マーケティングオートメーションツールとは、ネット広告やキャンペーン管理を自動化する仕組みです。 ターゲットユーザーの興味や関心、行動に応じて、個別の広告を出したり個別のメールマーケティングを仕掛けたりします。そしてこれを自動的に行っていくための仕組みが、マーケティングオートメーションツールに組み込まれているのです。
マーケティングオートメーションツールを活用することで今までと大きく変化するのは「全ての人に同じものを配信する」という状態から「その人にあったコンテンツをその人にあったタイミングで提供し、最終的に最適な商品を提案する」という部分です。
当然ですが、ただツールを活用すれば魔法のように結果が良くなるという単純な話ではありません。しかし、より細かいユーザーのニーズに対応し、マーケティングの効率を上げていくためにはとても重要なツールになるはずです。まずはマーケティングオートメーションツールで何ができるのかを明確にしていくところから始めましょう。
1年に1000件の商談を生み出すマーケティングオートメーションツールベンダーのMA活用法とは?[toc]
マーケティングオートメーションツールができること
マーケティングオートメーションで自動化されるのは、ルーチンワークの部分です。
例えばマーケティングのシナリオ作成や掲載に関するジャッジは人の仕事で、マーケティングオートメーションで自動化されるのは反復的な作業です。ザックリ言うと「運用・管理」です。
例えばECサイトを運営する企業の場合、このようなシチュエーションに日々遭遇するはずです。
商品をカートに入れたが購入に至らないユーザーを特定し、数日後に「お買い忘れではありませんか?」というメールを送るシチュエーションを考えてみましょう。主に以下の3つのパターンが生まれます。
- メールを開封したけど購入しなかった
- メールを開封して購入に至った
- メールを開封しなかった
マーケティングがしっかりしている企業の場合、これらの顧客に対し次のアプローチを掛けます。なぜなら、メールを開封したけど購入しなかった人は開封しなかった人に比べ見込みがあるからです。そこでメールにセッションIDをつけクッキーに保存、この「見込みのある」人々に対しさらなる後追い広告を出す次の手を整えていきます。
次の手は、1週間後ディスプレイ広告を表示させるというプランです。
このプランを実行した結果、は再び以下の3つのパターンに枝分かれしていきます。
- 広告をクリックし、購入した人
- 広告をクリックし、購入しなかった人
- 広告をクリックしなかった人
そしてさらに、広告をクリックし、購入しなかった人に対して2日後にメール広告を送付する、あるいは特別キャンペーンなどに招待するなどの後追いマーケティングを計画することもできます。
このように、デジタルマーケティングではその過程がどんどん細分化し、フローチャートのような形になっていきます。
しかし、もしこれを人がウォッチして実行するとなると大変です。作業量が膨大になるうえに人的なミスも生まれやすくなるでしょう。
マーケティングオートメーションツールはこの過程、つまりマーケティングプランに沿ったシナリオを、文字通りオートメーション化していくためのツールです。
ユーザーの興味や関心などに合わせてあらかじめ複数のシナリオパターン用意し、ツールが実行できるように広告の素材や、メールの本文、キャンペーンページなどをセットしておけばOK。あとは寝ている間もツールが頑張ってくれるのです。
このようにツールを使った運用を続けていくと、知見がたまっていきます。成功したシナリオ、失敗したシナリオというのも明確化するでしょう。当然成功例を元に、その再現を狙うことが売上拡大の近道となるわけですが、人に依存した運用の場合、その実行が遅くなりがちです。しかしツールを使っていれば、そのシナリオの複製が簡単になり、即実行できるようになります。こうした部分も、マーケティングオートメーションツールを使う人びとがツールを評価する点です。
マーケティングオートメーションツールのメリット・デメリット
改めてマーケティングオートメーションツールのメリットとデメリットを整理してみましょう。
メリット
1.作業を省略できる部分を探してどんどん自動化していくことで効率化に繋がる
マーケティングプロセスの一部の自動化によって、より効率的な運用が実現します。またPDCAサイクルのDの部分をツールが担うので、それ以外の部分に注力できるようになり、よりよい施策、改善案、最適化が目指せます。
2.シンプルにマンパワーを削減できる(人件費削減)
細分化したプロセスを人が担当すると、膨大な作業量になるためいくら人がいても足りません。また、今まで人が行っていた部分をツールが担うと、運用のみを担当する人材の削減や業務負担の軽減ができます。
3.一人一人に対しての施策をより細分化させPDCAを回すことができる
匿名顧客、見込み顧客、顧客、ロイヤル顧客と顧客属性が細分化された中で、それぞれのアプローチの仕方やマーケティングプロセスなどを細く調整できるようになり、より枝分かれしたシナリオ設計のもと、マーケティングを進められます。
その結果、いままで購入に至らなかった顧客の掘り起しや、大きな売り上げをもたらすロイヤル顧客の増加などが期待でき、売上の拡大が見込めます。
デメリット
1.導入費用
ツールの導入費用やメンテナンス費用などが掛かります。月額で数万円から数百万円といった形で、サービス内容が変わってきます。
2.ツールを使いこなすための人材が必要
ツールを実行するための人材だけでなく、組織の理解も必要となります。どのようなデータを使ってシナリオを設計し、どのようなデータを利用してマーケティングを進めていけばよいのか、担当者の理解がない場合、ツールがあってもうまくいきません。 また、マーケティングオートメーションツールを知らない人にとっては頼りないツール、機械に任せられるわけないだろう、と思われがちで、組織の中にそういった考えの人がいる場合、導入が見送られてしまうでしょう。
3.すべての企業に効果があるわけではない
ユーザー数が少ない、アクセスが少ない、そもそも広告で赤字であるといった場合などは、ツールを導入してもあまり意味がありません。
ツールを選ぶ基準
ではマーケティングオートメーションツールをどのように選んでいけばいいのでしょうか。いくつかヒントをご紹介します。ツールを選ぶ基準はズバリ、使いやすさです。
自社の商品・サービス、マーケティングの方向性、担当者のレベルに合わせてツールを選んでいきましょう。 また自社のマーケティングにあっていないにも関わらず、いきなり費用が高いツールを選ぶのも問題です。費用が掛かるものなので、毎月の費用とツールの導入によって削減できるコスト+生み出す利益をシミュレーションして計算し、費用対効果を見て判断していくといいでしょう。 以下のツール比較で紹介している中で、最も安いものは月額5,000円から利用可能です。
マーケティングオートメーションツール 比較15選
ここからは15種類のマーケティングオートメーションツールを、ネット上のマーケティングオートメーション比較記事*の中で紹介されている頻度と順番を考慮して、主要なものから順に紹介していきます。
*参考記事一覧は下部に記載1.Adobe Marketing Cloud
・大規模マーケ、大企業向け ・Adobe社が提供するツール ・クロスチャネルによるマーケティングから広告自動取引まで対応
料金:-
2.HubSpot
・オウンドメディアを活用してインバウンドマーケティングを積極的に展開している企業向けで、個人や小規模企業もOK ・インバウンドマーケティングに特化 ・世界95カ国で18,000社以上の利用実績
料金:BASIC 24,000円/月 PRO 96,000円/月 ENTERPRISE 288,000円/月
3.Pardot
Pardot・BtoB向けマーケティングオートメーションツール ・同社のSFAツール「Sales Cloud」と連携もあり
料金:Standard 120,000円/月 Professional 240,000円/月 Ultimate 360,000円/月
4.SHANON MARKETING PLATFORM
SHANON MARKETING PLATFORM・BtoB企業向けだが、基本機能を備え融通が利く作り ・国産マーケティングプラットフォーム ・7年連続統合型マーケティング支援SaaS市場シェア1位
料金:XSプラン 基本料金25,000円/月 Sプラン 基本料金49,000円/月 Mプラン 基本料金67,000円/月 Lプラン 基本料金97,000円/月 LLプラン 基本料金145,000円/月 XLプラン 基本料金265,000円/月
5.SATORI
SATORI・匿名顧客にアプローチする「アンノウンマーケティング」が可能 ・サードパーティ・クッキーおよびDMP機能を利用でき、集客に優れる
料金:基本プラン 100,000円/月
6.Kairos3
・小規模な企業でも始めやすい価格帯 ・必要な機能を、簡単で直感的に使えるよう設計 ・従量課金制
料金:5,000円~/月(従量課金制)
7.Oracle Marketing Cloud
Oracle Marketing Cloud・「Oracle Marketing Cloud」のマーケティングオートメーションツール ・基本機能のカスタマイズが可能で、外部システムと柔軟に連携できる
料金:-
8.Probance
Probance・取引データや行動データなど、膨大で多様なデータをスムーズに処理・運用 ・機械学習アルゴリズムによる個客の趣味・嗜好に基づいたレコメンドが行える
料金:-
料金には月額料金のほか、初期設定費用、オプションを選択した場合は別途費用が掛かかります。料金を-で表記したものは、別途サービス提供側への問い合わせが必要となります。
9.Experian Cross-Channel Marketing Platform (CCMP)
Experian Cross-Channel Marketing Platform (CCMP)
・クロスチャネルにおけるシナリオ設定などの複雑な操作も簡単 ・海外製だが日本のニーズに合わせた機能も充実
料金:-
10.IBM Watson Campaign Automation
IBM Watson Campaign Automation・リードマネジメント、メールマーケティングといった基本機能が一通り利用でき、クロスチャンネルキャンペーンもOK ・分析ツールも高性能で、ハイスペックなマーケティングオートメーションツール
料金:Essentials 基本額214,900円/月Standard 基本額357,600円/月Enterprise 基本額785,800円/月
11.Synergy!LEAD
Synergy!LEAD・BtoB向けマーケティングオートメーションツール ・プラットフォームにSalesforceを利用 ・信頼性や安定性が高く、インターフェースも使いやすく設計
料金:Form Edition 5,000円/月 Light Edition 30,000円~/月 Standard Edition 50,000円~/月
12.Dr.Marketing
Dr.Marketing・セミナー/展示会開催案内やメール文面作成支援 ・上場企業3500社分の企業データなどを初期設定でセット ・法人リスト提供やシステム運用代行といったオプションも
料金:30,000円~/月
13.リストファインダー
リストファインダー・BtoB向けのクラウド型マーケティングオートメーション製品シェアNo.1 ・国内で700社超の導入実績 ・使いやすいインターフェースが特徴で、機能がシンプル ・20日間の無料トライアルあり
料金:30,000円~/月
14.Infusionsoft
Infusionsoft・小規模ビジネス向け ・世界で125,000ユーザーが利用しサポート充実 ・英語対応のみ
料金:
・初期費用Kickstart Lite $999Kickstart $1,999Kickstart Pro $2,999~
・月額利用料金Essentials $199Deluxe Sales automation $299Deluxe E-commerce $299Complete $379Team $599
15.xcross data
・既存顧客の保持を目指す企業におすすめ ・ユーザーの行動を複合的に分析、解約防止に重点を置くツール
料金:40,000円~/月 ※30日間の無料トライアルあり
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ここまでマーケティングオートメーションツールの概要と、メリット・デメリット、ツールのご紹介を行ってきました。
マーケティングオートメーションツールは非常に便利なツールですが、まずは効果の出易い大規模なECサイトを運用されている方、あるいは売り上げ見通しが高いサイトでスタートしてみるのが得策です。ぜひ、参考にしてください。
1年に1000件の商談を生み出すマーケティングオートメーションツールベンダーのMA活用法とは?