世の中が急速な変化に見舞われた2020~2021年、BtoBのリード獲得もその煽りを受けています。展示会やセミナーの開催が制限され、営業電話も満足につながらないという状況下で、あらゆる手段・様式が見直されました。
実際、
BtoB事業者からのFacebook広告に関するお問い合わせは急増、既存顧客の広告費も増加傾向にあります。
コロナ以前のリード獲得においても、Facebook広告は活用されてきました。しかし、一般的な手法として広まるにつれ、結果を出すことが難しくなっています。安いクリック単価で細かなターゲットを狙える時代は過ぎ去ったと考えていいでしょう。
専門職としてのFacbook広告運用者は、外部環境やトレンドに左右されず、コンスタントに結果を出し続けることを主眼に活動しています。
この記事では、ソウルドアウト株式会社 マーケティングカンパニー メディアソリューション部の難波 早織氏に、
コロナ以降のBtoBビジネスにおけるFacebook広告のトレンドなどを伺いました。
2020年夏~秋に発出した、Facebook広告BtoBアカウントでの競争激化
ソウルドアウト株式会社マーケティングカンパニー メディアソリューション部 SNSマーケティング第2グループ
難波 早織氏
ーはじめに、部署でのお仕事内容についてお話いただけますか?
ソウルドアウト株式会社のメディアソリューション部 SNSマーケティング第2グループで働いています。
Facebook広告とInstagram広告にまつわる進捗管理から制作、配信ターゲティング、入稿、運用など一連の業務がメインで、クライアント様はBtoBからBtoCまで幅広い業界業態です。
現在担当しております案件の月あたりの予算総額は、BtoB事業のクライアント様だけでも2000〜数千万円ほどとなります。
―最初の緊急事態宣言が出てもうすぐ1年になります。BtoB向けのFacebook広告における、2020〜2021年にかけての変化や、直近の傾向を教えて下さい。
変化のポイントは2つあります。
まず、
Facebook広告運用を始めた企業が増えました。当社を例にあげましても、BtoB事業のクライアント様からの引き合いが増えている感覚はありますね。
実際の取扱高を2020年2月と2021年2月の相対したデータでいうと、
利用額ベースで約3倍・社数ベースで2倍の増加が見られます。予算や業務を見直す企業様が急増したことや、オンラインでの買い物需要が増えたことから、Facebook広告への期待が増えたのかもしれません。
昨年の夏頃に起こった
CVRの大幅下落も一大トピックです。コロナが広まり緊急事態宣言が出された当初は、ウェビナーなどコロナ以前の集客にはなかったタイプの広告が好成績をあげていました。
しかしコロナが落ち着いた夏頃からはCVRが顕著に下がり、秋ごろには獲得単価が大きく上がったんです。
緊急事態宣言が出された当初、ウェビナーはまだ多くの人にとって珍しい手段でしたので、成果を出しやすかったのだと思います。
急激な速度で広まった結果、競争が激化して難易度も上がってきたのでしょう。
コロナにまつわる社会情勢によって、
競合の出稿が強化されたことも、CVRを下げた原因と言えます。
BtoBサービスは、ビジネスを取り巻く環境が一気に変わるタイミングで引き合いが増えますよね。今回はコロナがきっかけとなり、多くの企業が業務フローや働き方を見直しましたから、BtoB事業者はまさに勝負の時でした。
肌感覚ですが、以前から運用をお手伝いさせていただいていたクライアントさんを例にとっても、競合他社の広告は増加していると思います。
ストレートな「興味関心ターゲティング」は通用しない?CPMが高騰しすぎたワケ
―「難易度が上がっている」とは、例えばどんな点があげられますか?
▲LISKUL自社広告運用におけるFacebook広告のCPM推移
同じ訴求で同じCV地点の広告のCPAを月ごとで見比べてみると、いかに高騰しているかが分かりやすいですね。
LISKULのFacebook広告のインプレッション単価を例に挙げましても、2020年7月ごろから上昇を続けています。
要因としてはいろいろな可能性があると考えられます。クリエイティブ枯れの可能性や、Facebook広告自体の競争率が上がってきたという可能性、コロナの影響も、可能性としてはあるといえるでしょう。
いずれにせよLISKULのアカウントにおいては、1年でCPMが約30%も上がっておりますから、一概にコロナの影響とはいえないまでも、全体的に競争激化・相場が上がっていることがわかります。
この事例にも言える傾向ですが、
ストレートな「興味関心ターゲティング」においてCPMが高騰しています。例えば人事向けのツールの広告で「人事興味」などのターゲティングを設定すると、CPMがおよそ8000円ほどになったんですね(※2020年時点)。大体2000〜3000円くらいで抑えたいところなのですが……かなり泣ける事案です。
また、コロナとは関係ありませんが、Apple社が実施しているITPにも、ゆるやかに影響を受けています。
ITPとは個人情報保護を目的にiOS14へ実装されたトラッキングの制限機能のことですが、iOSの機能である以上、リリースから実際ユーザーが使用しているデバイスに反映されるまでにタイムラグがありますよね。
アップデートがリリースされたのは9月末でしたが、そこからゆるやかに影響が散見され、11〜12月頃に最も変化が顕れました。
具体的には、コンバージョンの計測がされずらくなったりとか、リターゲティングで追いかけづらくなったりといったことですね。
iOS14化への対策として、媒体社であるFacebookが、AEMという新しいCV計測ツールの開発を進めています。
私たちもFacebook側と毎週定例会議を行い、最新情報やノウハウをキャッチアップしています。
インハウス運用からの移管後、わずか1ヶ月でCV数2.6倍に引き上げたFacebook広告事例
―そのような中でも効果改善した、直近の具体的な事例はありますか?
人事向けに社内ツールを提供するクライアント様の事例がございます。
2020年の1月から弊社で運用を開始し、運用初月にCV数2.6倍を達成しました。
▲獲得件数の初月ビフォー・アフター
このクライアント様は元々インハウスで広告運用をしていて、主な用途はウェビナー集客でした。現在は当社からのご提案で、資料ダウンロード向けの広告も運用しています。
資料ダウンロードの目標CPAは1.5万円くらいが相場ですが、1万以下でどんどん取れているという状況です。
―具体的にはどんなことをしたのでしょうか?
まずはデータが蓄積しやすいよう、
基本的なアカウント構成の見直しを行いました。特定のURL地点を設定できるカスタムコンバージョンを設定したり、効率よく計測できるようイベントタグを設置するなどです。
イベントタグは、ダウンロード地点には購入タグを設置する、といったようにページごとに細かく埋めます。手間のかかる作業ですが、そのほうが精密に計測できます。このような基本的なことを愚直にコツコツやっていくのが大切ですね。
次に、先ほども話題に上がった
ITP対策をしました。コンバージョンを捕捉しづらい状況になってきたので、Facebook社と連携しながらコンバージョン計測環境の整備を実施しています。
例えば、アトリビューションを正確に計測するためにFacebookが独自開発したAEMの導入設定を行う、広告パフォーマンスを維持するためのドメイン認証を行う、などです。
コンバージョン計測環境を整備しないと、単に計測ができないだけではなく、コンバージョンを元にした媒体側の機械学習が効率的に進まなくなるという問題もあるので、こういった設定を常に最新に保っておくことはかなり重要と考えていいでしょう。
それから、クリエイティブのフォーマットをいろいろと試しました。1種類の広告だけを配信するのでは、効果的なクリエイティブの学習が進まないため、
4本から6本くらいの広告を配信するようにしています。
フォーマットは静止画と動画のどちらも配信し、どちらが効果的なのかを見極める必要があります。
ー 基本的な設定の重要さがよく理解できました。運用時に取り組んだことはありますか?
検証を繰り返す、特に初期は抜かりなく取り組みました。検証する際は、ターゲティング、クリエイティブ、CV地点、最適化対象、といった4つの角度から見ています。
ターゲティングにおいては、まずストレートな興味関心を試しました。今回は人事向けのツールでしたので、「人事興味」でターゲティングを設定します。
しかし先ほども少し触れましたが、ストレートなワーディングだと競合がもの多く、獲得単価がよくありませんでした。
そこで検証したターゲティング方法が
、購入の類似、CV類似、ーム類似、それから経営者やマーケターなどの職業ターゲティングなどです。
飲食、製造、宿泊業などの職種別のターゲティングも今後検証していく予定です。
現在は、
クライアント様の顧客情報をもとにした統計を起点とした類似にトライしています。
これは、過去に資料請求やセミナーに参加してくださったユーザーのメールアドレスリストを使った類似拡張です。
メールアドレスは、直接お受け取りするのではなく、Facebook広告の管理画面上で暗号化された状態で共有いただきます。
ー個人情報保護の観点を考慮した進め方ですね。クリエイティブ面ではいかがでしょう?
クリエイティブ検証をしっかり回していくというのも重要です。
掲載面は基本的には自動配置にします。Facebook広告は本当に精度が高いので、FacebookかInstagramに限定して配信するよりは、媒体が推奨する配信面を試してみるのがいいでしょう。
それから、Facebook広告のクリエイティブは静止画・動画はもちろん、カルーセルなど他の媒体と比べても多種多様なフォーマットがあります。その中から最も効果の良いフォーマットを見極める期間が必要となります。
ーCV地点の最適解を探るというのは、どういったことでしょうか?
どこにCVした人に向けて配信するかの設定ですね。
リンク先やCV地点をどのくらいのハードルにするべきか、その最適解を探りました。概要資料ダウンロードにするか、セミナー予約にするのか、よりハードルの低いものにするか、などです。
このクライアントさんはホワイトペーパーの種類が大変豊富だったので、ホワイトペーパーごとのCPAや商談化率を見比べて、ビジネスゴールに繋がる戦略を練りました。
検討段階の浅いユーザー向けに作られたホワイトペーパーであれば、7000〜8000円くらいでCVを取れたりするのですが、商談化率は5%ぐらいと低くなってしまう傾向にあります。
一方、サービス紹介や商品紹介資料などのより踏み込んだ内容のホワイトペーパーをCV地転移した場合、CPAが少し上がりますが、そのぶん受注率は高くなります。
ですからCPAだけに囚わずに、商談化率や受注率とのバランスを見ながらCV地点を考えていかなくてはなりません。
ービジネスゴールにつながる最適解をお客さんとコミュニケーションしながら探っていったのですね。
そうですね。単純なCPAを超えた目標を見据えた運用をする代理店は少ないので、私たちの強みかなと思います。
そしてもう1つ取り組んだこととして、
最適化対象の設定をしました。Facebook広告では、広告セットの作成時に広告配信の最適化対象を選択できます。
どういうアクションを起こした利用者に広告を配信するか決められるんです。ホームに来た人に配信を寄せるのか、資料請求をした人に寄せるのか、ウェビナーの参加者に寄せるのか、などですね。
その最適化地点をいろいろ探っていった結果、いくつかコツが見えてきました。
例えばウェビナー集客の場合ですと、購入タグの中でもセミナーに絞るのが効果的であること。サービス概要の資料DLの場合ですと、購入全体に設定するのが効果的であることがわかりました。
このようにして、注力すべきターゲティング、クリエイティブ、CV地点、最適化対象、それぞれの最適解を見つけていきました。
機能訴求では通用しない!?感情をゆさぶる「勝ちコピー」が見つかるまでが最初の勝負
ー 特に良かった施策を具体的に教えてください
勝ち訴求を早い段階で見つけたことです。Facebook広告で効果が出たキャッチコピーは、LPなど他のものに転用しても効果が出ます。
ですからプロジェクトがスタートしたらまず始めにやることは、たくさんのコピーを書くこと。候補を洗い出し、順番にバナーに落とし込んで試すということをやっています。
これは、クライアント様のお客様の気持ちになって考えるという作業ですから、コピーライティングスキルが必要になります。
重要なのは、「感情を動かす」コピーをつくること。いかにターゲットの心を揺さぶるインサイトを見つけるかに焦点を当てたいところなのですが、BtoBサービスの広告では、どうしても機能訴求に走りがちです。
感情を揺さぶるコピーの考え方の1つに、
本音訴求があります。
福利厚生系のBtoBサービスを提供するクライアント様で、弊社が素材作りを一からさせていただいた例があります。
そのサービスは、機能も価格も斬新で、単純なスペックの訴求でも良さそうに思えるのですが、あえてそこには触れず利用者の共感を得る本音訴求にトライしてみました。「福利厚生に入りたいけど費用がなー…」といったようなものですね。
Facebookで流れてくるBtoBサービスのバナーは、カッチリとした存在感があったり、タレントで勝負していたり、広告制作のプロが作ったんだろうなっていうようなデザイン重視のが多くなっています。
逆に、ちょっと胡散臭いように見られるような訴求のバナーは減ってきていますよね。だからこそ、目を引くとも言えます。実際そういうテイストのバナーは、他の訴求よりも獲得できています。
このような勝ち訴求を見つけると、1ヶ月の獲得の9割ぐらいを占めることもあります。バナー自体は枯れていきますが、同じキャッチコピーで他のデザインに展開すればまた獲得できるようになります。
正攻法から外れたところに勝ちパターンを見つけるのは簡単ではありませんが、思わぬところで導き出されたりします。上記のケースは、新卒のメンバーの起案でした。
広告に慣れてしまうと、「BtoBはかっちりしていないといけない」といったような先入観を持ってしまいがちですが、経験が少ないぶん定石から外れた起案が生まれました。
また、サービス自体もリリースされたばかりのものでしたから、どのような訴求が効果的なのか、フラットに検証していくという段階でもありました。
クライアント様も、「広告の配信を経て訴求を固めていきたい」という想いを持っていらっしゃったので、とてもスムーズでしたね。
ー 感情を動かすためのコピーライター的なスキルやセオリーは、社内でどのようにシェアされているのですか?
週1回の勉強会や、コピーライティングに関する書籍が、主な勉強のツールです。業務の中でも培われていくものですし、他のメンバーが得た知見も細やかに共有してもらい、それを試してみることの繰り返しですね。
それからSNSの指名検索でインサイトを拾うのは、よくやっています。
「丸投げ」されても効果は出せない。広告主との連携プレーがあってこその最適化
―その他の成功要因にはどのようなものがありますか?
広告主であるクライアント様の協力はかなり重要な成功要因だと思っています。
BtoBのクライアント様ですとクリエイティブの規定が厳しいケースが多く、会社として打ち出したいコピーが決まっていたりします。それらは機能訴求に寄ったものが大半です。
できるだけいろいろなコピーを試したいので、可能な限り弊社にお任せいただけるとありがたいですね。もちろん、ブランドイメージを守ることも大切なことは理解しておりますので、効率よく獲得でき、イメージも損なわないラインを見極め、調整していきたいです。
事例のクライアント様に関しては、広告戦略に必要なことをご理解いただき、コミュニケーションを取りながらビジネスとの繋ぎ込みを一緒に考えていける関係を築いていただけました。
CV地点やターゲティングの検討ができたのも、勝ちコピーを見つけられたのも、ご協力があってのことだと思っています。
弊社の運用ノウハウや、いかに検証をするかというところももちろん大切なのですが、フレキシブルに対応してくれてるクライアント様の力を掛け合わせることができれば、成果は如実に現れるかと思います。
―成果を出す上で、広告主であるクライアント様に協力してもらいたい項目を教えてください
ざっくり5つございます。
1つは、
ホワイトペーパーを充実させていただくことです。先ほどお話しさせていただいた内容と重複しますが、CV地点の検証がしやすくなるので、検討段階別にいくつか用意していただけるといいかなと思います。
2つめは、
フィードバックやレスを短時間でいただけること。すぐにご連絡いただけるクライアント様も大変ありがたいなと思います。市況は刻一刻と変わっていきますから、なるべく旬なうちにトライしたいんですよね。1週間前の施策が効力を失ってることなんてザラです。可能であればある程度の権限が移譲されている方が窓口を務めていただくのがスピーディーですよね。あくまで理想ですが(笑)
3つめですが、
CV地点ごとの受注率を戻していただければ、よりビジネスゴールを見据えた施策が打てると考えています。どのホワイトペーパーをDLした利用者が受注につながっているか、私たちににとってはクライアント様を通してしか知ることのできない情報ですので。
続いて4つめは、
インサイドセールスが強いことも大切ですよね。リードをとった後のアプローチをどのようにするか、直接架電するのかセミナーに案内するのかなど、そういったストーリー設計ができているクライアント様は強いなと感じます。
また、PardotのようなMAツールを使いこなしてデータを蓄積されていらっしゃると大変有利かと思います。そういうクライアント様に巡り合えることは、代理店とってもメリットですね。
5つめで最後となりますが、
顧客データに関するオープン性が高いクライアント様も、成果を出す上で有利ですね。
顧客データの情報開示というのは、2つの意味合いがあります。
1つは、職種などのデモグラフィーや顧客ターゲット像など、現場の肌感で得る定性的な情報で、私たちがイメージする上で必要となります。
もう1つは、機械学習を進めるために必要な顧客リストです。例えばFacebookアカウントと紐づいたメールアドレスなどですが、これは共有いただく際、全て暗号化します。
クライアント様側でFacebook上でアップロードすると自動的に暗号化されるので、私たちからは個別の特定ができないようになっています。
そもそもどのような情報開示が必要なのかでしたり、Facebook上に顧客リストをアップする際の留意事項などといったことは、私たちがサポートさせていただいたいます。
やっぱりコツがあるので。無差別にリスト化するよりは、業種別に分けるなどの抽出条件をお伝えしています。
その広告主のことだけを考えるFacebook広告の専任立ち上げ担当が必要
ー成果を出す上で、運用体制面で工夫していることはありますか?
各業務を分業せずに、進捗管理から制作、配信ターゲティング、入稿、運用など一連の業務をひとりの担当者が一貫して担当しています。
分業していないことのメリットは大きく2つあります。まず
数値を見てから制作に反映する際の圧倒的なスピード感。コピーやデザインの改善を判断し即座に修正ができます。
特に初期の検証段階で分業してしまうと、必要以上に時間がかかってしまうと検証の効率が悪いんです。バナーもたくさん作るので、一気通貫でこまめに回していきたいとことですね。
それから、
細かなニュアンスが含まれるコミュニケーションが取れるというメリットです。分業されていると、伝言ゲームをしているうちに検証したいことに沿わないバナーが出てきてしまうなんてことがよくあります。
時間もコストももったいないですよね。より高い解像度で制作ディレクションをするためには、ひとりの専任担当者に委ねる方がいいと考えています。
さらに付け加えると、クライアント様と適切なコミュニケーションができる運用者であるかどうかも重要なことだと思っています。
ー専任担当をつけて本格的に攻略する場合、費用はどれくらい必要ですか?
月当たりのご予算が100万円以上のクライアント様には、SNSコンサルタントという形で1名専任をつけております。担当者がついたら、まずは情報収集に徹します。
BtoB商材はBtoCと違い、利用者のイメージが沸きづらいですから、Webサイト、プレスリリース、記事などを読み込んでいます。また、ソウルドアウト社内でアンケートをとり、利用経験者がいたら詳しくヒヤリングすることもあります。
取り巻く環境をキャッチアップできる運用者とそうでない運用者の差はますます広がっていく
ー現在、特に注力して攻略・検証しているポイントはどのあたりでしょうか?
ウェビナー案件の検証に注力しています。クライアント様からウェビナー集客のニーズが増えてきているので、様々な事例からノウハウを積み上げている最中になります。
一般的にはホワイトペーパーやサービス概要資料などのコンテンツを使って関心を引くのが定石となっていますが、ウェビナーならではの訴求パターンを研究しています。
例えばウェビナー集客のバナーに入れる要素の検討では、本の表紙画像を含めると効果を得られやすいことがわかりました。
もう1つ、リード獲得フォーマットの活用にも注力しています。リード獲得フォーマットとは、ランディングページに遷移せずFacebook内でコンバージョンまで誘導できるフォーマットです。
ユーザーの手間が少ない分、コンバージョンレートが高いというメリットがあります。時間のない経営者にアプローチするのにも適していると考えられます。
しかしFacebookに登録しているメールアドレスは会社アドレスではなくプライベート用アドレスのユーザーが多いですよね。
ですからリスト化しづらく、これまで敬遠されてきました。しかしインサイドセールスチームとの連携を取ることで、その問題を解消できるということがわかってきました。
ー引き続き不安定なご時世が続いていくことと思いますが、これからのFacebook広告はどうなっていくと思いますか?
今後BtoBサービスの広告が増えていくのは間違いないと思っています。
リモートワークが進み、必要のない作業への気付きがどんどん増えてきています。それを好機としてBtoBのサービスのプロモーション活動は活発化していきますよね。
競争が激しくなる中、ぜひ重要視していただきたいのは、
ユーザーの生の声をキャッチすることです。
SNSでサービス名を検索したりツールを使ったりして意見を集めるのも良いですし、Facebook広告を使って訴求の検証をするのも、顧客理解につながります。
そういった研究で得た生の声もとに、サービスの改善をし、シェアを伸ばしていくことが、求められているのではないでしょうか。
ー営業が対面で売ることが難しいご時世だからこそ、顧客理解への努力が重要になるのですね。
その通りです。新しい生活様式に変わってからのSNS広告は激動の最中です。
私たち専業の広告運用者も、探りながら進めている部分は多く、市況から目を離せない状態であります。
この状況を乗り越えていくには、代理店である私たちと、広告主であるクライアント様の相互の協力が欠かせないと思っています。
持っている情報をシェアしあったり、検証を繰り返したりして、適切な施策を打ち出していきたい。
そんなことを一緒に楽しめる、相棒のような存在に思っていただけることを目指して頑張ります。
まとめ
コロナ禍で変わる社会。BtoBビジネスが大きな影響を受けているのと同様に、Facebook広告という手段もまた、変化の渦中にあります。世界が感染症の脅威から逃れるまでの間、絶えず変化していくことでしょう。
ソウルドアウトのFacebook広告チームは昨年からの引き合いが大きく増えました。考えなければいけないことや、変えて行かなくてはならないことがあまりに多いこの時代だからこそ、専業として常にトレンドを追っている代理店の力が求められているのかもしれません。
話を聞いた人
難波 早織(なんば さおり)
2018年よりSNSマーケティング部に所属。Facebook・Instagram/Twitter広告運用に従事し、多種多様な業種において運用からクリエイティブ制作までを一貫して担当。また、Instagramのオーガニック運用コンサルも実施中。(Twitter:
@768so)