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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
まずはデジタルトランスフォーメーションの基本的な意味から解説します。デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味
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出典:総務省
DXと略すのはなぜ?
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語は「DX」です。DTと略しても間違いではありませんが、通常はDXと略します。 「デジタルトランスフォーメーションをDXと略すのはなぜ?」というのが気になるところですが、答えは“Trans”は“X”と略されるからです。「Transformation=X-formation」と表記されることもあります。![](http://liskul.com/wp-content/uploads/2021/01/image4.png)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは何をすることなのか?3つのポイント
デジタルトランスフォーメーションの意味を聞いても、正直「わかったような、わからないような…」という方が多いのではないでしょうか。 デジタルトランスフォーメーションは、前述のとおり2004年にストルターマン教授が提唱した概念ですが、その辞書的な意味だけ捉えていても、実務で役立ちません。 デジタルトランスフォーメーションとは、具体的に何をすることなのでしょうか。ここでは、2020年代の日本国内におけるデジタルトランスフォーメーションについて、具体的に解説します。3つのポイントがあります。(1)古い既存ITシステムの刷新
1つめのポイントは「古い既存ITシステムの刷新」です。 というのは、約8割の企業がレガシーシステムを抱えている現状があります。レガシーシステムとは、老朽化・肥大化・複雑化・ブラックスボックス化した古いシステムのことです。レガシーシステムには大きく分けて2つの問題があります。 1つめの問題は、保守運用が属人的となり、多くのリソースが割かれてしまうこと。多くの企業では、レガシーシステムに貴重なIT人材資源が取られ、リソースの浪費が起きています。 2つめの問題は、レガシーシステムが足かせになってデジタルトランスフォーメーションの推進ができないことです。古いシステムのままでは、現代のデジタル技術に対応ができません。 実際、約7割の企業が「レガシーシステムがDXの足かせ」と感じています。出典:総務省
企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組むときのファーストステップは、社内の古いITシステム(レガシーシステム)を刷新するところから始まります。出典:総務省
(2)デジタルテクノロジーを活用した新しい商品・サービスの開発
2つめのポイントは「デジタルテクノロジーを活用した新しい商品・サービスの開発」です。 5G・IoT・AIなど、新しいデジタルテクノロジーが開発されていますが、開発されたデジタルテクノロジーを企業がどのように創意工夫して活用するかが、デジタルトランスフォーメーションにおける重要なポイントです。 新しい商品・サービスを開発することは、言い換えれば、人々に新しい価値を提供することです。 デジタルトランスフォーメーションの基本概念として「人々の生活のあらゆる面で良い方向への変化が起きる」ことは先にご紹介したとおりです。これを各企業に落とし込めば、「デジタルテクノロジーを活用した商品・サービスによって新しい価値を創造し人々の生活に変容を起こす」と言い換えることができるでしょう。 例を挙げれば、5Gによって実現する自動運転、AI技術を利用した365日24時間の顧客サポートなどは、人々の生活に変化を起こしています。(3)デジタル化によるビジネスモデルの変革
3つめのポイントは「デジタル化によるビジネスモデルの変革」です。 例えば、今まではアナログで行っていた業務をシステムで自動化する、高度なデータ分析を導入することでマーケティングの取り組み方を変えるといった具合に、デジタル技術を業務に取り入れていきます。 農業や工業などの産業界であれば、作業ロボットやドローンの導入も、デジタル化のひとつとなります。 企業のあらゆるシーンにおいて、デジタル化を推進し、ビジネスのあり方そのものを変容させていくことは、デジタルトランスフォーメーションの重要なポイントです。 まとめると、デジタルトランスフォーメーションとは、具体的に何をすることなのかといえば、「デジタル技術を活用した社内のITシステムの刷新・新しい商品サービスの開発・ビジネスモデルの変革」と押さえておきましょう。デジタルトランスフォーメーション(DX)が重要な理由
デジタルトランスフォーメーションには、すべての企業が取り組むべきなのでしょうか。答えはYESで、これからの時代を企業が生き残るうえでは、デジタルトランスフォーメーションが非常に重要です。 ここではその理由を解説しますが、簡単に結論をお伝えすると、国がデジタルトランスフォーメーションを政策として推進しているため、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションへの取り組みをスタートしており、この流れに乗り遅れれば市場での競争力を失うからです。 詳しく見ていきましょう。国が政策として推進
国が政策として推進している具体的なポイントとして、「DX推進ガイドライン」と「DX銘柄」をご紹介します。経済産業省のDX推進ガイドライン
経済産業省はデジタルトランスフォーメーションを推進するために、2018年に『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』(DX推進ガイドライン)を策定して公表しています。 DX推進のための経営のあり方、仕組みと、DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築の2つから構成されたガイドラインです。多くの企業が、このガイドラインをもとにデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。ガイドラインの全文はこちらのURLからPDFでダウンロードできます。出典:経済産業省
DX銘柄2020
経済産業省は企業のデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みを強く推進する目的で、「DX銘柄2020」を発表しました。 DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、“デジタルトランスフォーメーションを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業”を選定して紹介するものです。 経済産業省によれば、 “DXを推進している企業は、単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業であり、当該企業のさらなる活躍を期待するもの” とのことです。実際に「DX銘柄2020」として公表された35社は以下のとおりとなります。 ▼DX銘柄2020一覧(35社、業種・証券コード順)さらに、“DX銘柄に選定されていない企業の中から、総合的評価が高かった企業、注目されるべき取組を実施している企業”が「DX注目企業2020」として21社、公表されています。 ▼DX注目企業2020一覧(21社、業種・証券コード順)出典:経済産業省
以上から、経済産業省がデジタルトランスフォーメーションの推進を強く進めようとしていることがおわかりいただけるでしょう。出典:経済産業省
2025年までにDXが進まなければ巨額の経済損失リスクがある
では、なぜ国はそこまでデジタルトランスフォーメーションを推進しようとしているのでしょうか。その理由は、2025年までに国内企業のデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、巨額の経済損失リスクがあるからです。 これが詳しくレポートされているのが『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』です。複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想される IT 人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある 出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~と記載されています。 「レガシーシステム」については先に解説したとおりですが、レガシーシステムの刷新を怠った場合、2025年頃から問題が顕在化することが予想されています。「最大12兆円/年の経済損失」という衝撃的な試算です。 レポートでは「2025年の崖」という表現が使われています。2025年までに古い基幹情報システムの保守サポートやIT人材の引退によって、レガシーシステムを利用し続けるリスクが高まると考えられているのです。 このような背景から、国として2025年までに急ピッチでデジタルトランスフォーメーションを推進したい思惑があることがわかります。
企業としてDXの波に乗り遅れれば競争力を失う
国がデジタルトランスフォーメーションを推進している以上、「企業の社会的責任として、国家の方針に従う」という観点はもちろん重要ですが、それ以上に企業にダイレクトに影響を及ぼすのが市場における競争力です。 国が推進しているだけでなく、コロナ禍におけるオンライン化の流れを受けて、デジタルトランスフォーメーションが強烈なムーブメントになっています。例えばGoogleトレンド(キーワードの検索回数)を見ても、一目瞭然です。![](http://liskul.com/wp-content/uploads/2021/01/image14.png)
デジタルトランスフォーメーション(DX)で得られる成果・メリット
実際にデジタルトランスフォーメーションに取り組むと、どんな成果が得られるのでしょうか。 ここまでに解説した内容と重複する面もありますが、ここで改めて成果やメリットを整理しておきましょう。3つのポイントを解説します。(1)業務の効率化・生産性の向上
1つめは「業務の効率化・生産性の向上」です。 例えば、老朽化した基幹システム(レガシーシステム)を最新版に変えれば、大幅な業務効率化・生産性の向上が可能です。 「新しいスマホが出るたびに買い替えている」という人は数多くいますが、基幹システムのアップデートをなおざりにしている企業は、2020年代にガラケーを使っているようなものです。 最新版に変更すれば可能になること・効率化できることが山ほどあるのに、それに気づくことができません。そこで、デジタルトランスフォーメーションに取り組めば、社内業務のあり方が大幅に変わります。 具体的な成果としては、時間外労働がなくなって残業代(人件費)を削減できたり、生産性が向上して業績向上に結び付いたりします。(2)セキュリティリスクへの対応
2つめは「セキュリティリスクへの対応」です。 デジタルトランスフォーメーションの「変革」という言葉からは“攻めの姿勢”をイメージする方が多いのですが、実は“企業の守り(守備体制)”においても、デジタルトランスフォーメーションは重要です。 特に、セキュリティ対策を考えるうえで、デジタルトランスフォーメーションは欠かせません。古いIT技術のままでの運用では、セキュリティ対策が甘く、サイバー攻撃に遭うリスクがあります。 そこで、セキュリティレベルの高い最新技術の搭載されたシステムへ変更することで、セキュリティリスクに対応することができるのです。(3)新しい価値の創造
3つめは「新しい価値の創造」です。 企業が顧客の支持を得て、拡大発展し続けるためには、顧客に新しい価値を提供し続けることが不可欠なことは、いうまでもありません。しかし、それがなかなか難しいというのが現実ではないでしょうか。 デジタルトランスフォーメーションの取り組みには、新しい価値の創造プロセスを活性化させる効果があります。なぜなら、既存の要素と新たなデジタル技術を組み合わせるだけで、新たな価値のアイデアが湧き出るようになるからです。 例えば、あなたが健康食品メーカーのEC担当者で、デジタルトランスフォーメーションの取り組みの一環で「AI(人工知能)」を取り入れるとしましょう。- 健康食品 × AI
- ヘルシーな食事 × AI
- 運動 × AI
- ECサイト × AI
- サンクスメール × AI
デジタルトランスフォーメーション(DX)の課題・デメリット
デジタルトランスフォーメーションに取り組むうえでは、課題やデメリットといったマイナス面もあります。3つのポイントを押さえておきましょう。(1)既存システムの刷新に踏み切る難しさ
1つめは「既存システムの刷新に踏み切る難しさ」です。 レガシーシステムが放置されている背景には、「そもそも既存システムの刷新が難しい」という背景があります。 例えば経営トップや力を持っている担当社員が刷新に乗り気でないケースや、システムがブラックボックス化していて刷新の障壁が高くなっているケースが挙げられます。 とはいえ、永遠にレガシーシステムに頼り続けるわけにはいきません。社内体制を整えて、デジタルトランスフォーメーションに取り組む必要性があります。 具体的な対策方法は「デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み方 4ステップ」にて解説しますので、続けてご覧ください。(2)DX人材の不足
2つめは「DX人材の不足」です。デジタルトランスフォーメーションを推進するうえでは、デジタル領域のスキルに強みを持った人材が必要です。 企業によっては、デジタルトランスフォーメーションに割くリソースを捻出できず、取り組みが進まない例もあるでしょう。 中長期的な視点で見れば、できるだけ早くデジタルトランスフォーメーションに取り組んだほうが、貴重な人材資源の確保につながることは間違いありません。しかし、短期的視点では、デジタルトランスフォーメーションへの取り組み自体にリソースが割かれてしまうこともあります。 長期的視点・短期的視点のバランスを取りながら進めていくことが必要です。(3)デジタル投資のコスト
3つめは「デジタル投資のコスト」です。デジタル技術を採用するためには、新たな投資(デジタル投資)が必要になることがほとんどです。 デジタル投資を効率的に収益化できるかどうかは、各企業の経営戦略にかかっています。 明確な目的を持ち、具体的で明確な計画を立ててデジタルトランスフォーメーションを推進していく手腕がないと、デジタル投資を回収できない事態に陥る可能性があります。 かといってデジタル投資を避けて、デジタルトランスフォーメーションに取り組まずにいれば、市場での競争力を失うことは、先にも述べたとおりです。 自社内だけでは難しければ、協力会社のサポートを得ながら、デジタルトランスフォーメーションを推進していく必要があるでしょう。デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例
ここで、デジタルトランスフォーメーションの実際の事例をご紹介します。 『DX銘柄2020』に選定された企業のなかでも特に優良な企業である「DXグランプリ」認定を受けた株式会社小松製作所と、トラスコ中山株式会社の事例をご紹介します。株式会社小松製作所
株式会社小松製作所は、東京都港区に本社を置く建設機械・鉱山機械のメーカーです。2015年から本格的にデジタルトランスフォーメーションに取り組んできた、デジタルトランスフォーメーションの先端企業といえます。出典:小松製作所
小松製作所が2015年から実現してきたこと
小松製作所が2015年から実現してきたのは、従来の施工プロセスのデジタル化です。従来の施工プロセスに最新のデジタル技術を取り入れることで、安全性・生産性を向上させてきました。 例えば、ドローンによる3D測量や検査、IXT機械とアプリを利用した3D施工などの技術を取り入れた施工を行っています。「安全で生産性の高いスマートでクリーンな現場」を実現させているのです。 今後は「ダントツバリュー」としてさらなる進化を目指しています。出典:小松製作所
製品の高度化・稼働の高度化・施工の高度化という3本柱でデジタルトランスフォーメーションを加速させ、新しい未来の施工現場を創造しているのが、小松製作所の特徴です。出典:小松製作所
トラスコ中山株式会社
トラスコ中山株式会社は、工具や屋外作業現場用機具などの卸売企業です。 『どんな時代も「こころざし」を胸に、トラスコ中山らしさ溢れるDXで明るく元気な社風とヒトを醸成していく。』というキャッチコピーのもと、デジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでいる企業です。 トラスコ中山の具体的な取り組みとしては、3つのポイントがあります。出典:トラスコ中山株式会社
(1)基幹システムの刷新
トラスコ中山では、2020年1月に基幹システム「パラダイス」を刷新しています。 問屋としてサプライチェーンの中流に位置するトラスコ中山は、 「ITを活用しDXを図ることで、サプライチェーン全体の商習慣を変え、利便性を高めることに繋がり、日本のモノづくりに貢献することができる」 という考えを持っています。 単に社内の業務改革のみならず、自社の基幹システムの刷新を通して、業界全体のデジタルトランスフォーメーションを牽引しているのが特徴です。(2)新規ビジネスの創出「MROストッカー」
デジタル技術を活用した新ビジネスの創出として「MROストッカー」があります。MROストッカーとは、日本で長年親しまれているビジネスモデル「置き薬」の工具版サービスです。「置き薬」のビジネスモデルにITの力をかけ合わせて、新しい価値を創造したデジタルトランスフォーメーションの事例といえます。出典:トラスコ中山株式会社
(3)最先端物流倉庫「ロジスティクス ワンダーランド」
トラスト中山は、世界最先端の物流機器を導入した倉庫を埼玉県幸手市に建設しています。デジタルとメカ(物流機器)を組み合わせてフル活用したスマート倉庫で、無人搬送車やロボットによって省人化を実現しています。 まさに未来の倉庫を先取りしているのが、トラスコ中山の「ロジスティクス ワンダーランド」です。 参考:トラスコ中山株式会社出典:トラスコ中山株式会社
デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み方 4ステップ
デジタルトランスフォーメーションへ取り組むためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、具体的な流れを4ステップでご紹介します。ステップ1:企業としてのビジョンを明確にする
ステップ2:DX推進の体制を整備する
ステップ3:基幹システムを刷新する
ステップ4:新たなデジタル技術を導入する
ステップ1:企業としてのビジョンを明確にする
1つめのステップは「企業としてのビジョンを明確にする」です。 デジタルトランスフォーメーションに取り組むうえでは、ディスラプション(破壊的イノベーション)を念頭に置く必要があります。一部の部署や社員が取り組むのではなく、明確な経営戦略・ビジョンのもとに会社全体で足並みをそろえて推進しなければ、大きな失敗の原因となります。 まずは、データとデジタル技術の活用によって、どの事業分やでどのような新たな価値を生み出すことを目指すのか、ビジョンを明確にして戦略を立てる必要があります。 同時に、経営トップがデジタルトランスフォーメーションに強いコミットメントを持って、リーダシップのもとに意志決定していかなければなりません。 デジタルトランスフォーメーションの推進は、企業にとって大きな改革となります。改革には、反対や抵抗がつきものです。旗振り役の経営トップのリーダーシップがなければ、社内に大きな混乱を及ぼす結果となるでしょう。 もしあなたが経営トップではなく社員の立場であれば、まずは経営トップへ会社としてのデジタルトランスフォーメーションの方針を打ち出す必要性を進言することが大切です。ステップ2:DX推進の体制を整備する
2つめのステップは「DX推進の体制を整備する」です。 経営戦略やビジョンを明確にしたら、それを実現するために必要な環境を整えていきます。具体的には、DX推進部門の設置や、DX実行のために必要な人材の採用・育成を行いましょう。社内だけでは難しい場合には、社外のサポート会社の協力を得ることが大切です。 加えて、データやデジタル技術を活用した新たなビジネスに対して、新しい挑戦を積極的に行うことを良しとする企業風土の醸成も欠かせません。 たとえ失敗したとしてもリカバリーできる仮説検証のプロセスを社内に定着させ、失敗を恐れずにチャレンジできる仕組みを作りましょう。ステップ3:基幹システムを刷新する
3つめのステップは「基幹システムを刷新する」です。 「(1)古い既存ITシステムの刷新」にて解説したとおり、約7割の企業において、老朽化してブラックボックスとなった基幹システム(レガシーシステム)が、デジタルトランスフォーメーションの足かせとなっています。よって、デジタルトランスフォーメーションの取り組みの第一歩として、基幹システムを刷新することが重要になります。 基幹システムの刷新には、多大な労力が必要なため、多くの企業が後回しにしがちです。しかし「2025年までにDXが進まなければ巨額の経済損失リスクがある」でご紹介したとおり、「2025年の崖」が目前に迫っています。 ここは本腰を入れて、基幹システムを刷新することが、長い目で見たときには絶対的な近道となります。出典:総務省
ステップ4:新たなデジタル技術を導入する
4つめのステップは「新たなデジタル技術を導入する」です。 基幹システムを刷新し、デジタルトランスフォーメーションを本格化する準備が整ったら、新たなデジタル技術の導入を進めていきます。 具体的にどんなデジタル技術を、どのように導入していくかは、企業によって異なります。「ステップ1:企業としてのビジョンを明確にする」にて設定したビジョンに基づいて、戦略的に進めていきましょう。 具体的に、デジタルトランスフォーメーションを推進するうえでチェックしておきたいテクノロジーについては、次の章で解説します。デジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しするテクノロジー
最後に、これからのデジタルトランスフォーメーションを後押しするテクノロジーとして覚えておきたい「5G・AI・IoT」について解説します。5G
まず、2020年にスタートして大いに話題となっている「5G(ファイブジー)」から解説しましょう。5Gは第5世代のモバイル通信の規格で、「超高速・超低遅延・同時多数接続」という特徴を持っています。 5Gの登場によって、スマホでの4K/8K動画、VRなどのコンテンツ、クラウドゲームなど、さまざまな変革が起きています。 さらに、5Gが今までにない大きな変革を起こすのは、「同時接続」が必要な分野と「超低遅延」が必要な分野です。例えば、スマートシティ・スマートハウスや、産業へのロボット・ドローンの導入、クルマの自動走行などは、5Gのテクノロジーが後押しすることで発展・普及が期待されます。出典:総務省
AI(人工知能)
次に、AI(人工知能)の技術の進化も見逃せません。近年注目されているのは「機械学習」の技術です。人間の学習に相当する仕組みをAIで実現するもので、イメージとしては、AIが自ら学び進化していきます。企業でAIを導入すると、業務の自動化・現状の可視化などに役立てることができます。 ▼人工知能(AI)の導入による業務の効率化事例出典:総務省
AI導入について詳しくは「AI導入で期待できることとは?業務拡大や改善に効果的なAIの導入方法」をご覧ください。出典:総務省
IoT(モノのインターネット)
IoT(アイオーティー、Internet of Things)は、あらゆるモノがインターネットに接続された状態を表す言葉です。 2000年代までは、“インターネットに接続しているモノ”といえば、パソコン・タブレット・スマホくらいのものでした。しかし、現在では、インターネットに接続しているモノが日々増えています。 例えば、テレビのインターネット接続機能は標準になりつつありますし、プレイステーションなどのゲーム機もインターネットに接続できます。 家電、住宅設備、クルマ、スマートウォッチ、スマートグラス……と、インターネットに接続できるモノが続々と登場しており、最終的には世界中のあらゆるモノがインターネットに接続されるといわれています。 あなたの会社で行っている事業とIoTを組み合わせたら、どんな新しい価値を創造できるか。ぜひ考えてみてください。まとめ
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「企業がデジタル技術を活用して起こす変革」のことです。デジタルトランスフォーメーションとは具体的に何をすることなのかといえば、以下の3つのポイントがあります。
(1)古い既存ITシステムの刷新
(2)デジタルテクノロジーを活用した新しい商品・サービスの開発
(3)デジタル化によるビジネスモデルの変革
デジタルトランスフォーメーション(DX)は国が政策として推進しており、多くの企業が取り組みを始めています。デジタルトランスフォーメーションの流れに乗り遅れれば、市場で競争力を失うリスクがありますので、積極的にデジタルトランスフォーメーションに取り組む必要があります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)で得られる成果・メリットは以下のとおりです。
(1)業務の効率化・生産性の向上
(2)セキュリティリスクへの対応
(3)新しい価値の創造
デジタルトランスフォーメーション(DX)の課題・デメリットは以下のとおりです。
(1)既存システムの刷新に踏み切る難しさ
(2)DX人材の不足
(3)デジタル投資のコスト
デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例としては、DX銘柄2020グランプリに選ばれた株式会社小松製作所とトラスコ中山株式会社をご紹介しました。
デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み方は以下のとおりです。
ステップ1:企業としてのビジョンを明確にする
ステップ2:DX推進の体制を整備する
ステップ3:基幹システムを刷新する
ステップ4:新たなデジタル技術を導入する
デジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しするテクノロジーとしては、5G・AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)を押さえておきましょう。
デジタルトランスフォーメーションに取り組むうえで役立つ各種資料は「デジタルトランスフォーメーションのお役立ち資料 」からダウンロードできます。さっそくダウンロードして、デジタルトランスフォーメーションをスタートしましょう。