ダイナミック広告はユーザーのサイトの閲覧や行動の履歴から一人一人に適したクリエイティブを表示する広告配信手法です。
しかし、広告の運用初心者の方は、
- そもそもダイナミック広告ってどういう広告なの?
- ダイナミック広告を出稿することでどんなメリットがあるのか知りたい
- 自社でダイナミック広告を利用すべき?
といったことでお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ダイナミック広告の基本情報から活用のメリット、活用する際に事前にやっておくべきこと、広告の効果を高めるコツなどについて解説していきます。
どんな業種がダイナミック広告の利用に向いているか、なども触れていきますので、ぜひご一読ください。
ダイナミック広告とは
ダイナミック広告とは、ユーザーの閲覧状況や行動合わせて、自動的に最適な広告を生成する広告配信手法のことです。
例えば、ユーザーがサイト閲覧しても未購入だった商品や関連商品を、自動的に広告として配信できます。商品に限ったものではなく、物件や求人なども配信可能なため、獲得できなかった顧客への再アプローチなどを自動的に行うことが可能です。
ダイナミック広告の出稿が向いている業種は「商品のアイテム数が多く、情報の更新頻度が高いサービスや商品」です。具体的には以下の業種であれば、ダイナミック広告を効果的に利用できると考えられます。
- 旅行業界
- 不動産業界
- EC、通販販売業界
- 人材業界
上記の業種の場合、商品やサービス数が多く、かつ情報の更新度も高いためにダイナミック広告を利用することで、顕在顧客はもちろんのこと、潜在顧客に対しても効果的なアプローチをかけられます。
ダイナミック広告のメリット
ダイナミック広告の一番のメリットとしては、「ユーザーに合わせた興味のある広告配信ができる」という点ですが、そのほかにもダイナミック広告ならではのメリットがあります。
- 通常のディスプレイ広告と比較して、CTR・CVRを高めやすい
- クリエイティブが自動で生成される
- 自動でユーザーに関連性のある広告を出せる
これらの大きなメリットについて解説します。
通常のディスプレイ広告と比較して、CTR・CVRを高めやすい
ダイナミック広告は、ユーザーの閲覧状況や関心のあるものに合わせた広告を配信できるため、通常のディスプレイ広告で広告配信するよりも、CTRやCVRが高くなる可能性があります。
また、ユーザーとの関連性が高いと自動的に判断すれば、その商品ページに直接誘導することも可能なので、コンバージョンに繋がりやすいです。
今までディスプレイ広告を利用していたが、思うように成果が上がらなかった企業の数字改善に役立ちます。
クリエイティブが自動で生成される
ダイナミック広告は、データフィードという商品データ一覧を準備しておくことで、ユーザーに適したこ広告が自動的に生成されます。
通常のディスプレイ広告では、画像やテキストの準備が必要であったり、媒体に合わせたクリエイティブ制作が必要ですが、ダイナミック広告は、データフィードを共通のものを活用できることが多いため、クリエイティブ制作の手間などの削減につながります。
そのため、広告の配信を検討しているが「クリエイティブ作成の担当者がいない」という問題を抱えている企業でも効率のいい広告出稿が可能です。
自動でユーザーに関連性のある広告を出せる
ダイナミック広告は、興味や関心のものが明確になっていないユーザーであっても、購入の可能性があるユーザーに対し、関連性の高い広告の配信が可能です。
ユーザーに関連性のある広告を出すことで、新規顧客獲得の可能性が高まり、企業としての成果につなげることができます。
どのように関連性のあるものを判断するのかというと、年齢、性別、位置情報などの情報とユーザーの興味のあるものを基に、ターゲット層の中から購入の可能性があるユーザーにリーチします。
また、既存顧客と購買履歴や趣味が類似しているユーザーに対しリーチするので、潜在顧客に対しても効果的にアプローチ可能です。
アップセルやクロスセルを狙える業種や企業であれば、ダイナミック広告を利用することで顧客単価の最大化にも役立ちます。
ダイナミック広告の仕組み
ダイナミック広告は、ユーザーの閲覧や行動といった情報ががサーバーに送られ、その情報を元に適切な広告クリエティブを配信する、というのが大まかな仕組みになります。
具体的に説明すると、ユーザーがサイトで商品を閲覧した場合、「タグ」がユーザー情報や商品情報をサーバーに送ります。
その情報を基に、「データフィード」の商品情報などのデータを機械学習し、ユーザーに最適なクリエイティブを自動生成して配信しています。
閲覧や行動のほかに、ユーザーの年齢や性別といった属性情報を元に「購入する可能性が高い商品やサービス」を配信することも可能なので、CTRやCVRの高い広告配信を実現できます。
ダイナミック広告の種類
ダイナミック広告は、GoogleやYahoo!にそれぞれのディスプレイ広告が存在するのと同じく、ダイナミック広告にも種類があり、媒体や掲載されるサイトが異なります。
また、媒体やサイトによってユーザーの属性も異なるので、自社と合わないダイナミック広告の種類を選んでしまうと、効果が思うように出ない可能性があります。
そうならないためにも、以下ではダイナミック広告の種類と特徴について詳しく解説します。
Facebook・Instagramダイナミック
Facebookのダイナミック広告とは、数多の商品の中からユーザーに関連性のある商品を、Facebookエンジンが自動的に選定し、生成される広告です。
製品カタログという製品情報をアップロードして設定すると、最新情報、在庫情報と連動した広告が配信されます。
配信先は、Facebookのみならず、InstagramやMessenger、Audience Networkへ配信可能です。手動で配信先の設定できますが、最適な場所に自動的に配信することもできます。
特にユーザーの目に留まりやすく、購買意欲を高めやすいInstagramは、Instagramのフィード、ストーリーへのダイナミック広告配信ができます。
Criteo広告
Criteo広告とは、Criteoエンジンによる機械学習やおよそ9割の日本ユーザーがカバーしているという消費者行動データベースにより、サイトを閲覧したユーザーに関連する広告を表示し、再訪を促すダイナミック広告のことです。
ユーザーが、Criteo配信ネットワーク内のサイトを閲覧中に、過去に閲覧した商品情報と関連する商品などを自動でバナー表示します。
Criteo広告は、Yahoo!JAPANをはじめ、Googleなどの様々な広告ネットワークと提携しており、その規模は日本最大級とされています。
Yahoo!ディスプレイアドネットワークの動的ディスプレイ広告
Yahoo!ディスプレイアドネットワークの動的ディスプレイ広告とは、Yahoo!JAPANのトップページやYahoo!ニュース、Yahoo!天気などの提携サイトに配信できるダイナミック広告のことです。
行動履歴を基に、ユーザーの興味関心や関連性のあるクリエイティブを自動生成して提供されます。
Yahoo!は利用者数や掲載面が多く、実際に一部の広告主を対象に試験提供した結果、クリック率やコンバーション率が改善したという結果が出ており、高い効果が期待できるとされています。
ダイナミック広告を始める上で準備するもの
ダイナミック広告で重要な役割を担うのは、「タグ」と「データフィード」が重要です。
設定したタグを元に、顧客に合わせた広告をデータフィードで流すという仕組みになっています。
ダイナミック広告を配信するには、上記2つの理解は必須となります。それでは「タグ」と「データフィード」について詳しく解説していきます。
タグ
ダイナミック広告は、タグを介して、次のユーザーの行動情報を媒体に送ります。
- ユーザーがどのページでどのような商品を閲覧したのか
- 閲覧した商品情報(IDや価格等)
- CTR・CVRの高い商品はどれか
上記の情報を基に、ダイナミック広告が配信されます。
また、媒体ごとに必ず含める必須タグと、出来れば含めてほしい推奨タグというものがあります。これらは媒体ごとに異なります。
例えばCriteoの場合は、次の通りです。
1.トップページタグ |
トップページを閲覧した場合を計測 |
2.リストタグ |
検索結果やカテゴリ、一覧ページに表示された複数の商品を計測 |
3.商品タグ |
閲覧した商品を計測 |
4.カートタグ |
買い物カートページを閲覧した場合を計測 |
5.コンバーションタグ |
購入商品、価格、個数を計測 |
1は強く推奨、2と4は推奨、3と5は必須となります。必須タグのみを設置している場合もありますが、情報は多いほど機械学習も向上するため、推奨も含めた全てのタグの設置をおすすめします。
そして、これらのタグの設置で取得できる内容は媒体によって異なりますが、特に商品IDが重要になります。商品IDとデータフィードを合わせることで、ユーザーの行動情報に合ったものを広告表示させることができるからです。
Criteoのタグの場合、商品一覧ページ、商品詳細ページ、カートページ、CV(コンバーション)ページが、商品IDの取得が可能です。取得できる内容は、タグの階層によって異なります。
データフィード
データフィードは、ダイナミック広告におけるクリエイティブのソースです。データフィードを基にクリエイティブが生成されるため、訴求ポイントを効果的に表示させるのに重要な役割をもちます。
イメージとしては、次の通りです。
引用:ダイナミック広告の基礎知識~特徴・仕組み・種類を詳しく解説します
さらにもう1つの役割として、「レコメンドの精度を高める」があります。レコメンドとは「薦める」という意味で、ダイナミック広告では、レコメンドする商品をデータフィードを基に選びます。
必ず含める必須タグと出来れば含めてほしい推奨タグがあると前項でお伝えしましたが、より多くのデータを媒体に提供し、機械学習させることで、レコメンドの精度が高まり、成果につながります。
ダイナミック広告で効果を出す3つの方法
ダイナミック広告で効果を出すためには、ただ闇雲にタグとデータフィードを設置すればいいわけではありません。
適切なタグを設定し、ユーザーが一眼見て理解できるようなデータフィードでなければ、リドの取りこぼしが発生します。
そのような機会損失を避けるために、以下で紹介する「ダイナミック広告で効果を出す3つの方法」を確認してきましょう。
適切なタグを設置する
ダイナミック広告で重要な役割となるタグを、適切に設置する必要があります。そのためのポイントが3つあります。
- 全階層ページにタグが設置されているか
- ページの種類に合わせて適切なタグが設置されているか
- タグの動的変数値が問題なく取得できているか
まず「全階層ページにタグが設置されているか」は、商品情報が載るページだけではなく、サイトのトップページや一覧ページにもタグの設置をすることで、ユーザーがどの程度閲覧したのか、行動を起こしたのかなどが把握でき、機械学習ができるということです。
「ページの種類に合わせて適切なタグが設置されているか」は、媒体ごとの必須タグと推奨タグを取得し、ページに合わせて適切な設置ができているかどうかということです。
「タグの動的変数値が問題なく取得できているか」は、ダイナミック広告のタグは商品IDや価格など、タグ内で動的に変わる値があります。
変わったことにより、タグとフィードが一致しなければ、ユーザーが興味関心のあるものがわからず、広告として機能できなかったり、配信自体できなくなる可能性があります。
特にCriteoは、不一致は30%を超えた場合、広告の成果に悪影響が出るということから、広告の開始や再開ができないとされています。
そのため、タグの動的変数値についても確認する必要があります。
フィードの情報を最新化する
フィードの情報は実情報と誤りがないよう、常に情報を最新化しておきましょう。
というのも、フィードにある情報を元にした広告からアクセスしたにもかかわらず、実情報と誤りがあった場合には、ユーザーに不利益な情報となります。
例えば、ECサイトの場合、フィードの情報を反映したダイナミック広告では「在庫あり」と表示されているのに対し、実際には在庫がなかった場合、ユーザーを流入させることはできても購入には繋がりません。
それだとダイナミック広告を出しても機会損失になるだけなので、必ずフィードの情報は最新のものに更新しておきましょう。
ユーザーに分かりやすいフィードにする
フィードは、ユーザーにどんな商品やサービスなのかを一目見て認識できるよう、わかりやすい画像やクリエイティブを使用する必要があります。。
例えば食品の場合、パッケージを見せるよりも、食品を盛りつけた写真の方がどのような商品かが分かりやすく、「食べてみたい」という気持ちにもつながりやすくなります。
ダイナミック広告は広告クリエイティブを自動で作成できるものの、使用する画像によっては思うように効果を得られない可能性があります。細かい点ではありますが、神は細部に宿る、ということを意識して、フィードのデザインを工夫しましょう。
まとめ
この記事では、ダイナミック広告の仕組みや利用すべき業種、効果を出す3つの方法について解説しました。
ダイナミック広告は自動で広告クリエイティブを作成し、配信まで行えるために便利な広告配信なので、「別の広告を配信しているけど、思うように効果が出ない」という企業は一度利用してみることをおすすめします。
その際、ダイナミック広告との相性がいい業種であるか確認した上で、広告出稿を始めましょう。