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テレワークとは?メリットデメリットから生産性を上げる導入方法まで解説

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テレワークとは、パソコンやインターネットなどのIT(情報技術)を活用して、勤務先の会社以外の場所で仕事を行う勤務形態のことです。 もともとは、ライフワークバランスの実現や環境負荷の軽減などの観点から、2007年より政策として推進されていたテレワークですが、2020年以降のコロナ禍において、多くの企業が緊急導入を余儀なくされました。 テレワークのメリット・デメリットが明らかになりつつある今、私たちはより良いテレワークの定着に向けて、前向きに取り組んでいかなければなりません。 なぜなら、テレワークは、単なる新型コロナウイルスへの対応のみならず、企業の競争力や業績にダイレクトに影響する要素として定着することが予想されるからです。 本記事では、2020年代以降のビジネスにおいて非常に重要な意味を持つ「テレワーク」について、解説します。
本記事のポイント
  • テレワークの基礎知識が身に付く
  • テレワークのメリット・デメリットが理解できる
  • 正しいテレワークの導入方法を解説
「改めてテレワークについて、正しい情報を得たい」 「メリットデメリットを踏まえて体制を整えたい」 …という方におすすめの内容となっています。 この解説を最後までお読みいただければ、あなたは「テレワークの基本」はもちろん、注意すべきデメリットや正しい導入ステップまで理解できるようになるはずです。 結果、あなたの企業で効果的にテレワークを機能させられるようになるでしょう。 ではさっそくテレワークの解説を始めましょう。

テレワークとは

まずはテレワークの基礎知識から見てみましょう。

テレワークとは勤務先以外で仕事する勤務形態のこと

テレワークとは、パソコンやインターネットなどのIT(情報技術)を活用して、勤務先の会社以外の場所で仕事を行う勤務形態のことです。 テレワークはもともと1970年代にアメリカで渋滞や大気汚染の社会問題をきっかけに生まれました。 近年では、国内でも育児や介護など個人の事情に応じてワークライフバランスを実現する働き方として、テレワークが注目されていた背景があります。 政府は、人口減少に伴う労働力の減少を阻止すべく、2007年5月にテレワーク人口を倍増させる「テレワーク人口倍増アクションプラン」をまとめていました。
出典:テレワーク人口倍増アクションプラン
そんななか、突如発生した2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、必要に迫られた各企業が、テレワークの導入を余儀なくされた現実があります。 実際、内閣府の2020年6月の調査では、就業者の34.5%がテレワークを経験したことがわかっています。
出典:内閣府

テレワークの語源

「テレワークの語源が気になる」という声をよく聞きますので、ここで語源を解説しておきましょう。 テレワークとは、ギリシア語に由来する「遠い(tele)」と英語の「働く(work)」を組み合わせた造語です。 テレワークの「テレ(tele)」は、テレビ(television)・テレフォン(telephone)・テレポート(teleport)などのテレと同じです。 どの言葉にも「遠くの、遠隔の」といった意味合いが入っていることがわかります。

リモートワーク・在宅勤務との違い

テレワークと似ている言葉に「リモートワーク」と「在宅勤務」があります。 まず、前者の「リモートワーク」とテレワークは、同じ意味です。リモート(Remote)は英語で「遠い・遠隔」という意味ですから、テレ(Tele)と同じです。 次に、後者の「在宅勤務」とテレワークは、厳密には異なります。「在宅勤務はテレワークの一種」という位置づけになります。 在宅勤務は自宅で勤務することですが、テレワークで勤務する場所は、自宅の場合もあれば、ほかの場所の場合もあります。詳しくは次章で解説しましょう。

テレワークの3つの種類

テレワークは、大きく次の3種類に分けられます。
  1. 在宅勤務(在宅ワーク)
  2. モバイル勤務(モバイルワーク)
  3. サテライトオフィス勤務

(1)在宅勤務(在宅ワーク)

テレワークの種類1つめは「在宅勤務(在宅ワーク)」です。 在宅勤務は、自宅で会社の仕事を行う勤務形態になります。 具体的には、パソコンを自宅のインターネット回線につないで、クラウドサーバや勤務先のサーバ・ホストコンピュータと接続するなどして業務を行うのが一般的です。 口頭でのコミュニケーションは、近年では電話は利用せず、Zoomなどのビデオ通話ツールを使用して、オンライン上で行うケースが増えています。

(2)モバイル勤務(モバイルワーク)

テレワークの種類2つめは「モバイル勤務(モバイルワーク)」です。 モバイル勤務は、自宅でも会社でもない場所で仕事を行う勤務形態になります。 モバイル端末や無線LANアクセスポイントなどを利用して、移動中の交通機関・営業先近くのカフェ・出張先のホテル・空港のラウンジなど、時と場所を選ばずに仕事できる状態を目指すのが、モバイル勤務の特徴です。 出張が多いビジネスパーソンや、外回りの営業が多い営業パーソンに多い勤務形態といえます。

(3)サテライトオフィス勤務

テレワークの種類3つめは「サテライトオフィス勤務」です。 サテライトオフィス勤務とは、本社とは離れた場所に小規模のオフィスを作り、そこで業務を行う勤務形態です。 本社を中心として見たときに、衛星(サテライト)のように存在することから、サテライトオフィスと呼ばれます。 近年では、自治体が積極的にサテライトオフィスの設置を呼びかけています。都心部の混雑を軽減するとともに、地方での雇用を創出する効果が期待できるためです。 働く人にとっては、通勤時間が短縮できる・地元にいながら都心の企業に就職できるといった利点があります。

テレワークのメリット

テレワークには、どんなメリットがあるのでしょうか。4つのポイントを見てみましょう。

メリット1:感染症流行時や災害時でも事業を継続できる

1つめのメリットは「感染症流行時や災害時でも事業を継続できる」ことです。 これは、2020年に流行した新型コロナウイルスによって、強烈に印象付けられた点ですから、多くの方が認識するところでしょう。 感染症の流行や災害の発生など、従業員がオフィスに出社できなくなったとき、事業を継続できるか・できないかは、その後の企業の命運を分けます。 いざというときにテレワークの体制が整っており、問題なく事業を継続できれば、企業が被るダメージを最小限に抑えることができます。 加えて、有事であってもサービスを提供し続けることは社会利益となり、企業が社会的責任を果たすことにもつながります。

メリット2:ワークライフバランスを実現しやすい

2つめのメリットは「ワークライフバランスを実現しやすい」ことです。 働く側から見たときのテレワークの魅力は、柔軟性と身体的負担の軽減といえます。 在宅勤務であれば、長い通勤時間を省略でき、家から出ることなく仕事が可能です。 自宅で介護や子育てに携わっていてオフィスへの出勤が難しい人も、テレワークという手段があることによって、働くチャンスが生まれてきます。 ワークライフバランスを実現するうえで、重要なカギを握るのがテレワークといえるでしょう。

メリット3:環境保全効果が期待できる

3つめのメリットは「環境保全効果が期待できる」ことです。 テレワークが推進されれば、移動に伴うCO2排出量の削減やペーパーレス化等の環境保全効果が見込める点は、大いに注目したいポイントといえます。 総務省によれば、テレワーク導入による家庭での電力消費量の増加を考慮しても、オフィス・家庭全体で電力消費量は、一人当たり14%削減可能と試算されています。
出典:環境省
テレワークは、企業や働く人々にとって大きなメリットがあるだけでなく、「環境負荷の低減」にも貢献する働き方なのです。 企業が積極的にテレワークを推進することが、環境を守ることにつながります。

テレワークのデメリット

一方、テレワークにはマイナス面もあります。デメリットを見てみましょう。

デメリット1:情報漏洩リスクがある

1つめのデメリットは「情報漏洩リスクがある」ことです。 テレワークでは、従業員がオフィスから離れたさまざまな場所で勤務します。 自宅、カフェ、コワーキングスペース、図書館などでは、セキュリティ対策の施されたオフィスに比較して、情報漏洩のリスクは大幅に高くなることは、いうまでもありません。 例えば、フリーWi-Fi・公衆Wi-Fiに接続すれば、業務に関わる重要情報をこっそり盗み取られる危険があります。 あるいは、オンライン会議の声や開いているパソコンの画面から企業秘密が漏れるケースや、パソコンごと盗難されるケースなども想定されています。 テレワークを導入するうえでは、「セキュリティ対策をどうするか」が重要な課題となります。

デメリット2:労務管理や人事評価がしにくい

2つめのデメリットは「労務管理や人事評価がしにくい」ことです。 上司と部下が同じ空間で働いていれば、常に様子を目で確認できます。 しかし、目に見えない場所で離れて働くテレワークでは、今までのマネジメント方法は通用しません。 結果、労務管理や人事評価がしにくいという課題を抱えやすいのが、テレワークのマイナス面です。 実際にエン・ジャパンの調査によれば、「テレワーク導入のうえで最も難しかったこと」として、テレワーク社員の時間管理が挙げられています。
出典:エン・ジャパン
テレワークを成功させるためには、テレワークでも通用する労務管理や人事評価の仕組みを作る必要があります。

デメリット3:効率性が下がる従業員がいる

3つめのデメリットは「効率性が下がる従業員がいる」ことです。 テレワークの導入時には、多くの企業が「業務効率(生産性)の向上」を目的として掲げています。
出典:エン・ジャパン
しかし、すべての従業員において生産性が向上するわけではなく、一部には逆に生産性が下がるケースもあります。 具体的には、上司や周囲からの監視の目がないために手を抜いてサボってしまう例や、チームワークが薄れたためにチームの効率性が下がる例などが挙げられます。 テレワークで生産性を上げるためには、ツールの導入などの工夫が必要なことがわかります。

テレワークを成功させた企業の事例

テレワークのデメリットを乗り越えて、テレワークを成功させた企業は、どのような取り組みを行っているのでしょうか。 ここでは、4つの事例をご紹介します。

株式会社フューチャーネットワークス

出典:フューチャーネットワークス
横浜のホームページ制作会社「フューチャーネットワークス」では、遠隔地における雇用創出を目的として、地域で在宅勤務の個人事業者に業務委託をするスキームを確立していました。 これを自社の育児期の従業員にも適用することで、従業員のニーズに合わせた働き方を実現しています。 育児や介護に携わっているスタッフでも無理なく働き続けることができるため、専門性の高い人材の確保へとつながっているのです。
テレワーク導入の目的 地域における雇用創出、制作費の削減、および専門性の高い人材の確保
特徴 遠隔地における雇用創出のため、必要なテレワーク環境を整え、地域で終日在宅勤務の個人事業者に業務委託するスキームを確立。このテレワーク環境を自社の育児期の従業員にも適用し、従業員のニーズに合わせた活用により、人材確保と継続雇用を実現している。
メリット・成果 テレワークの活用は地域の雇用創出、従業員の継続雇用に効果がある。会社の成長に合わせて、創業当時20代だった従業員が30代になり、ライフステージに変化が生じ、テレワークが小企業の継続雇用に大きな役割を果たしている。なお、奄美大島の個人事業者にテレワークによる業務を委託しているが、介護期の男性、育児期の女性も活躍している。
参考:厚生労働省

株式会社SiM24

出典:株式会社SiM24
高度な技術を要する解析シミュレーションなどのサービスを提供する株式会社SiM24は、まったく出社をしない完全在宅勤務によって、家庭に埋もれた高スキルを持つ人材を活用している会社です。 高スキルを持つ従業員のすべてが完全在宅勤務であるため、本社には4名分のデスクしかないという徹底ぶりで、競合他社との差別化を図っています。 専門性の高い職種であっても、テレワークが可能になる好事例です。
テレワーク導入の目的 解析シミュレーションに関する高度な知識を有する優秀な人材を確保し、継続雇用する目的がある。また、ネットを介して顧客へ即答性・緊急対応性のある解析サービスを提供できる働き方として、競合他社との差別化を狙っている。
特徴 完全在宅勤務(全く出社をしない在宅勤務)によって、家庭に埋もれた高スキルを持つ人材を活用し、設計現場以外では不可能だった高度な解析シミュレーション業務を、短納期かつフレキシブルに行っている。出産・育児や夫の転勤などライフステージのさまざまな変化に直面した女性がテレワークを活用して能力を発揮し、キャリアの継続を実現するとともに、事業の発展に大きく貢献している。
メリット・成果 高スキルを持つ従業員のすべてが完全在宅勤務であるため、本社には4名分の従業員の机しかない。本社を最小限のスペースで用意することが可能である。また、従業員は自宅で仕事ができるので、遠隔地で働くことが可能である。これにより、夫の転勤により転居の必要があっても同じ会社で同じように働き続けることができる。
参考:厚生労働省

株式会社日建設計総合研究所

出典:日建設計総合研究所 NSRI
建築設計や都市計画などを手がける株式会社日建設計総合研究所は、2011年の東日本大震災を契機にテレワークをスタートしています。 コロナ禍の前から、すでに対象者の6割がテレワークの経験があり、ワークライフバランスの実現に貢献してきました。 特に育児期・介護期の従業員が柔軟に活用しており、従業員の満足度が高くなっています。
テレワーク導入の目的 ワークスタイルの多様化への対応による知的生産性向上と、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現が主な目的である。経営トップもテレワークの推進を経営目標として掲げている。
特徴 建築設計・都市計画等を総合的に手掛ける日建グループのシンクタンクである同社は、2006年の設立当初から「研究組織のオープン化、フラット化」を掲げてワークスタイルの変革に取り組み、職場環境の見直しを図ってきた。東日本大震災を契機に、2011年から研究職を中心とした在宅勤務を開始し、既に対象者の6割がテレワーク勤務の経験がある。通勤負担軽減を目的とした定年退職後の継続雇用者の利用事例や、育児・介護を目的とした男性従業員の利用事例がある。
メリット・成果 知的生産性の向上と従業員のワーク・ライフ・バランスの実現の両立ができている。特に育児期・介護期の従業員が柔軟に利活用していることもあり、テレワークに対する従業員の満足度も高い。通勤の負担がなくなることは、定年退職後継続雇用している高齢の従業員に好評で、「仕事に対する集中力が向上した」「休憩時間に散歩等ができ、精神的に余裕ができた」といった声がある。テレワークによる生産性の低下は、導入当初懸念していたが、特に生じていない。
参考:厚生労働省

向洋電機土木株式会社

出典:向洋電機土木株式会社
電気設備設計・施工を手がける向洋電機土木株式会社は、2008年から在宅勤務制度を導入しています。 人材育成、生産性向上、コスト削減において成果が出ており、従業員からは、 「家族と過ごす時間が増え、精神的・肉体的な負担が軽減されたことで、業務への集中度が増した」 という声が出ているそうです。 従業員本人のみならず、従業員の家族の満足度向上にもつながっており、テレワークの影響力の大きさが感じられる事例です。
テレワーク導入の目的 テレワーク導入の目的は経営の効率化、改善であるが、在宅勤務により、従業員のワーク・ライフ・バランス、ならびに従業員の家族の満足度の向上につながっている。
特徴 2008年1月から経営効率の向上及び改善を目的に在宅勤務制度を導入。テレワーク環境の投資をなるべくせず、工事部門を含む全従業員25名が業務内容にあわせてテレワークを使用した勤務を実施している。全員が公平・公正になるよう、きめこまかなマネジメントを行い、あわせてお客様・従業員・その家族と個人の満足度を高められるような施策(成果管理、メンタルヘルス対策等)を実施している。
メリット・成果 人材育成、生産性向上、コスト削減において成果が出ている。たとえば、テレワークを含めた施策の展開により、従業員一人ひとりの自由裁量権が拡大し、成長を実感している。コスト削減においても、テレワーク単体によるものではないとしても、ガソリン、本社電力消費量、労働時間は平成20年度から大きく削減できている。加えて、従業員からは、家族と過ごす時間が増え、精神的・肉体的な負担が軽減されたことで、業務への集中度が増したという声がある。
参考:厚生労働省

テレワークを成功させるための2つのポイント

テレワークを成功させるためには工夫すべきポイントがあります。2つのポイントをご紹介しましょう。

テレワークのデメリットをツールや仕組み解消する

1つめのコツは「テレワークのデメリットをツールや仕組みで解消する」です。 テレワークには、以下のデメリットがあることをお伝えしました。

▼ テレワークのデメリット

  1. 労務管理や人事評価がしにくい
  2. 効率性が下がる従業員がいる
これらを従業員の意識改革や努力目標によって解決しようとすると、ほぼ間違いなく失敗しますので、十分に注意してください。 従業員のがんばりによる解決には、必ず限界があります。そこで必要なのは「仕組みで解決する」という発想です。 具体的には、デメリットを解決するためのツールや仕組みを導入しましょう。おすすめのツールをご紹介します。
▼ 社内・社外のコミュニケーションに便利なツール 国内利用No.1ビジネスチャット『Chatwork』/Chatwork株式会社 ▼ オンライン営業に便利なWeb会議ツール オンラインセールスに特化した『meet in』/SANGO株式会社 ▼ 顧客対応業務を効率化するIP電話 営業電話・コールセンターの通話内容を分析&可視化する『MiiTel』/株式会社RevComm ▼ 請求書、納品書、支払明細などの帳票を発行する請求書発行システム 19年度 クラウド帳票発行サービス売上シェアNo.1『楽楽明細』/株式会社ラクス

▼ Web上で申請・承認を行うワークフローシステム webとExcelで誰でも作れる直せるwebワークフローシステム『コラボフロー』/株式会社コラボスタイル

さらに詳しくは以下のページをご覧ください。 【2020年最新版】テレワークで人気のサービスと関連資料まとめ【DL無料】

適切なセキュリティ対策をする

2つめのコツは「適切なセキュリティ対策をする」です。 何も対策しなければ、テレワークでは情報漏洩のリスクが高くなりますが、適切なセキュリティ対策を実践することで、セキュリティの確保は可能です。 セキュリティ対策の具体的な方法としては、以下が考えられます。
  • 在宅勤務で使用する機器のハードディスクは暗号化する
  • ハードディスクを持たないシンクライアントPCを使用する(認証用USBを活用した仮想シンクライアントPCでも可)
  • プリンタを用いない、印刷を認めない
  • 極めて機密性の高い文書については、職員権限に応じてアクセス制限をかける
  • 公衆回線であるインターネットへの接続には、不正アクセスやコンピュータウイルス等への対策を行う(外部ネットワークから社内ネットワークへのアクセスを制限するファイアーウォールの導入や、不正アクセスの検知・排除を行うIPS・IDSを導入)
参考:日本テレワーク協会 さらに、万が一セキュリティ問題が発生したときの連絡体制や対応フローをあらかじめ整備しておくことも重要です。

テレワーク導入の方法 7ステップ

実際にテレワークを導入するうえでは、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。 ここでは、厚生労働省が提示している7つのステップに沿って、導入の流れをご紹介します。
出典:厚生労働省

ステップ1:テレワークの導入目的・基本方針の決定

1つめのステップは「テレワークの導入目的・基本方針の決定」です。 まずは、企業としてどういった経営方針のもとにテレワークを導入するのか、明確にする必要があります。 テレワークの導入目的として最も多く設定されているのは「定型的業務の生産性向上」です。
出典: 総務省「平成29年通信利用動向調査」2019年5月
テレワークの導入目的を設定したら、従業員にしっかりと伝え、目的意識を共有する必要があります。 「何のためにテレワークをするのか」という目的が共有されていれば、その目的に向かって従業員が一丸となって進むことができるためです。 この企業としてのまとまりのある推進力が、テレワーク導入成功の源泉となります。

ステップ2:推進体制の構築(プロジェクトチーム結成)

2つめのステップは「推進体制の構築(プロジェクトチーム結成)」です。 テレワークの推進にあたっては、プロジェクトチームの結成が必要です。

▼ テレワーク導入のプロジェクトチームメンバー

  • 導入部門トップ(=リーダー)
  • 経営企画部門
  • 人事・総務部門
  • 情シス部門
  • 導入対象部門
ここで重要なのは、プロジェクトチームのリーダーに、テレワークを導入したい部門のトップを据えることです。 よくある失敗が、人事部門などの担当者がリーダーとなり、現場の支持が得られないケースです。 現場を知り尽くした導入部門のトップがリーダーを務めるからこそ、本当に機能するテレワーク体制の構築が可能になります。

ステップ3:現状把握(業務分析)

3つめのステップは「現状把握(業務分析)」です。 プロジェクトチームが結成されたら、最初の仕事は現状の業務分析です。 業務分析のチェックポイントは、以下のとおりです。
  1. 業務時間:業務にかかる時間がどれくらいか
  2. 使用文書:どのような書類を利用しているか、紙か電子か、電子化の必要な文書はどれくらいか
  3. システム:テレワークでも実施可能なシステムが揃っているか、セキュリティは担保されているか
  4. 個人情報:業務上取り扱う個人情報などはあるか
  5. コミュニケーション:業務は何人で行うか、やりとりの頻度はどのくらいか、Web会議システムで対応可能か
出典:厚生労働省
以上の分析結果を踏まえ、現状の業務を以下のように分類します。
  1. 現状でテレワーク可能な業務

    現状の働き方をテレワークでも支障なく実施できる業務。

  2. 対策実施によりテレワーク可能となる業務

    文書の電子化やコミュニケーション環境の電子化(Web会議の導入など)、セキュリティ対策の実施などによってテレワークが可能となる業務。

  3. 実施困難な業務

    機械的な操作を必要とする業務、人と対面することが必要な業務など。ただし、このような業務であっても報告書を1日まとめて書くなどの対応により、テレワークできる場合もある。

出典:厚生労働省

ステップ4:導入に向けた具体的推進

4つめのステップは「導入に向けた具体的推進」です。 導入に向けて、以下を具体的に設定していきます。
  1. 導入範囲(対象者)
  2. 形態(在宅/モバイル/サテライトオフィス )
  3. 労務管理制度の見直し
  4. 社内制度・ルールの整備
  5. システムの準備(セキュリティ)
  6. 文書の電子化
  7. 執務環境の整備
  8. 教育・研修(意識改革)
出典:厚生労働省
プロジェクトチーム内でディスカッションを重ね、細かな点まで詰めていきましょう。

ステップ5:試行導入

5つめのステップは「試行導入」です。 いきなり本格導入せず、まずは試行導入することが大切です。 ステップ4で定めた具体的な施策内容をもとに、まずはお試し期間を設定して、実際にテレワークを実践してみます。 ここでの狙いは「実際にやってみないと気付けなかった問題点」に気付くことです。 具体的には、次のステップで効果測定を行います。

ステップ6:効果測定(問題点の発掘/対策実施)

6つめのステップは「効果測定(問題点の発掘/対策実施)」です。 具体的には、以下の項目について評価を実施します。
1. 定量評価項目
  • 顧客対応:顧客対応回数、顧客対応時間、顧客訪問回数、顧客訪問時間
  • 残業時間:所定外労働時間をテレワーク対象者とそれ以外の社員で比較
  • 事務効率:伝票等の処理件数、企画書等の作成件数、企画書等の作成時間
  • オフィスコスト:オフィス面積、賃借料、コピー・プリント費用
  • 移動コスト:移動時間、移動コスト
  • 情報通信コスト:情報システム保守費用、通信費用
  • 人材確保:入社応募者の数や質、離職者数
  • オフィス改修コスト
2. 定性評価項目
  • 顧客満足度
  • 従業員満足度
  • コミュニケーションの頻度・質
  • 情報セキュリティ意識の徹底度
  • 業務の自律性
  • 働き方の質:仕事への満足度、通勤疲労度、働き方への満足度
  • 生活の質:家族との団らん、趣味・自己啓発の充実度、育児・介護のしやすさ
出典:厚生労働省
新たに発見された問題点があれば、対策を考えましょう。

ステップ7:本格導入

7つめのステップは「本格導入」です。 ステップ6の効果測定の結果、改善すべき点があれば改善したうえで導入します。 なお、ここでは理想的な導入ステップをご紹介しましたが、実際には、ここまでのすべてがそろっていなければ導入できないわけではありません。 導入できる範囲で構わないので、部分的にでも、テレワークを導入していくことが大切です。 まずは少しずつでもやってみることが重要と考えましょう。

テレワーク導入で受けられる助成金

テレワークは、国や自治体が導入を推進している試みです。そのため、テレワーク導入で受けられる助成金があります。

厚生労働省/働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は、時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善および仕事と生活の調和の推進のため、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主を支援する助成金です。 ▼ 支給額
対象経費 助成額
謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、 備品費、機械装置等購入費、 委託費 ※ 契約形態が、リース契約、ライセンス契約、サービス利用契約等 で「評価期間」を超える契約の場合は、「評価期間」 に係る経費のみが対象 対象経費の 合計額 × 補助率 (上限額を超える場合は 上限額 ( ※ ) ) ( ※ )「1人当たりの上限額」 × 対象労働者数又は「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額
成果目標の達成状況 達成 未達成
補助率 3/4 1/2
1人当たりの上限額 40万円 20万円
1企業当たりの上限額 300万円 200万円
詳しくは働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)をご確認ください。

厚生労働省/働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)

「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」は、特例として設けられた新型コロナウイルス感染症対策を目的にテレワークへの取り組みを行う中小企業事業主を支援する助成金です。 ▼ 支給額
出典:厚生労働省
詳しくは新型コロナウイルス感染症対策(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)をご確認ください。 このほかにも、各都道府県など自治体ごとに助成金制度が設けられているケースがあります。詳しくは各自治体へお問い合わせください。

テレワーク実践の注意点

テレワークを実践するうえでは、注意したい2つのポイントがあります。

事前に労務管理制度や社内ルールの整備を行う

1つめの注意点は「事前に労務管理制度や社内ルールの整備を行う」です。 導入後のトラブルを未然に防ぐためには、特に以下のルールを具体的に決めておきましょう。
  • 始業・就業のルール(チャットで上司に伝えるなど)
  • テレワークにおける評価制度
  • どのようなルールでテレワークの利用者登録をするのか(承認フローなど)
  • テレワーク時のコスト負担(通信費、光熱費、電話代、ICT機器など)

テレワーク継続を前提として仕組みを作る

2つめの注意点は「テレワーク継続を前提として仕組みを作る」です。 新型コロナウイルスの流行によって急に注目を浴びることになったテレワークですが、新型コロナウイルスが収束しても継続を前提として仕組みづくりに取り組む必要があります。 なぜなら、新型コロナウイルスに限らず、災害をはじめとする予期せぬ事態に陥ったとき、テレワークの体制ができているかどうかが、企業の命運を分けることになるからです。 加えて、テレワークには、ワークライフバランスの実現や環境保全効果といった効果があります。 テレワークへの取り組みを一過性のものにせず、永久的に定着させるつもりで取り組んでいきましょう。

まとめ

テレワークとは勤務先以外で仕事する勤務形態のことです。

テレワークには、次の3つの種類があります。

  1. 在宅勤務(在宅ワーク)
  2. モバイル勤務(モバイルワーク)
  3. サテライトオフィス勤務

テレワークのメリットは以下のとおりです。

  1. 感染症流行時や災害時でも事業を継続できる
  2. ワークライフバランスを実現しやすい
  3. 環境保全効果が期待できる

テレワークのデメリットは以下のとおりです。

  1. 情報漏洩リスクがある
  2. 労務管理や人事評価がしにくい
  3. 効率性が下がる従業員がいる
テレワークを成功させるためには、テレワークのデメリットをツールや仕組み解消すること、適切なセキュリティ対策をすることを心掛けましょう。

テレワーク導入の方法 7ステップは以下のとおりです。

  1. ステップ1:テレワークの導入目的・基本方針の決定
  2. ステップ2:推進体制の構築(プロジェクトチーム結成)
  3. ステップ3:現状把握(業務分析)
  4. ステップ4:導入に向けた具体的推進
  5. ステップ5:試行導入
  6. ステップ6:効果測定(問題点の発掘/対策実施)
  7. ステップ7:本格導入

テレワーク導入で受けられる助成金には、以下があります。

  • 厚生労働省/働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
  • 厚生労働省/働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
テレワーク実践の注意点としては、事前に労務管理制度や社内ルールの整備を行うこと、テレワーク継続を前提として仕組みを作ることが挙げられます。 2020年以降、緊急措置として慌ててテレワークを導入した企業が多いかと思いますが、今こそ改めて、テレワークの体制を整え直すときといえます。 ぜひあなたの企業ならではの盤石なテレワーク体制を構築し、今後の事業発展にお役立てください。

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