さまざまな企業がSNSを活用したキャンペーンを行っています。しかし、ただ豪華な賞品を用意したり、企画の面白さを追求したりするだけでは、望んだ結果を得られません。キャンペーンを成功に導くには、キャンペーンの目的を見失わないことが必要です。
「キャンペーンの参加者をとにかく増やす」のではなく、「だれに」「何を」「どのように」行動してもらうのか、感じてもらうのか?これらを明確にして、それに見合ったキャンペーンを行いましょう。
今回は実際に行われた7つのSNSキャンペーンと、それぞれの成功ポイントをまとめてご紹介します。
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1.森永製菓:森永2016バレンタインキャンペーン「いざ、セルフバレンタイン!汝、全力で自分を愛せ!」
引用:
いざ、セルフバレンタイン!汝、全力で自分を愛せ! | 森永製菓
媒体
Facebook・Twitter
キャンペーン概要
バレンタインというと職場や学校でのチョコレートの受け渡しが多いですが、2016年のバレンタインデーは日曜日でした。そこで森永製菓は独り身のセルフバレンタインを盛り上げる「いざ、セルフバレンタイン!汝、全力で自分を愛せ!」キャンペーンを開催。
“#セルフ愛2016”というハッシュタグをつけてTwitter・Facebookで自分を愛でる投稿をした人の中から、抽選で20名に森永製菓のチョコレート詰め合わせがプレゼントされました。
投稿数
Twitter:3,927件
成功ポイント
・トレンドと媒体の特色にマッチした仕掛け
このキャンペーンでは、「バレンタインチョコを自分用に購入して自分自身を労う」という昨今のトレンドを活かしています。少し自虐的なネタ要素が強い内容から、ネタやゆるさが好まれるTwitterとの相性がいいこのキャンペーン。投稿者からTwitterではフォロワー・Facebookでは友達へ拡散され、キャンペーンの認知が広がりました。
このようにユーザーからユーザーへ発信される情報をUGC(ユーザー生成コンテンツ)と呼びます。UGCは消費者が消費者に向けて制作・発信している商品に関する文章や画像などのコンテンツの総称で、企業が発信する情報よりも信頼性が高いため、マーケティング活動でのニーズが高まっています。
森永製菓のキャンペーンでは、UGCが生まれるようにうまく設計されています。
参考:
Facebook、Instagram、TwitterなどSNSを利用したWebキャンペーン参考事例まとめ[2016年2月第1回] | マイナビニュース
2. JAL:「モエレ沼芸術花火2016プレミアム席ご招待券プレゼント」キャンペーン
引用:
JAL|Facebook
媒体
Facebook
キャンペーン概要
JALによる北海道のモエレ沼芸術花火2016プレミアム席招待券のプレゼントキャンペーンです。コメント部分には「あなたの好きな北海道」というテーマでのコメントと、「北海道いきたい!」というキーワードを合わせて書き込むことが条件。
コメント部分にはキャンペーン参加者によって北海道に関する数々の思い出が書き込まれています。その中から5組10名が当選し「モエレ沼芸術花火2016」のプレミアム席の招待券をプレゼントという企画でした。
成功ポイント
・当選者が見えるので、当たっている人がいるのが分かる
こちらはコメントへの返信で結果が発表されたため、他のユーザーからも当選者がいるのがわかります。当選商品のあるキャンペーンは「本当に当たっている人がいるか?が分からない」という課題がありましたが、このように可視化されると応募したい気持ちも高められます。
・エピソードを話すと販促効果を高められるという副次的な効果も期待できる
ただ応募するだけではなく「あなたの好きな北海道」というテーマでコメントすることと、「北海道いきたい!」というキーワードを書き込むのが条件であるのもポイントです。キャンペーンに参加したユーザーは北海道へ旅行へ行きたいという気持ちが強くなるため、間接的に旅行客増加への効果も期待できます。
参考:
Facebook・Instagram・Twitterどれを使う?キャンペーン時のSNSの最適な使い分けとは|ソーシャルメディアラボ
3.キリンビール:”淡麗グリーンラベル"リニューアル記念企画「イインダヨ!!グリーンダヨ!!ツイッターおにごっこキャンペーン」
引用:
イインダヨ!グリーンダヨ!!ツイッターおにごっこキャンペーン | キリンビール
媒体
Twitter
キャンペーン概要
キリンビールの人気商品である「淡麗グリーンラベル」リニューアル記念企画として、新たな手法を導入した「ツイッターおにごっこ」キャンペーンが開催されました。
毎日20時~21時に開催する時間限定企画です。「イインダヨ!グリーンダヨ!!」の掛け声とともに、ユーザーがキャンペーンサイトからハッシュタグ“#イインダヨ”を含んだ投稿をおこないます。制限時間内に、同社が用意している“おに”アカウトのリプライから逃げ切れば成功。逃げ切った人の中から、毎日抽選で100名に「淡麗グリーンラベル350ml缶 6本セット」がプレゼントされました。
投稿数
57,387件
成功ポイント
・参加者をワクワクさせるゲーム性
参加者は3万人を超える大盛況でした。キャンペーンに「おにごっこ」というゲーム性を含ませたところがポイントです。参加者は投稿した一瞬だけではなく、鬼から逃げ切る時間もハラハラしながら楽しんで過ごせます。ターゲット層が参加しやすい時間帯を設定し、1時間という区切りをつけたことでキャンペーンにメリハリが生まれました。
企業にとっては「リプライする」という人的コストがかかりますが、そのひと手間でファンとの関係性を深められた好キャンペーンでした。SNSにおけるキャンペーンは企業と消費者がコミュニケーションをおこなう場であり、双方のアクションがマッチすれば効果的に消費者との間に共感の架け橋を作れます。
参考サイト:
目指したのは、わかりやすいブランド体験 1万6,000名以上が参加した「ツイッターおにごっこ」――キリン「淡麗グリーンラベル」 | AdverTimes(アドタイ)
4.セーブペットプロジェクト:WALL FOR ONE あなたのウォールを、貸してください。.
引用:
WALL FOR ONE あなたのウォールを、貸してください。|セーブペットプロジェクト
媒体
Facebook
キャンペーン概要
保護犬、保護猫の新しい家族を探すという目的で、投稿欄(ウォール)を1週間貸してもらうというキャンペーンです。
投稿欄を貸す人は、どの保護犬・保護猫に投稿欄を貸すかを選べます。期間限定のアイコンに設定し、1週間分の内容を予約。あとは自動投稿されるという仕組みです。
成功ポイント
・投稿欄の貸し出しという斬新なアイディア
保護犬や保護猫たちを助けるためのボランティア活動は里親を探すためのスタッフとなったり、募金活動に参加するなどオフラインのものが多いです。そういった中で、投稿欄の貸し出しをするとできるオンライン上のボランティア活動は、「何かやりたいと思ってもできない」人にとって魅力的なものとなります。
・アカウントを持たない保護犬、保護猫による投稿というコンセプトの意外性
TwitterやInstagramについては飼い主がペットになりきってアカウントを持つというケースがしばしばあります。しかし、Facebookは実名での登録が求められるため、基本的に自分以外のアカウントを持つことはありません。
そんな中で保護犬、保護猫に投稿欄を貸し出すのは、投稿をそのままシェアするよりもインパクトがあります。犬や猫になりきった投稿は、Facebookの投稿欄の中でも多くの人の目を引くものとなるでしょう。
参考:
SNSシェアを活用したキャンペーンサイト事例 | 株式会社N2P
5.サッポロ不動産開発株式会社:恵比寿ガーデンプレイス「イルミネーション フォトコレクション インスタグラム プレゼントキャンペーン」
引用:
クリスマスイベント│恵比寿ガーデンプレイス
媒体
Instagram
キャンペーン概要
恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーション写真を投稿するキャンペーンです。ユーザーは公式アカウントをフォローし、恵比寿ガーデンプレイス内で撮影した写真を、ハッシュタグ“#ygpイルミ”をつけて投稿します。抽選で「バカラグラス」「コロプラくまのぬいぐるみ」「YEBISU GARDEN CINEMAペアチケット」がプレゼントされました。
投稿数
1,484件
成功ポイント
・投稿写真を公開し参加意欲を高める
投稿された写真をキャンペーンページに埋め込みキャンペーンの盛り上がりを演出し、他ユーザーの参加欲求を高めました。指定された場所の写真を投稿するキャンペーンはハードルが若干高くなりますが、1500枚近くの投稿が集まりました。さらにプレゼントが当選したユーザーは商品の写真を投稿し、キャンペーン終了後にも盛り上がりが続きました。指定のハッシュタグをつけて写真を投稿するオーソドックスなInstagramキャンペーンと言えるでしょう。
・公式アカウントのフォローを参加条件にしてフォロワー獲得
公式アカウントのフォローで参加できるこのキャンペーン。キャンペーンを通じてフォロワー獲得することで、企業は今までと違ったユーザーとのタッチポイントを生み出せます。また費用をかけずに消費者とのコミュニケーションの場を持てるキャンペーンでもあります。
参考:
ハッシュタグを活用した秀逸なSNSキャンペーン3選|markelog
インスタグラムを利用したその他のキャンペーン
参考:
Instagramキャンペーンの事例8選!目的別の活用方法まとめ
6.トーキョーブックマーク:カズレーザーが描いた場所が一体どこなのか当てれるモーナンミコミコ!キャンペーン
引用:
カズレーザーが描いた場所が一体どこなのか当てれるモーナンミコミコキャンペーン|トーキョーブックマーク
媒体
LINE
キャンペーン概要
旅行会社トーキョーブックマークのオリジナルグッズプレゼントキャンペーンです。LINEでクイズに答えてタイムラインでシェアをすると「カズレーザー専用マーカー」が抽選で1,000名にあたるというものです。
成功ポイント
・LINE上でのタイムラインシェアにより認知拡大を狙う
Twitter、Instagram、Facebookシェアによる応募キャンペーンが多い中、LINEアカウントの「友だち追加」とのタイムラインでのシェアというのが珍しいキャンペーンです。
LINEは今や日本国内での連絡手段として欠かせないものとなっており、ユーザー数も約7,000万人と国内で最も利用者数の多いSNSです。そんなLINE上でのキャンペーンは多くの人に認知してもらうのに最適なキャンペーンでしょう。
参考:
SNSシェアを活用したキャンペーンサイト事例 | 株式会社N2P
7.日本マクドナルド:RTすると無料クーポンが当たるTwitterキャンペーン マクドナルド「おやすみ朝マック」
媒体
Twitter
キャンペーン概要
「夜リツイートすれば朝当たる!」と銘打ってマクドナルドの公式Twitterの特定のツイートを夜RTするだけでキャンペーンに参加でき、当選すると翌日の朝マック限定で使える無料クーポンがTwitterのDMによって発行されるというキャンペーンです。
成功のポイント
・ターゲットの行動調査に基づいていたキャンペーンの企画
大学生のSNSの利用時間帯は夜寝る前が一番多いというデータがあります。今回のキャンペーンは主に大学生をターゲットにして、彼らが夜寝る前にTwitterを見るという行動調査に基づいています。
キャンペーンのターゲットとなる参加者が一番多いであろう時間に絞ってキャンペーンを行ったのが成功の要因です。
さらに朝マックの無料クーポンが当選していた場合、ユーザーは朝マック終了の10時30分までに店舗を訪れてクーポンを使う必要があります。店舗はその時間帯にアルバイト人員を充足させるなど対策ができるため、時間限定クーポンによってユーザー行動を指定できるのも魅力です。
・高確率での当選で拡散欲が高まる
一晩に2,000名という高確率での当選者数から「自分も当たるチャンスがあるかもしれない」と思う人が多く、拡散の増える要因となりました。実際にキャンペーン期間中に複数回当選した人もいたようです。当選者がマクドナルドのキャンペーンに当選したことをツイートして、そのツイートを見た人がキャンペーンの存在を知り、さらにキャンペーンの参加者が増える…という仕組みもキャンペーンが盛り上がったポイントです。
参考:
大学生がリアルにシェアしていたデジタルプロモーション4選! | BACKYARD
まとめ:ターゲット層からのポジティブリアクションがあることが、SNSキャンペーンの成功
SNSキャンペーンを企画する際、年齢や性別・職業といったターゲット像を想定していると思います。SNSキャンペーンが成功したかどうかを考えるとき、「いいね!」や新規フォロワーの獲得数はわかりやすい指標です。しかし、単純にそれらの数が多いだけでは成功したといいきれません。肝心なのは、そのターゲット層がキャンペーンに参加したか?ターゲット層に響いたか?です。
訴求したいユーザー層や訴求の内容によって、どのSNSを使ったキャンペーンを行うべきかは変わってきます。それぞれの媒体による向き不向きを見極めて、効果的なSNSキャンペーンが行えるように考えていきましょう。
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