新規事業の立ち上げや設備投資など、経営者にとって事業資金の借入が必要になるタイミングがあります。まとまった金額が必要になるため、頭を抱えてしまうこともあるでしょう。
事業資金の借入方法にはいくつかありますが、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあるため、借入をする際にはしっかりと理解したうえで利用することが大切です。
そこでここでは、事業資金の主な借入方法8つを詳しくご紹介していきます。この記事を読むことで自社にとって最適な借入方法を選べるようになります。
事業資金の借入方法は8つ
事業資金の主な借入方法8つの特徴を一覧にまとめてみました。
事業資金借入方法 |
特徴 |
日本政策金融公庫から借入する |
・低金利(2%前後)で借入できる
・融資実行までスピーディ
・無担保・無保証で借入も可 |
金融機関から融資を受ける |
・「プロパー融資」は金利が安いが審査が厳しい
・「信用保証貸付」は保証料がかかるが審査基準は緩和される |
ビジネスローンから借入する |
・スピード融資が可能(~1週間程)
・総量規制の対象外
・銀行融資より金利が高い |
ファクタリングを利用する |
・即日入金可能
・2社間は手数料が高いが取引先にバレない
・3社間は取引先の承諾が必要だが手数料が安 |
クラウドファンディングを利用する |
・不確実な事業でも投資してもらえる
・リターンは現金外でも可
・目標金額が集まらない可能性がある |
ノンバンクを利用する |
・最短即日で借入できる
・金利が高く高額融資は難しい |
信用銀行を利用する |
・銀行よりも敷居が低い
・利息が高く高額融資が難しい |
手形を担保にして借入をする |
・融資よりも早く資金が手に入る
・掛け目により満額は借りられない |
日本政策金融公庫から借入する
事業資金の借入を検討する際には、まず日本政策金融公庫からの借入を検討しましょう。
日本政策金融公庫は政府が運営している金融機関で、低金利で借入をすることができます。
メリット
日本政策金融公庫から借り入れる場合のメリットは以下の4つです。
・低金利で借り入れできる
・申し込みから借り入れまでスピーディ
・無担保・無保証で借入が可能
低金利で借入できる
日本政策金融公庫の最大のメリットといえば、低金利であることが挙げられます。
たとえば、担保不要の融資の基準利率は2.06~2.45%、担保ありの融資の基準利率は1.11~2.10%です。
また、税務申告を2期終えていない企業が対象の「新創業融資制度」の基準利率は、2.41~2.80%です。いずれも、2%前後の利率で借入できることがわかります。
申込みから借入までがスピーディ
一般的に金融機関から低金利で借入する場合、綿密な審査を行うため融資実行まで日数がかかることが多いですが、日本政策金融公庫では申し込みから1~2か月程で借入できます。
無担保・無保証で借入が可能
基本的に日本政策金融公庫の借入では保証人に代表者を付けることが求められますが、「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金」の場合は無担保・無保証で借入することができます。
代表者保証がないので、万が一倒産してしまっても代表者の個人資産を守ることができます。
デメリット
日本政策金融公庫で借り入れを行う際のデメリットは以下の2つ。
・「新創業融資制度」は自己資金の条件あり
・他の金融機関からの借り換え禁止
これらのデメリットは政府が運営する金融機関であるがゆえに発生しています。
「新創業融資制度」は自己資金の条件あり
「新創業融資制度」を申し込むには、「創業資金総額の10分の1の自己資金」があることが条件です。
創業間もない時期の融資審査のポイントは、まだ営業実績や返済実績が少ないため、自己資金に重点が置かれることが多いです。
そのため自己資金が足りない場合、審査は厳しいものになるでしょう。
他の金融機関からの借り換え禁止
前述したように金利が低いのが日本政策金融公庫の大きな利点となっていますが、低金利目当てに多くの顧客がこちらに借り換えてしまうと民間の金融機関が立ち行かなくなってしまいます。
それを防止するため、日本政策金融公庫では借り換えを禁止しているのです。
審査に通るためには事業計画書をしっかり作成する
日本政策金融公庫は審査を行う際、提出資料からわかる経営状況や事業計画・自己資本比率などを総合的に判断しています。
一連の情報を見た後、これなら貸倒れになるリスクが低そうだと信頼してもらうためには、現在の状況を嘘偽りなく記載し、見通しのはっきりした計画書の作成が必須要素です。
プロパー融資から借入する
プロパー融資とは金融機関からの融資の一種で、金融機関が返済能力や実績、将来性などを審査し、「返済能力がある」と判断した企業に直接融資する方法です。
金融機関ごとの基準にしたがって、融資額や金利などの条件が決まります。
メリット
プロパー融資を利用するメリットは以下の3つです。
・融資に関する信用度が上がる
・保証料が必要ない
・高額融資してもらいやすい
融資に関する信用度が上がる
プロパー融資を受けることができるという事自体が金融機関に「この会社は安定して返済できるだろう」評価されていることを意味します。
一度プロパー融資を受けた企業は金融に関する信用度が高まり、将来的に他の方法を含めた資金調達がしやすくなると言えるでしょう。
保証料が必要ない
本来銀行から融資を受ける際は、保証料を払って信用保証協会を仲介する必要があるのですが、銀行と直接取引するプロパー融資はその必要がありません。
高額融資してもらいやすい
金融機関によって異なるのですが、プロパー融資では基本的に融資額の上限が存在しません。
本来、融資限度額は信用保証協会が決定するのですが、前述のようにプロパー融資では銀行との直接取引になります。
銀行にしっかり信用してもらえればかなりの額を融資してもらうことができるのがプロパー融資のメリットの一つだといえます。
審査の厳しさがデメリット
プロパー融資のデメリットとして、融資審査が非常に厳しいことが挙げられます。
プロパー融資は信用保証協会を介した取引ではないので、もし貸し倒れた場合すべてのリスクをその金融機関だけで負わなくてはならないために、プロパー融資の審査基準は非常に厳しく設定されています。
これまで解説してきたメリットも、この厳密な審査を突破した信頼できる企業だからこそ得ることができるというわけです。
審査に通るためには銀行の信用を得る
プロパー融資の審査を通るためには、銀行からの「この会社なら返済可能だろう」という信用が必要不可欠です。
はじめて取引する銀行にいきなりプロパー融資を提案してもほとんど通ることはありません。
銀行からの信用を得るためには、利益をのばして返済能力の高さを証明することは勿論、後述する信用保証貸し付けなどの返済実績を持つことや、事業に関するキャッシュフローを1つの銀行のみで行うことが有効です。
信用保証貸付から融資を受ける
信用保証貸付とは金融機関からの融資の一種で、信用保証協会の保証付きでの貸付を指し、別名「保証協会融資」ともよばれています。
信用保証協会が信用力の低い企業が金融機関から借入する際の保証人になってくれるので、業歴の浅い企業や経営状況が良好でない企業などの場合に、この信用保証貸付がよく提案されます。
メリット
信用保証貸付を行うメリットとして、同じ金融機関からの融資であるプロパー融資と比べて融資審査が通りやすいことが挙げられます。
万が一債務者が貸し倒れてしまっても信用保証協会が代わりに返済してくれるので、融資基準が比較的緩くなるのがその理由です。
長期での借り入れが可能になるほか、場合によっては担保がなくても借り入れできる場合もあります。
デメリット
信用保証貸付を利用するデメリットは以下の2つです
・保証料を支払う必要あり
・審査機関が長くなる
保証料を支払う必要あり
信用保証貸付を利用するばあい、信用保証協会に保証料を支払わなくてはなりません。
保証料は保証期間や貸付金額、返済方法などを基準に決定され、原則融資開始時に一括で支払うので、その分のコストがかかる点には注意が必要です。
審査機関が長くなる
信用保証貸付のもう1つのデメリットは審査機関が長くなる点です。
貸し付けを行う金融機関と信用保証協会の両方で審査が行われるので、審査開始から融資の有無が決定するまでに時間がかかってしまいます。
審査に通るためにはなじみの銀行を利用する
信用保証貸付の審査を通るには、プロパー融資と同様に取引先の銀行との良質な関係がカギになってきます。
これまでに取引したことのあり、自社企業についてしっかりと把握している銀行に相談することで、審査をスムーズに進めることができるでしょう。
ビジネスローンから借入する
ビジネスローンは法人専用のローン商品で、法人経営者はもちろん個人事業主(フリーランス)も融資対象になっています。
つなぎ資金や決算時などまとまった資金が必要なときに心強い味方となってくれる資金調達方法です。
メリット
ビジネスローンを利用するメリットは以下の3つです。
・事業性資金で利用可能
・「総量規制」の対象外
・融資スピードが速い
事業性資金で利用可能
ビジネスローンは事業資金として利用できるというメリットをもっています。
カードローンなどの他の金融商品では、原則事業に関連した用途に借入金を利用することを認めていないので、借入金を様々な用途に利用可能なビジネスローンはその点で他商品よりすぐれていると言えます。
「総量規制」の対象外
総量規制とは、貸金業法で決められているルールで、「貸金業者は利用者の年収の3分の1を超える金額を貸し付けてはいけない」と規制されているものです。
しかし、ビジネスローンはこの総量規制の対象外なので、返済能力があると判断されれば年収の3分の1を超えて融資を受けることが可能なのです。
この点でビジネスローンは、特に所得が低くなりがちな個人事業主にメリットがあると言えます。
融資スピードが速い
融資スピードは1週間以内というところが多く、金融機関で融資を申し込むよりも早く資金が手に入る点もビジネスローンのメリットです。
デメリット
ビジネスローンを利用するデメリットは以下の通り。
・銀行より金利が高い
・融資限度額が低い
銀行より金利が高い
ビジネスローンは銀行よりもスピード融資が可能ですが、その反面金利が高いというデメリットがあります。
金利の相場は、銀行のビジネスローンで年3%~14%前後、消費者金融で年5%~18%が目安となっています。
長期間の借入になると利息の支払い負担が大きくなりますので、短期間の利用で済ませることがポイントです。
融資限度額が低い
ビジネスローンは金融機関からの融資などと比べて限度額が少額です。
最大でも1000万円ほどが上限となっており、それと同等かそれ以上の融資が必要な場合は前述の信用保証貸付やプロパー融資など、他の手段を検討しましょう。
ビジネスローンの審査に通るためには
ビジネスローンの審査は金融機関の融資と比べて難易度が低めに設定されています。
審査を通過するためには、税金の納入状況などの信用情報に問題がない事や資金計画をきちんと作成できていることも大切ですが、特に気を付けたいのが自社の情報をごまかすことなく伝えることです。
ビジネスローンの審査において、虚偽の情報を伝えていることが分かるとほぼ確実に落とされてしまいます。
審査の際に伝える情報は過度に見栄を張ったり嘘を盛り込んだりしないよう心がけてください。
ファクタリングを利用する
ファクタリングとは、手持ちの売掛債権(売掛金など)をファクタリング会社に売却することで、支払期日よりも早く資金を手に入れる方法です。
ファクタリングには、利用会社とファクタリング会社の2社で取引を行う「2社間ファクタリング」と、それに売掛先会社も加わる「3社間ファクタリング」があります。
ファクタリングとは、手持ちの売掛債権(売掛金など)をファクタリング会社に売却することで、支払期日よりも早く資金を手に入れる方法です。
ファクタリングには「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」があります。
メリット
ファクタリングの主なメリットは以下の2つです。
・即日現金化が可能
・売掛先の倒産時に、返済義務が生じない
・信用情報に影響を与えない
即日現金化が可能
現金化のスピードが早く、なかには当日の現金化が可能なファクタリング会社もあります。
ほかの資金調達の方法と比べて圧倒的に現金化までが早いので、資金繰りに悩んでいる企業の切り札となります。
売掛先の倒産時に、返済義務が生じない
厳密にいうと借入ではなく、売掛債権を買い取ってもらうサービスなので、返済義務が発生しません。そのため、売掛先の倒産などで売掛債権を回収できないケースを避けることができます。
信用情報に影響を与えない
ファクタリングは売掛債権を買い取ってもらうサービスのため、会計上負債が増えるなど、信用情報に影響を与えません。
ファクタリングの利用履歴がバレづらいので、今後の銀行融資などにも影響しづらいです。
デメリット
ファクタリングの主なデメリットは以下の2つです。
・手数料がほかの融資方法よりも高い
・3社間取引の場合、売掛先企業の承諾が必要
手数料がほかの融資方法よりも高い
ファクタリング会社を利用する場合、ほかの融資方法と比べて手数料が割高です。手数料が高いということを念頭においたうえでサービス利用を検討しましょう。
2社間ファクタリングで10~30%、3社間ファクタリングで2~20%前後の手数料がかかります。
3社間取引の場合、売掛先企業の承諾が必要
ファクタリングサービスは2社間と3社間の2種類がありますが、3社間の場合は売掛先からファクタリングサービスの利用の承諾が必要です。そのため、ファクタリングの利用が取引先に知られてしまいます。
取引先にばれないようサービスを利用する場合、手数料が高くなりますが、2社間ファクタリングの実施が無難です。
審査を通すためには売掛先の信頼情報が重要
ファクタリングの審査を通すためには、売掛先の信頼度が特に重要です。
売掛先の事業の継続性や事業規模などを中心に判断されることが多く、自社の安定性は特に重要視されていません。
ファクタリングは比較的審査が柔軟という特徴がありますが、売掛先が倒産などした場合回収できなくなる可能性があるので、信頼が難しい場合は審査に落ちてしまう可能性も否定できません。
特に「赤字決算」「個人事業主」などの不安要素が複数あると審査に落ちる可能性もその分高くなるので注意しましょう。
参考:
ファクタリングとは?図解でわかりやすい解説・手数料・違法会社を避ける7つのポイント
クラウドファンディングを利用する
クラウドファンディングは、インターネットを通じて、不特定多数の人に資金提供を呼び掛ける、新しい資金調達手段です。
趣旨に賛同した人から資金を集めますが、見返りの種類によって次の3タイプに分けられます。
種類 |
特徴 |
購入型クラウドファンディング |
代表的な形態。出資者は金銭以外のもの(世に出ていないものやサービス、特典など)を得られる |
金融型クラウドファンディング |
出資者に金銭的なリターンがある |
寄付型クラウドファンディング |
出資者はあくまでも寄付として出資するのでリターンなし |
メリット
クラウドファンディングを利用して資金調達するメリットは以下の2つです。
・不確実な事業でも投資してもらえる
・リターンを現金以外に設定できる
順に確認していきましょう。
不確実な事業でも投資してもらえる
確実に利益が出るとは言えない事業の場合、金融機関から借入をすることは難しいですが、クラウドファンディングなら趣旨に同意する人からの出資なので、資金を調達しやすいというメリットがあります。
リターンを現金以外に設定できる
出資者にリターンが発生するクラウドファンディングの場合でも、現金以外のものをリターンにすることができます。
ものやサービス、特典など必ずしも現金である必要がありません。
前述の寄付型クラウドファンディングのように、そもそもリターンを設定する必要がない場合もあります。
デメリット
クラウドファンディングの弱みは、出資者が少ない場合目標金額まで到達できないこともあるということです。
審査に通れば確実に決まった額の資金が手に入る他の資金調達手段との最大の違いであり、確実に資金を手に入れるには他の手段と合わせて利用するのがおすすめです。
クラウドファンディングを成功させるには
クラウドファンディングを成功させるには、事業に賛同してくれる人をいかにたくさん集め、信頼してもらえるかがカギになります。
賛同者をたくさん集めるには、事業計画の正確さ・詳細さはもちろん、投資するメリットの説明がとても重要です。
金融機関ではなく個人のお金を集めるというシステム上、資金の使い方の説明や賛同者との積極的な連絡といった、誠実さを感じさせる行動が信頼を集めるためには必要になります。
ノンバンクを利用する
ノンバンクとは、銀行以外の貸付業務を行っている業者のことをいい、そこから資金調達をする方法もあります。ノンバンクには例えば、消費者金融、事業者金融、信販会社などが存在します。
メリット
ノンバンクを利用して資金調達するメリットは以下の2つです。
・融資スピードが速く利便性が高い
・融資までのハードルが低い
融資スピードが速く利便性が高い
ノンバンクの融資は銀行融資に比べて融資スピードが早いというメリットがあります。
業者によっては即時融資に対応しているところもあります。
また、申し込みがアプリからできるなど、利便性が高いです。
融資までのハードルが低い
銀行融資などと比べて審査に通過しやすいのがノンバンクのもう1つのメリットです。
審査時に提出を求められる資料が少ないほか、経営状態が悪く赤字や未納税金を抱えた状態でも、場合によっては会社の将来的成長を考慮して融資を行ってくれます。
利用方法によっては担保や保証人がいない状態でも融資を受けられるというのも大きな特徴です。
デメリット
ノンバンクで資金調達するデメリットは以下の2つです。
・金利が高い
・高額融資が難しい
金利が高い
ノンバンクは銀行よりも金利が高い傾向にあります。
ノンバンクの資金元は銀行なので、銀行に返済することを考えるとその分金利を高くする必要があるからです。
審査時に担保や保証人が必要ない資金調達を選択した際は、その分さらに金利が高くなってしまいます。
高額融資が難しい
ノンバンクは基本的に小額融資のところが多いので、高額融資を希望する場合には予定額に満たない可能性があります。
審査に通るためには経営者の信用情報をアピール
ノンバンクでの資金調達を成功させるには経営者の信用情報がしっかりしている必要があります。
税金滞納や赤字経営でなく、返済能力があると認められるようであれば審査を通過するのは簡単です。
経営上の問題を抱えている場合は、面談時の態度や提出書類の分かりやすさ、丁寧さから会社の将来性を高く評価してもらえるよう努めると通過しやすくなります。
信用銀行を利用する
銀行の借入審査に通らなかった場合は、信用銀行(信用金庫や信用組合)を利用することもひとつの方法です。
一般的に、審査の難易度でいうと、銀行>地方銀行>信用銀行という傾向があるので、地方銀行の審査に通らなかった場合に、チャレンジしてみるのもいいでしょう。
メリット
・小規模経営でも利用しやすい
・地域に根差した情報提供
小規模経営でも利用しやすい
信用銀行は銀行に比べて親しみやすく丁寧な対応をしてくれる傾向があります。
定期的に来社して経営の相談にのってくれたり資金調達の必要がないか話に乗ってくれたりします。
地域に根差した情報提供
信用金庫ではその地域の事業支援や起業支援を行っていることが多く、資金調達をする際に、自分たちの事業に関する顧客やビジネスパートナーなどの情報提供を受けることができます。
デメリット
信用銀行を利用するデメリットには以下の2つがあります。
・銀行よりも金利は高く高額融資は厳しめ
・卒業制度が存在する
銀行よりも金利は高く高額融資は厳しめ
信用銀行は銀行の貸付先には該当していない小規模な会社への貸付が多いので、1件ごとの利益が少なくコストがかかります。
その分どうしても銀行よりも金利を高くせざるを得ないという事情があります。
また、資金量の面から、銀行に比べて高額融資が難しいケースがあります。
卒業制度が存在する
信用金庫を利用するためには、「従業員が300人以下」あるいは「資本金が9億円以下」の少なくともどちらか一つを満たしている必要があり、これらの条件を満たせなくなると信用金庫の融資から「卒業」しなくてはいけません。
卒業後すぐに融資がなくなるわけではありませんが、長期の融資を受ける場合は注意が必要です。
審査を通過するためには地域密着型の事業運営をする
信用金庫の融資を通過するためには、それまでの取引に返済遅延や税金未納といったマイナス要素が存在しないことも大切ですが、地域とその会社とのつながりがどれだけ深いかが重要な審査基準になっています。
なぜなら、信用金庫の目的が営利ではなく地域の活性化や地元企業への利益還元になっているからです。
地元にいい影響を与える、地域全体を活性化させる事業計画を提案することで、審査を通過しやすくなります。
手形貸付を利用する
手形を担保にして借入をすることもできます。
この方法は手形貸付と呼ばれ、一般的に担保というと、不動産や機械設備などが対象になりますが、こういったものを持っていない場合に手持ちの手形を担保にして借入をすることができます。
メリット
手形貸付を利用するメリットは以下の2つです。
・審査が早い
・金利が安い
審査が早い
手形貸付のメリットとして審査にかかる時間が短い点が挙げられます。
銀行にとってのリスクや事務作業が少なく済むのが主な理由です。
条件によっては即日融資を受けることもでき、手形貸付の大きな魅力となっています。
金利が安い
金利が安いのも手形貸付の大きな利点です。
前述のように、手形が担保になったおかげで銀行の抱えるリスクが少なく、低金利での借り入れができるのです。
デメリット
手形貸付を利用するデメリットは以下の2つです。
・手形の全額が借りられるわけではない
・返済までの期限が短い
手形の全額が借りられるわけではない
銀行では、差し出された手形の振出人の信用度や支払期日までの期間などをもとに審査します。
振出人の信用度が低い、または支払期日までの期間が長いと手形が換金できなくなるリスクが高くなるため、受け取れる金額が少なくなります。
例えば500万円の手形が400万円になるといったイメージで、この場合の「掛け目」は80%です。
つまり、500万円の現金が必要な場合は500万円以上の額面の手形が必要になるということです。
返済までの期間が短い
手形貸付は原則借り入れてから半年~1年という短期間で返済しなければいけません。
期日までの返済に失敗した場合、金融機関全体からの信用を大きく失ってしまい、新しい融資を受けにくくなってしまいます。
審査に通るためには融資の妥当性に気を付ける
手形貸付は審査が早いのがメリットですが審査自体は比較的厳しめです。
必要書類や面談を通して得たあらゆる情報を参考に審査が行われますが、審査を通過するには、なぜ融資を受ける必要があるのか、どうやって活用し如何にして返済するのかを、論理的に筋道立てて説明できる必要があります。
事業資金を借入する際の注意点
事業資金を借入する際に注意していただきたい点が3つあります。
後に後悔しないように借入前に確認しておきましょう。
本当に借入をする必要があるのかを考える
まずは、本当に借り入れをする必要があるのかどうかをもう一度検討してみましょう。
資金繰りに困窮して借入を検討している場合、借入以外の資金調達法を利用できないか検討してみるのも有効です。
参考:
中小企業の資金調達7選|融資以外で事業資金を作る方法
新たに設備を導入する資金として借入を検討する際、その設備がどれほどの利益をどれほどの期間で生み出すのかを、現実的な数字を用いてきちんと説明できるように検討しましょう。
また、借入が必要だとしても、妥当な金額かどうかも確認してみてください。
借入額が多いほど支払う利息の負担が大きくなりますので、余計なコストがかさんでしまいます。
資金繰り表などを用いて今後の見通しを想定した借入額を再度計算してみましょう。
返済計画をしっかりと立てる
返済計画はしっかりと立てましょう。
現実的で理路整然とした返済計画は、スムーズな借入返済につながるのみならず、取引先の金融機関の理解・信用を深め、融資可能額の増加や返済期間の延長、借入金利の引き下げといったプラスの影響を受けることにもつながるからです。
返済計画を立てる際は以下のポイントを必ずチェックしましょう。
・返済方法は何か
・何年かけて返済するのか
・毎年の支払い額・支払利息はいくらか
・返済にどれほどの余裕が存在するか
参考:
借入金の返済計画書の作り方!返済計画の立て方やテンプレートも合わせて大公開!
自治体独自の融資制度があるか確認する
自治体によっては独自の事業資金融資制度があるので、資金繰りに困ったらまず確認してみましょう。
自治体にもよりますが、信用保証料の一部を補助してくれたり利子の補給をしてくれたりするところがあります。
「地域名 融資制度」で検索をかけると各都道府県、自治体ごとの融資制度説明ページがヒットします。
それぞれの自治体の経営支援課など、相談窓口を利用すれば自分の状況に適した融資制度の紹介を受けることができます。
自治体融資を検討する際、最低限確認しておきたいポイントは以下の通り。
・どの団体が行っているのか
・金利はどのくらいか
・必要書類は何か
・個人向けか法人向けか
・審査の難易度はどのくらいか
・実際に融資を受けるまでどのくらいの時間がかかりそうか
参考:
【2020年最新】公的融資制度で国や自治体から資金を調達する方法!中小企業が創業資金や事業資金を借入するコツ
まとめ
事業資金の借入方法にはさまざまなものがあります。
審査の難易度や必要な時間、融資の上限額など、サービスによって様々な違いが存在しますが、どの方法でも審査においては「きちんと返済できる」という自社企業に対しての信頼をいかにして勝ち取るかが重要視されます。
資金調達を成功させるためには、自社企業の経営状況や借入の必要性をしっかりと把握・説明し、未来の事業計画、返済計画をきちんと立てることが大切です。