多くのビジネスマンは現在、コロナ禍における非対面型ビジネスへのシフトやオンライン活用に迫られているのではないでしょうか?
そこでご紹介するのが、国内利用者約8,400万人のLINEが展開する「LINE公式アカウント」です。SNSなどを考える際、真っ先に思い浮かぶのはInstagramやFacebookですが、LINE公式アカウントも運用方法次第で強力なツールになります。
しかし、「そもそも、自社にはあまり向いていないんじゃないか?」「有効そうなのはなんとなくわかるが、どうしていいかわからない……」「やってはいるが、ほとんど効果が実感できない」と言った声を耳にすることも少なくありません。
そこで今回はソウルドアウト株式会社の執行役員であり、LINE事業本部長の浅見 剛氏に、LINE公式アカウントを駆使したビジネスの成功事例や活用方法について話を聞きました。
LINE公式アカウントを活用して前年比147%成長
――簡単な自己紹介をお願いします。
地方・中小企業のパートナーとして事業支援などを行っているソウルドアウト株式会社でLINE事業本部本部長として働いています。以前は、同社の立ち上げの参画をはじめ、成果報酬型の販売代行サービス、EC事業立上げ支援、LINE@運用支援サービスの開発などを担当していました。現在は、主にLINE公式アカウントの運用支援サービスの提供などを行っています。
LINEに興味をもったきっかけは、圧倒的なまでの伸び代を感じたからです。LINEは、国内屈指のユーザー数を誇るプラットフォームでありながら、広告などについてはGoogleやFacebook、Twitter社などと比べるとどうしても後発気味です。しかし、見方を変えたら、これからの伸び代が無限にあるとも捉えることができます。
さらに、大手コンサルティング会社もそんなにLINEに注力していなかったという背景もありました。そこで、私たちがLINEに一番詳しい存在になれたら、中小企業支援をより応援することができると思ったことが大きな動機となっています。
――LINE社からも正式にタイトルをいただいていますよね?
LINEの法人向けサービスの販売・開発パートナーを認定する「LINE Biz-Solutions Partner Program」において、国内唯一の「Best SMB Partner」として2期連続で認定を受けました。
その背景には、LINE社が自社サービスを中小企業に導入するためのサポートを必要としているという課題がありました。私たちも時を同じくして、LINEを使った中小企業支援をしようと決めていたこともあり。ソウルドアウト含む5社がSMB領域におけるパートナーシップを締結しました。
Best SMB Partnerは半年毎の累計売り上げ実績などを基準に選ばれます。私たちは、LINE広告におけるセールスパートナー内での運用支援者数が1位だったということで評価いただきました。
――直近で最も大きな実績が出ている事例を教えてください。
運転免許の取得をはじめとしたカーライフ支援のオンラインサービスを提供するジップラス株式会社様へのLINE導入が挙げられます。1年で前年対比売上147%を達成しており、LINEを経由した売上は前年対比で2.4倍にまで上がっています。
自動車学校での運転免許取得方法は「通学」と「合宿」の2パターンに分かれています。
従来の自動車学校の商圏は約10キロと言われていました。「片道10キロ以上の遠い地域からは通わない。だから、外部からの紹介は必要ない」という理屈です。
しかし、格安免許合宿プランが台頭してくることで、商圏の人たちが外へ出ていくようになってしまいました。しかもメインターゲットの若者はパンフレットではなく、インターネットで自動車学校を調べています。
なので、商圏内のコンビニや飲食店に広報紙を置いても効果は雀の涙。そこで、ほかの業者が着手していなかった「通学での運転免許の取得」に特化した集客支援Webサービスを始め、同時にLINEを活用していくことにしました。
LINE公式アカウントで成果を出せた理由
――成果を出すまでにどのようなことをしたのでしょうか?
業界慣習でいえば、ユーザーとのコミュニケーションの接点は「電話」「パンフレット(資料請求)」「Webフォーム」という3つの方法が一般的です。まずは、そのやり方を根本から見直すところから始めました。
まず行ったのは「LINE相談・空き枠確認→LINE上でのコンタクトポイントの獲得」「チャットでの定期接触の実施」「受付・教習所への送客」という3つのフロー設計です。ユーザーからの問い合わせや申し込み後のやり取りなどを、すべてLINEで完結できるように設計しました。
また販促活動もLINEを中心に再設計したのもポイントです。これまでの販促におけるユーザー体験のほとんどは、教習所や斡旋メディアが発信する「今なら18万円!最低価格保証!」などといった画一的な情報を受け取るのみでした。しかし、LINEを使うことで、「一方通行なコミュニケーション」から「双方向のコミュニケーション」に変えることができます。
我々としてもユーザーそれぞれの不安やニーズを汲み取りやすくなり、展開する広告や発信コンテンツも自然に変化していきました。
成果が出始めてくるとジップラス様のスタッフさんはもちろん、弊社関係者も一様にユーザーに寄り添ったコミュニケーションを大切にするようになりました。展開する広告訴求や発信するコンテンツも自然と変化していき、他社との「競争」ではなく、本質的なサービスの改善サイクルが回り始めました。
――具体的に、何をどの程度やったのでしょうか?
チャットでのやり取りひとつひとつをチェックするようにし、その中から課題を抽出して改善に取り組みました。その一例がLINEコミュニケーションの改善です。
LINEを使い始めた当初は、チャットというコミュニケーションが、電話応対に慣れているスタッフの方にストレスを与えていることがわかりました。チャットの場合はお客様からの返答を待つ時間が必要になりますが、この待機時間が機会損失につながっていると感じられていたことが要因です。
今後LINEを中心に施策を展開することを踏まえると、応対するスタッフが「LINE嫌い」にならないよう対策を打つ必要がありました。そして実施したのが「チャット内容の変更」です。
これまでは問い合わせいただいたお客様に自動車学校の「学校名」だけを掲示していましたが、「学校のサイトURL」を合わせて掲示するように変更しました。結果として、チャットの往復回数が劇的に減り、サイト経由のCVも向上しました。
<改善前のLINEコミュニケーション>
- お客様:「首都圏から2時間程度で行ける自動車学校を探しています」
- 担当者:「栃木県のA校と群馬県のB校があります」
- お客様:学校のサイトを検索(担当者は待機)
- お客様:質問
- 担当者:回答
- お客様:再度サイトを確認する(担当者は待機)
- お客様:質問
- 担当者:回答
<改善後のLINEコミュニケーション>
- お客様:「首都圏から2時間程度で行ける自動車学校を探しています」
- 担当者:「栃木県のA校と群馬県のB校があります」+回答に即した指定ページのURL
- お客様:質問
- 担当者:回答+回答に即した指定ページのURL
- お客様:質問
- 担当者:回答+回答に即した指定ページのURL
機会損失から機会創出へ
――改善の積み重ねが大きなコンバージョンを生み出している典型と言えますね。ほかにも「これは特に上手くいった」という施策はありますか?
LINEの「グループチャット」機能は効果的な施策でした。
例えば、5名以上の団体で免許合宿に申し込まれた時、これまでは代表者と連絡をとり、全員のスケジュールや希望エリア、予算等をまとめてもらっていました。
それが思った以上に時間がかかり、友達同士で協議している間に希望の自動車学校が満席になってしまうなんてことも多かったそうです。そこでグループチャットを導入し、「代表者がとりまとめて共有する」という手間を省くことで効率化を図りました。
さらに、今までは問い合わせがあった後に電話対応をしていたのですが、お客様と時間が合わなくて連絡が取れないことがたびたびありました。そういった止むを得ない理由から機会損失してしまうことも少なくありませんでしたが、LINEを導入することで無駄な機会損失は大幅に減らすことに成功しました。
オペレーターが抱くLINEへの抵抗は、具体的なベネフィットの共有で解決
――大きな変化をもたらすと順応できない人も出てくるかと思いますが、そういった状況はなかったのでしょうか?
電話に慣れているコールセンターのオペレーターからすると、LINEに対して抵抗を抱いており、これの払拭が最大の課題だったと言えます。
LINEへの抵抗を払拭する方法は、「粘り強い伴走」を実践し、当事者の実体験に則してLINEの魅力を伝えていくことを心がけて説得していきました。
例えばコールセンターでいえば、繁忙期になると対応しきれないほどの問い合わせの電話がきます。その窓口をLINEに代替することで、一定程度忙殺具合を解消できるという分かりやすい価値を提示することで理解を得ていきました。
既存顧客のリピート率アップであれば、無料アカウントでもできることは多い
――改めて、まだLINE公式アカウントを使っていない・使いこなせていない企業向けに、気をつけるべきポイントを教えていただけますでしょうか?
まず言えるのは、「無料だからとりあえずやっておこう!」というのは止めた方が良いでしょう。安易に開設した場合、挫折しやすいからです。まずは「利用目的を明確化」することが重要です。
――利用目的の明確化とは、具体的にどういったことですか?
LINE公式アカウントの利用目的を大きく分類すると、以下の3つです。
- 新規見込み顧客の獲得:チラシ・クーポンサイトの代替
- 既存顧客のリピート利用促進:郵便DM・会員向けメルマガの代替
- 個別のコミュ ニケーション:電話連絡・対面接客・問合せ窓口の代替
このうち自社の目的がどれに当てはまるかによって、LINEの使い方も大きく変わっていきます。
無料でも手軽にできるのは、個別のコミュニケーションと既存顧客のリピート率改善
――実際にアカウントを開設する際、無料プランを選ぶときはどんな時でしょうか?
目的が「個別のコミュニケーション」の場合は無料でも十分なケースが多いです。また、既存顧客のリピート率改善が目的でも、月間1000通という上限内に収まるのであれば、無料プランから始めても良いでしょう。
最初はLINE公式アカウントを導入してみて、ユーザーの声を吸い上げてみたり、リードタイムがどれだけ短くなったか感じてみたり、導入前後の変化実感することが重要です。
チャットと相性が良いのが、LINEを使った見積もり相談や査定、あとはオーダー系などが挙げられます。さまざまな業種で利用することができます。
例えば草野球チームのユニフォームを作ってくれるようなスポーツ用品店さんの場合、チャットを通して注文を受けるといった利用方法があります。デザインやフォントなどを数パターンから選んでもらって受注するのですが、聞き間違いがないので受注ミスが減ったり、来店する手間が減ったので検討~購入までのリードタイムが短くなったりといったケースがあります。
「あまり効果が実感できない……」という方は、お客様へのヒアリングなどを実施することをおすすめします。
運用提供側からしたら、お客さんの数が増えるわけでもなく、ただ電話がLINEに代わっただけという場合もあると思うなので、効果を肌で感じづらいかもしれません。ですが、「ユーザー体験」という視点でみたら、上記事例のように間違いなくLINE導入以前・以後では異なるものにります。
――私の知り合いの美容院がまさに「成果が実感できない」という状態でした。
美容院の場合、「カットモデルでこういうヘアスタイルがありますよ」とか「シャンプー売ってます」のようなみたいなコンテンツが多く見られます。こういうコンテンツを、LINEのタイムラインとかで数百人に向けて送ったら効果が出やすいでしょう。
美容院の場合は「リピート率を高めたい」という強い目的意識があるので、運用次第でLINEは強力なツールに化けると思います
逆に新規顧客獲得するとなると、「ホットペッパー」なんかは新規客限定で「ヘッドスパ無料」や「ヘアケア無料」みたいなクーポンがついてきたりするので、やっぱり太刀打ちできません。つまり、サービスの強みを見極めて適切なアプローチをとることが重要です。
例えば、LINEでお客様が「いつものカットで!」と送ったら、すぐいつものスタイリストがついてくれるみたいな仕組みを作ってみるのも良いかもしれません。ユーザーの利便性向上によって、リピート率が上がるようなことは期待できます。
メッセージ配信は「タイミング」がすべて
――有料プランを使うべきなのはどんなときでしょうか?
メッセージ配信を中心に新規顧客獲得を狙う場合は、有料プランを利用するのが望ましいです。
―― 新規見込み顧客を獲得する場合は、どのようなゴール設定やアプローチをとるのが良いのでしょうか?
最初に目指すべきゴールは「友だち数1000人」ですね。メッセ―ジ配信に対する反応率(クリック率)の平均は10%程度と言われており、効果の実感を得る為にもまず1000人ほど友だちを集めることを推奨しています。
<効果の目安例>
- 友だち数:1,000人
- 反応率(クリック率):10%
- 反応数(クリック数):100人
- 獲得率:3%
- 獲得数:3件
友達1000人を達成したあとに、反応率を高める為のセグメント配信やクリエイティブ検証などの改善運用へと移行する流れが望ましいです。
――目的達成のための有効な施策には、どんなものが考えられますか?
まずは接点のある顧客とのコンタクトポイント(店舗/Webサイト/メルマガ/他SNS等)をフル活用して集めていくことをおすすめします。
多少コストをかけることができる場合は、LINE広告のCPF(Cost Per Follow=友達追加広告)を実施するのも良いです。
広告にはお金がかかるイメージがあるかもしれませんが、LINE広告は数万円からでも実施することができます。すでに友達になってくれているユーザーIDをもとにした類似拡張配信はCPFの配信設定として極めて効果的です。
エリア配信も可能で、店舗など特定地点を軸に半径○○kmなどで指定をすることができるのもおすすめの理由です。ちなみに、1フレンド新規獲得にかかる相場は、150円程度と考えておくと良いでしょう。
――LINEでもときどきクーポンを見かけることがありますが、クーポン施策でおさえておくべきポイントはありますか?
クーポンを送る際は、「タイミング」が重要です。一番分かりやすいところでいうと、友達追加された瞬間の挨拶メッセージにクーポンをつけると高い反応率が期待できます。
またECサイトであれば購入完了画面やサンクスページなどのタイミングで「LINEの友達になると限定クーポンのIDが取得できます!」といった形でクーポンを送るのが効果的です。
この状況は、決済が終わっていて一回カートを閉じてしまっているというタイミングです。少し見方を変えると、お財布の口はまだ開いたまま、または開きやすい状態とも言えます。
この時にLINEに誘導しつつ、限定クーポンをフックにして、再度違う商品を検討してもらうなどの行動喚起を行っていきます。
当たり前のことですが、クーポンやメッセージ配信などは、「全員必ず見るわけではない」ということを覚えておきましょう。そのことを念頭に置いたうえで、逆に「可能な限り全員が見るようなシチュエーション」を考えてみると、十中八九見られる「挨拶メッセージ」は絶好のタイミングだということが分かります。
ほかに気をつけるべき点としては「時流」に合っているかどうか。例えば、美容院であれば新生活のタイミングだったり、飲食店であれば花火大会シーズンだったり、その時々で間違いなくホットなタイミングというのがあります。そういうポイントをうまく突いていくのとそうでないのでは結果が大きく変わってきます。
「ブロック」されることを恐れすぎない
――LINE運用上の落とし穴のような誰しもがはまってしまいそうな注意点があれば教えてください。
一番多いのは「送信ミス」です。管理画面上で文字を打って、スタンプを貼り付けて、そのままの勢いで送信ボタンを押してしまうケースは少なくありません。
無料アカウントは月に1000通までなので、仮に500人に誤送信してしまうと、またその500人にお詫びのメッセージを送らないといけません。そうすると、一瞬で月の送信上限に達してしまいます。
こういったミスは企業としての信頼度にもつながり、場合によってはブロックの原因ともなりかねません。テスト配信機能が備わっているので、メールを送る際はスマートフォンの画面上(受信者と同じ体裁)で確認した上、配信することを心がけてください。
――たった1つのミスで、ブロックされてしまうのは辛いですね。ブロックに対してはどのように向き合うのが良いのでしょうか?
先にお伝えしたことを気をつけるのが大前提ですが、ブロックされることを気にしすぎるのもあまり良くありません。
例えば、「今月3回送ったらブロック率が前月対比で10%も上昇してしまった……来月からは2回にしよう」など、ブロックに一喜一憂するのはよくある光景です。
もちろん過剰に送ることはよくないですが、あまりビクビクして配信することを躊躇ってしまうと、LINE公式アカウント経由での成果が極めて限定的なものにしかなりません。
なので、気の持ちようとしては「見たくない人からはブロックされるもの」くらいが良いかもしれません。その方が、運用する側も攻めっ気を忘れずにいられるのではないでしょうか。
弊社で取引しているとある小売店はブロック率が驚くほど高いんです。ただ、1ヶ月に1回配信するクーポンの配信タイミングになると一斉にブロック解除されます。購入したらまたブロックされるというのが常態化しているんです。
その商品が2~3ヶ月に一度買うような性質の物なので、おそらく「買う時だけメッセージが欲しい」ということが見て取れます。
このブロックが意味するところはその小売店を嫌いになっているというわけではないんです。タイミング的に必要ないからブロックしているだけなので、「ブロック=悪(嫌われた)」と一側面のみで判断するのは、判断に誤りがあるかもしれません。
異業種の活用事例に意外なヒントがあることも
――活用が上手だと思われる企業はどんな企業がありますか?
活用が上手だと思う企業に共通して言えることは予算規模にかかわらず「創意工夫」しているということに尽きます。
例えば、千葉にあるインテリア家具屋さんなんかは顧客との最初の接点をすべてオンライン化していました。入り口をLINEに一元化した上で、ZOOMやSkype、Facebookメッセンジャーなど、利用客が使い慣れているチャンネルに移動し対応しています。
つまり、ハブのような役目を担わせることで、顧客とのデジタルの接点を半ば半強制的に作ることが可能です。メールよりもチャットやテレビ電話の方が基本的にはコミュニケーションの速度は速いので、いちいちURLを貼って送信みたいな手間もなくなります。
ほかには、青森県を中心にスーパーマーケットやドラッグストアを展開している紅屋商事株式会社様の「お客様参加型」のLINE公式アカウント運用はとても上手いと思いました。
タイムラインを活用し、「タイムライン投稿の『いいね』を押してくれたお客さまが777名を突破したら、5%OFFクーポンを配信します」という企画などをしていたんです。
「いいね」は実際に押してくれたユーザーの友達にも拡散されていくので、ほとんどコストをかけずにより多くのお客様にリーチすることができます。この施策が、お客様同士の一体感を醸成している点も参考になるのではないでしょうか。
――チラシ配布などに比べると費用対効果がとても良さそうです。現代人の生活導線上(SNSなど)でコミュニケーションをとることの重要性を感じました。
結果的に費用対効果の良い施策になっていると思いますが、紅屋商事株式会社様の例1つとっても、その裏に弛まぬ地道な努力があることを忘れてはいけません。
同社は、「月に10回以上のメッセージを送っているため、マンネリ化を防ぐ目的でチラシの内容にはバリエーションを持たせています。さらに、『消費者目線』を第一に考え、客層の9割を占める女性にフォーカスしてワードをチョイスしたり、インパクトのある画像のデザインなどを考えて配信素材を作成している」と言っていました。
同社ではマンネリを防ぐためにチラシの内容にバリエーションを持たせたり、客層の9割を占める女性に向けてのワード選定を心がけていると仰っていました。
このことからも、LINEで成果を出すためには、それを取り巻く外堀のデザインも大事だということです。
アカウント名は後で変えられないので慎重に決める
――これからLINE公式アカウントを始める方にアカウント開設時に注意しておくべきことなどがあれば教えて下さい。
アカウント種別には「認証済アカウント」と「未認証アカウント」の2つがあります。アカウント開設時にLINE社の審査を通過し認証しておくことで、その後利用できる機能の幅が広がるメリットがあります。それを踏まえて、注意すべき点はおおよそ3つです。
<アカウント名>
原則、お申込み後の変更は不可となります。また、同じ名で複数開設することはできません。
<業種>
正しい(より実態に近しい)業種を選択ください。特定業種のみ活用可能となる機能や条件が発生する場合がございます。(※コロナ影響による営業時間変更の通知メッセージが無償になるなど)
<メールアドレス>
本人確認時などLINE社より確認が入ります。尚、登録されたサービスURLと別ドメインのアドレスの場合、メールでの本人確認がNGとなり電話確認となる場合がございます。
特に注意しないといけないのが「アカウント名」です。認証済アカウント申し込み後に変更ができないこと以外にも、同じ名で複数開設することができないという制限があります。
長期的に見てさまざまな展開が予測される場合は、事業部単位でアカウントを取得するなど、アカウント名の棲み分けを慎重に行う必要があります。
――オプションサービスの「プレミアムID」は取得すべきでしょうか?
取得すべきか否かはケースバイケースです。
プレミアムIDを取得しない場合は、不規則な英数字が生成されます。このようなことからも、ブランドを展開している企業などは、そのブランドの綴りの方が検索確率が高いため取得する価値はあります。
一方で、直接リンクを貼って誘導することを目的としている場合などは取得する意味はあまりないと言えます。その場合、得られるメリットが見栄えくらいなものなので、本質的に取得する必要性はないです。
まとめ
ここまで、LINE事業本部長の浅見氏に、LINEを駆使したビジネスの成功事例や活用ポイントについてお伺いしてきました。
LINE公式アカウントを開設する際は、しっかりと「LINE公式アカウントで何を成し遂げたいのか」という目的を明確にしましょう。
LINE公式アカウントの利用目的は「新規顧客獲得」「既存顧客のリピート促進」「個別のコミュニケーション」の3つに分けられます。目的に応じて活用法は変わります。リピート促進や個別のコミュニケーションを目的とする場合、規模感にもよりますが、無料プランでも十分なケースがあります。一方「新規顧客獲得」を目的としてチラシなどの代替として利用する場合は有料プランを選ぶのが良いでしょう。
メッセージ配信やクーポンなどを使って成果を上げるのであれば「タイミング」が重要です。ECサイトなどであれば商品購入後のサンクスページなどに置くと効果的です。
LINE公式アカウントではブロック率を一つの指標として見ることができますが、ブロック率を気にしてメッセージ配信の頻度を極端に下げてしまうと成果につながりづらくなるので注意しましょう。
開設の際、「アカウント名は後から変更ができないこと」「同じ名前のアカウント名は作成できないこと」の2点には特に注意しましょう。
話を聞いた人
浅見 剛(あさみ ごう)
2008年オプト中途入社。2010年ソウルドアウトの立ち上げに参画。2011年上期MVPを受賞。営業部長、支援部門・本部長を歴任し、2017年1月にEC支援本部・本部長に着任。成果報酬型の販売代行サービス、EC事業立上げ支援、LINE@の運用支援サービスなど開発し提供。2019年1月より、LINE事業本部本部長に就任。