に立つ情報提供が主眼で、興味を持った人はお問い合わせください、というスタンスが感じられることが重要です。
デザイン:余白とメリハリをつけてシンプルに
ホワイトペーパーのデザインで注意すべきは、余白とメリハリです。
ユーザーはホワイトペーパーをダウンロードした後に、じっくり読んでくれるとは限りません。むしろじっくり読んでもらえないケースが大半です。まず、ざっと眺めてみて、時間をかけて読むのに値するホワイトペーパーなのかどうか判断されます。
ページタイトルや図解、強調されているテキストを拾い読みした時に、引っかかる情報があれば読んでもらえる可能性が高まります。ゆえに、フックとなる要素がしっかりと目に飛び込むようなデザインになっていることが重要です。
また、レイアウトのグリッドが崩れていたり、行間が詰まっていたり、フォントがバラバラだったりすると、信頼性のない印象を抱かれやすいため最低限整えておくべきです。逆に過度なビジュアル要素の差異はかかるコストに見合う直接成果への貢献はありません。
タイトル:CVRに最も効く最重要ポイント。徹底的にこだわる
ホワイトペーパーのタイトルは、ダウンロードされる率(CVR)に最も影響を与える最重要ポイントです。
タイトルの違いでダウンロードされる率が何倍にもなるケースは珍しくありません。
極論、ダウンロードコンテンツの特性上、仮に中身がペラペラな薄いモノでも、タイトルで興味を喚起し、ダウンロードしてさえ貰えればリード獲得は可能です。ある企業では、ダウンロード後にフォローすることを前提に、中身よりもタイトルや説明文を重視しているケースもあるくらいです。(もちろん、コンテンツはダウンロード後の商談化率や好意度、評判に大きな影響があるため、おすすめできる手法ではありません。)
以下のチェックリストを参考に複数案作成し、検証してみると良いでしょう。
成果が出やすいタイトルを作るための7つのチェックリスト
- テーマがターゲットの興味と一致しているか?
- 読むことで得られるベネフィットが明確に伝わりやすいか?
- 数字や固有名詞など、具体性を盛り込めないか?
- わかりやすさなど、簡便性が盛り込めないか?
- 読んで欲しい対象を特定するシグナルを盛り込めないか?
- 有名企業や著名人、評判など、権威性を盛り込めないか?
- 内容と一致しない釣りタイトルになってしまっていないか?
コンテンツ:役に立つ情報提供を徹底する。セールスは最後に
ユーザーは売り込みが嫌いで、自分で理解し、意思決定したい、が大前提です。
特に、課題が顕在化していない日常生活段階では、セールスの臭いを少しでも感じると読み進めてもらえなくなる傾向があります。ホワイトペーパーのコンテンツは役に立つ情報提供を徹底し、セールスの臭いが一切しないことを意識する必要があります。セールスは最後に添えるだけで十分です。
新規制作するなら:提案資料/研修資料を作ってから、ホワイトペーパーにアレンジする
本記事では、社内のありもの資料をアレンジしてホワイトペーパー化することを推奨しています。それでも、どうしてもホワイトペーパーを新規作成したい場合のアドバイスを最後に補足しておきます。
それは、ホワイトペーパーを作ろう、とせず、特定のターゲットユーザー、できれば実際に合ったことのある人に向けた提案資料を作成し、それを上記のテクニックでホワイトペーパー化していくことです。
ホワイトペーパーを作ろうとすると、どうしても他社の参考事例の焼き直しになりがちです。そうではなく、特定のターゲットユーザーに提案する、気付きを与える、ということを主眼においた資料を作るためには、提案資料を作った方が成功しやすいと言えます。
効率よく成果につなげるために知っておくべき5つの注意点
ホワイトペーパーは作って公開して終わり、ではありません。むしろ公開してからがスタートになります。
本章では、ホワイトペーパーを作成した後に効率よく効果につなげる注意点を5つに絞って紹介します。
フォローコールでフィードバックを得る
ホワイトペーパーを公開し、ダウンロード発生後、フォローコールをすることで、多くの示唆が得られます。
- ダウンロードした人は想定していたターゲットと一致しているか?
- どんな検討段階のユーザーが多いのか?
- どの程度読まれているのか?
など、作成時に想定していた仮説が機能しているかどうか、実際のユーザーの声を聞いて検証していきます。
そのため、できれば最初の10件、20件程度は、ホワイトペーパーの企画や編集の責任者が直接フォローコールをすることを推奨しています。ほとんどの人が実施していませんが、実際やってみると驚くほど多くのフィードバックが得られるため、筆者は欠かさず行っています。
広告配信で検証・チューニングする
公開したホワイトペーパーをタイトルや切り口を変えて広告配信して検証していくことも有効です。
BtoBであればFacebook広告が手頃に配信できる媒体です。タイトルのちょっとした違いでクリック率やダウンロード率が大きく変わったり、ターゲティング条件によっても効果が大きく変わります。効果は商材特性やターゲットによって全く違うため一概には言えませんが、相場的にはCPA10,000円程度が目安で、間口が広ければ数千円、ハマれば数百円のCPAで獲得できるケースもあります。
大切なのは、複数のクリエイティブやターゲティングで相対的に比較することにあります。より効果の良かったタイトルをサイト上含めた他の掲載面でも展開することで、全体の効率が底上げされていくのです。
掲載面・接点を増やすことを怠らない
ホワイトペーパーの掲載面や接点を増やせば、その分ダウンロードされる数は増えていきます。
自社サイトのみならず、各種広告プラットフォームへの広告出稿や、業界特化型のポータルサイトでも掲載を受け付けているサイトが多くあります。無償掲載できるサイトもありますので、検索して探してみるとよいでしょう。
ちなみに、当サイトでも、ホワイトペーパーの無償掲載(審査あり)を受け付けています。
資料掲載が完全無料 | RentaLISKUL(レンタリスクル)[無償版]
社内の声を気にしすぎない
ホワイトペーパーを公開すると、社内の人がたまたま目にしてダウンロードされることもあります。
ホワイトペーパーの内容に対して「デザインがイケてない」「当社のサービスの売りはそこじゃない」など、様々な意見が、直接的、間接的に入ってくることもあります。
情報が間違えていたり、古かったり、誤字脱字があったり、という場合には指摘に感謝し修正すべきです。しかし、デザインなど内容に対して見解の分かれる部分については、あまり気にしすぎるとキリがないですし、何より役に立つ情報提供というホワイトペーパーが、社内の声を気にするあまりディフェンシブな内容や表現になっては本末転倒です。
社内の既存資料をアレンジする場合には、元の資料を作った人がいることや、すでに「使われていた」という事実があるため、イチから作った場合よりも作成者へのダメージが少ないこともメリットになります。
情報のアップデート管理を忘れない
忘れがちなのが情報のアップデートです。
特に、料金変更や大きなバージョンアップがあった場合に、古い資料が公開されたままになっていると誤解やトラブルの元になります。無料だから、と掲載場所をやみくもに増やすと管理が大変になることも忘れてはいけません。
どのホワイトペーパーをどこで公開しているかについては、一元管理しておくことが必須です。
まとめ
ホワイトペーパーはBtoBマーケティングに欠かせない重要な施策です。
一方で、作成が非常に億劫で、リソースやコストがかかります。その上、公開してもダウンロードされるかは、タイトル次第で、実際ダウンロードされても読まれていない、なんてことも多いため、真剣に制作する意味があるのだろうか、と思うこともあるかもしれません。
しかし、価値ある情報は必ずビジネスにつながります。「あの時のあの資料を読んで、いつかご相談したいと思っていました。」という声を頂いたことは一度や二度ではありません。
まずは「社内のありもの資料のアレンジ」から、価値あるホワイトペーパーを作成してみてください。
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