BIツール(ビジネスインテリジェンス)とは企業が保有しているデータを1つにまとめ、グラフや表など誰にでもわかりやすい形で見える化し、経営に関わる意思決定や業務に役立てるツールです。
BIツールを活用することで、社内システムやExcelなどに蓄積されたデータを分かりやすい形で、様々な業務に活用できるようになります。また、企業全体にBIツールが浸透すれば、データ共有やファイル管理にかかる時間が省けるようになることもメリットです。
特に「部門間で利用しているデータ管理ツールが異なるため、必要なデータがすぐに見つからない」という課題や「データが社内に点在しているために数値の分析に時間がかかる」という悩みを持った企業に、相性が良いツールです。
今回はBIツールの機能やメリット、導入事例、導入から活用までのステップについて解説します。この記事を読むことで、自社でBIツールを導入すべきかの判断もできるようになるため、参考にしてください。
BIツールとはデータ収集・分析を手助けしてくれるツール
引用:BIツールとは?基本から仕組みまでかんたん図解|セルフサービスBI-LaKeel BI
BIツールとは、企業内の各システムに蓄積されたデータを集約し、可視化することで、分析結果を分かりやすく把握できるようにするツールのことです。
ここでいうデータとは、SFAやERPシステム、CRMなど、業務に使用するツールを通し、蓄積されるデータを指します。顧客データや製造ライン、室内の空調などの幅広いデータmも対象です。
たとえば各部署のデータ保管先がバラバラで、データ共有時にメールなどのやり取りが必須だった場合、BIツールの導入によりやり取りの手間が省かれます。各部署のデータがすぐに共有できるようにすれば、全体的な業務の短縮にもつながるでしょう。
また、BIツールは「分析や解析の専門的な知識がなくとも使える」ことが前提となったツールです。そのため社員が自発的なデータ分析を通じ、よりスピーディーな問題解決に乗り出しやすくなります。
収集されたデータは、BIツールによってグラフや図、数値に基づく色分けなどが行われ、ダッシュボードと呼ばれる1画面にまとめて表示されます。そのため、分析に不慣れな人でも、視覚的に情報を確認できます。
このように、BIツールは企業内のデータを俯瞰的な視点で確認できるようにすることで、分析や分かりやすい情報共有を、大きくサポートしてくれるツールです。
BIツールでできる4つのこと
BIツールでできるのは、次の4つのことです。
- レポート作成
- 多次元分析
- データマイニング機能
- ダッシュボード管理機能
レポート作成
BIツールが収集したデータをもとに、表やグラフをBIツール内で作成することで、レポート作成にかかる手間を省けます。
BIツールが自動でデータを管理・蓄積、グラフ化するため、Excelなどを使って集計したり、グラフを作ったりする手間がかかりません。
分析結果もダッシュボードにまとめて表示されるため、資料によっては印刷や配布の時間も省けます。レポート作成にBIツールを活用することで、表やグラフ作成にかけていた時間を、数値の異常や分析結果の確認に割けるようになるでしょう。
多次元分析
多次元分析は、OLAP(オンライン分析処理)分析機能とも呼ばれ、データベース上の大量のデータを集計することで、必要な結果を抽出する機能です。
この機能を活用することで、たとえば「無料サービスAを利用した顧客の何割がB商品の購入をしているのか?」や「社員Aの成績は担当する3地域のうちいずれが最も高いのか?」といった、細かなデータの抽出が可能となります。
また、BIツール自体が、マウスで必要なデータ項目を選び、見たいグラフの種類を選ぶ、といった簡単な操作で多次元分析を可能とするツールです。
そのため、分析に必要な操作に詳しくない場合でも、必要なデータを素早く分析できます。
多次元分析を活用することで、社内のデータをさらに有効活用できるようになるでしょう。
データマイニング機能
データマイニング機能とは、データを統計的に分析し、その中から規則性を発見する機能です。「ある目的を説明する際に、関連する複数の要因ごとの影響度の分析」や「顧客にとってより影響の強い要因の分析」を可能にする機能です。
見込み顧客の発見や工場の保全管理など、多くのデータの中から、人の目だけでは見つかりづらい情報を分析したい時に活用できます。
ダッシュボード管理機能
BIツールによって作られたグラフや集計表を、1つのページで確認できる機能のことです。
たとえば、月別や顧客別、商品別の売上を、全て同じページで確認できます。データを1画面で比較することで、情報ごとの推移や関連性を分析する手助けもなります。
またBIツールによっては、スマートフォンやタブレットのアプリを通じ、ダッシュボード上のデータを共有できるものもあります。
外出先で上司に現在のデータを確認してもらったり、営業担当者に必要な情報を共有したり、企業の働き方に併せてカスタマイズも可能です。
ダッシュボード管理機能を活用することで、1つのページで多くのデータを一度に確認し、現状の問題点や関連性をさらに分析しやすくなるでしょう。
BIツールを導入することで得られる4つのメリット
BIツールにより得られるメリットは、以下の4つです。
- 社内に点在するデータの一元管理や分析が可能
- レポート作成に必要なグラフの作成に時間がかからない
- データを可視化できて企業全体の業務状況を確認できる
- 分析の自動化が可能なため工数削減につながる
これらをご紹介します。
社内に点在するデータの一元管理や分析が可能
BIツールを利用することで、社内に点在するデータの一元管理や分析が可能です。biツールでは異なる形式のデータや、違う部署で作成されたデータを一か所にまとめ、一元管理できます。
データが一か所にまとまれば、たとえばある部署の会議で「別の部署の去年の同じ時期のデータを見たい」といった要望に、スムーズに対応できます。
データ管理の方法も一元化することで、社内全体の情報共有の流れも把握しやすくなるでしょう。部署間のデータ管理や、社内のデータ管理に悩んでいる方は、BIツールの導入がおすすめです。
レポート作成に必要なグラフの作成に時間がかからない
BIツールを導入することで、レポート作成に必要なグラフの作成を手間なく行えるようになります。BIツール内で分析されたデータを、得たい情報に合わせ、視認性の高いグラフや表として出力できるためです。
またBIツールを通じて社内でデータを共有すれば、分析結果や各部署の現状をダッシュボード管理機能を通じて閲覧してもらえます。グラフや表の作成にかかる時間を減らし、業務効率化を目指したい方にも、BIツールの導入はおすすめです。
データを可視化できて企業全体の業務状況を確認できる
BIツールを通じ、企業全体に点在するデータを可視化することで、全体の業務状況を確認できるというメリットです。
たとえば、営業担当者と在庫管理担当者が、お互いに在庫と商品の売れ行きのデータをBIツールで可視化することで、商品の在庫と売れ行きを共有できます。
分析をもとに、効率の良い商品と販売が伸び悩んでいる商品を把握しやすくなるでしょう。また、人事部が管理する社員の所属データと勤怠システムのデータを、BIツールで連携することで、個人単位での労務状況をグラフで分かりやすく示すこともできます。
現場の管理者や経営陣に労務状況が分かりやすく伝わることで、残業時間管理や働き方改革の取り組みにも活用できるでしょう。
分析の自動化が可能なため工数削減につながる
BIツールは社内のシステムデータを一か所に集めて活用するため、社内システムでデータ更新を行えば、自動的にBIツールのデータも更新されます。
データ入力やアップロードの手間が、二度手間になることはありません。またデータマイニング機能や多次元分析など、高度な分析を自動化可能なため、分析にかかる工数削減に繋がります。
これにより、企業全体の意思決定をさらに加速させられるでしょう。
BIツールの導入事例を紹介
ここでは、3つのBIツールの導入事例を紹介します。それぞれの事例で、導入の結果、課題がどのように解決されたのかを理解して、自社での活用の参考にしてください。
大容量のデータ集計・検索処理時間を最大98%削減し業務効率化を実現できた指定信用情報機関の事例
BIツールの導入により、10時間以上必要だったデータ検索処理が10分に短縮されるなど、データの集計・検索時間を最大98%削減した事例です。
導入以前は数百億件にも上るデータから必要な情報を抽出する際、まずシステム部門に依頼が必要でした。さらに、検索処理はよく利用する検索条件であっても5~20時間近くかかり、現場担当者が欲しいと思ったデータが手元に届くまで、3週間近くかかっていました。
そこで、次の2つの特徴をもつbiツールを導入しました。
- 直感的に操作できる操作性
- 検索項目やフィルタリング機能が充実
導入後は、BIツール経験のない現場担当者でも、自らデータを活用しやすくなり、営業部門で積極的にデータの分析が深められるようになりました。
参考:データ集計・検索の処理時間を大幅削減!信用情報機関の大量データ処理を支える情報系システムを構築
BIツール活用でデータを分析、可視化する時間が10分の1になり問題をリアルタイムで発見できた食品料企業の事例
BIツール導入により基幹システムやIoTシステムの情報を「見える化」をしたことで、正確なデータに基づく製品品質向上や設備保全作業を実現させた事例です。
この事例の企業では、ふりかけを製造しています。食品を製造するため、設備管理や保全は重要な課題です。しかし、従来の情報共有は、紙媒体で掲示板に掲載するという方法でした。更新頻度は月1回、担当者ごと情報に差があるため、正確性に欠けていました。
そこで、基幹システムや、製造ラインに取り付けたloTシステムからデータを収集し、分析・可視化できるBIツールを導入しました。その結果、リアルタイムでデータの分析・可視化ができるようになり、データ分析にかかる時間は10分の1以下まで短縮。
課題であった製造ラインの異物混入のデータから、異物の量や件数を早期に把握できるようになり、問題の原材料と産地別を究明できるようになりました。
また、これまで経験と感覚で行っていた機械の保全業務は、データから正確な修理・部品交換などのタイミングを把握できるようになりました。工場内のデータをbiツールで可視化し、業務改善に生かした事例です。
BIツール活用でレポート工数の削減とデータ活用で注文数を10倍に伸ばした小売業の事例
BIツールの導入により、レポート工数の削減による迅速な意思決定を可能にし、新規ユーザーからの注文数を10倍に伸ばした事例です。
課題として、レポート作成にかかる工数が多く、スピーディーな「次の一手」を打つことができず、新規事業展開に課題を抱えていました。そこで「多くの社員が使いやすい」ことや「レポート作成に活用できること」を重視し、BIツールを導入しました。
結果として、新規事業として生鮮食品の注文アプリを立ち上げた際に、BIツールから得た情報でスムーズにレポートが作成され、新鮮なデータを多くの社員が共有できました。
その結果、KPIを当初の設定であった「アプリダウンロード」から「注文数」への切替え、利用者へキャンペーンという2つの施策を実施することで、注文数を10倍に伸ばしました。BIツールの導入により、業務時間の短縮だけでなく、新たなビジネスチャンスを見逃さず、行動に移せるようになった事例です。
参考記事:Domoの評判と実態【2021年最新版】 | 発注業者比較なら【アイミツ】
参考記事:Domo、ローソンのネットスーパー事業に採用 |ドーモ株式会社のプレスリリース
BIツールの6つの導入ステップ
BIツール導入までの6つのステップを、順に解説します。
- 導入目的を決め、要件定義を行う
- BIツールのプラットフォームを選択
- 導入予定のBIツールで設計作業を進める
- 設計作業が完了したらテスト、フィードバックを実施
- データクレンジングを実施しておく
- テスト使用を経て、データ移行を完了させる
1.導入目的を決め、要件定義を行う
導入目的を明確にするために、どのようなデータ分析を求めているのか、誰が何の目的でBIツールを活用するのか、明確な要件定義を行いましょう。データ分析を行う対象や内容が決まらないと、そもそもBIツールに求める機能が定まらなくなってしまいます。
また「誰が」「何のために」があいまいなままだと、導入後にBIツールが利用する社員にとっては使いづらいツールとなってしまい、導入が失敗する恐れもあるためです。
導入目的を明らかにし、要件定義を行う際、意識すべきポイントは3つあります。
- 分析対象・切り口・数値の分類
- データを取得するシステムの決定とBIツールとの相性確認
- かけられるコストの確認
たとえば「営業成績を可視化して、経営者が問題点を洗い出したい」ことが利用目的であれば、売上が対象となります。売上を示す数値は「売上金額」や「成約件数」です。これをさらに分析するには、切り口として「契約が発生した日時」や「顧客の年齢層」などが挙げられます。
そしてスムーズな利用のために、社内システムとBIツールとの相性を確認しましょう。データが部署別に管理されている場合、データ統合を可能にするツール(ETL(Extract Transform Load)やEAI(企業内アプリケーション)など)の導入の検討も必要です。
このように、導入目的を明確にした要件定義を行うには「誰が何のために使うのか」と「何を改善したいのか」を明らかにすることが大切です。また、実現可能な環境が整っているか、どの程度コストをかけられるか、確認しておきましょう。
2.BIツールのプラットフォームを選択
プラットフォームによって、BIツールの機能は異なります。要件定義を通じ見えてくる「誰が」「何のために」「データを分析・可視化するのか」を軸に、プラットフォームを絞り込んでいきましょう。
たとえば「お客様への報告レポートを、スムーズに作成して、商談時間を増やしたい」のであれば、可視化を素早く行うためのダッシュボード機能や、共有に便利なレポート作成機能が重視されます。
またマーケティングの部署が「売れ行きが伸び悩んでいる商品を把握するために、指標が必要」という場合には、多次元分析機能やデータマイニング機能といった、複数のデータを分析する機能を重視して選ぶ必要があります。そして、社内の体制に応じ、次の2つのサーバから、より合うタイプを選びましょう。
- 外出先やテレワーク中の社員も使うならクラウド型のBIツール
- 社内のみならセキュリティの高いオンプレミス型のBIツール
併せて、業種向けの機能や、業務内容に合う機能が用意されているかもチェックしてみましょう。基本的に必要な機能はカスタマイズできますが、こうした機能を利用することで、運用までの負担が減らせます。
3.導入予定のBIツールで設計作業を進める
BIツールが絞り込めたら、ツール上でデータの取得先の定義づけや、分析画面、レポート出力画面など、レイアウトをデザインしましょう。
実際のツール上で作ることで、BIツールを使う社員や取引先など、利用者目線のデザインが可能になります。設計作業では、最初に決めた要件定義をもとに、分析に使うデータを絞り込みます。また、分析結果を効率よく閲覧できる、ダッシュボードの作成を行います。そのために、次のような流れで設定を行っていきます。
- 最終的に表示したいグラフや表のイメージを具体化する
- 集計先となる元データを決める
- データをBIツールへ取り込む
- 集計対象・切り口・最小単位の3つの要素で定義決めする
- BIツール上でグラフや表を作成しダッシュボードのレイアウトを決める
たとえば「売り上げ個数を商品ごと、時系列でグラフ化して共有したい」という課題解決を行うなら、元となるデータは売上や売れた時間などです。
定義決めでは「いつ」「どの店舗で」「何の商品を」など、できるだけ最小単位で定義していきます。ただし、データを絞り込み過ぎると後から「この形でも分析したい!」という要望が出たときに、対応が難しくなります。
あらかじめ複数の切り口でデータを絞り込めるように、最終的に表示したいグラフや表を、要件定義を元に目的に沿って項目を用意していきましょう。
グラフや表に関しては、普段の業務で使うフォーマットが決まっているレポートがあれば、あらかじめテンプレートを作成しておくとよいでしょう。より実際の業務に活用しやすくなり、特にレポート作成時間の短縮化が課題の場合は、重要です。
また「導入予定だったけど、ビジュアライズが自社には合っていない」と分かるケースもあります。BIツールのメリットでもある、分かりやすい可視化を十分に使えるように、設計作業を進めていきましょう。
参考:BIツールを使ったデータ分析は設計で全てが決まる (insight-lab.co.jp)
参考:BIツールの元データ設計についてまとめてみた - 株式会社クイックのWebサービス開発blog (hatenablog.com)
4.設計作業が完了したらテスト、フィードバックを実施
設計作業が完了次第、実際にテストとフィードバックを行います。大規模にスタートさせるとフィードバックや課題の抽出だけでも大変になるため、利用者を限定してテストを実施していきましょう。
5.データクレンジングを実施しておく
BIツールに利用するデータは、前もってデータクレンジングを行いましょう。データクレンジングとは、同じ意味だけど違う表現の言葉や誤字などをデータから探し出し、修正・削除などを行うことです。
データの品質を高め、BIツールにとって使いやすい状態にできます。データクレンジングを行わず、正確性に欠けるデータのままだと、BIツールがダッシュボード画面に示すグラフに影響を及ぼしたり、正しい結果を表示しなかったりします。実施することで、BIツールの分析の質を高めていきましょう。
6.テスト使用を経て、データ移行を完了させる
テスト使用のフィードバックを反映させ、データ移行を完了させれば、BIツールの導入は終了です。導入後は、アップデートされた機能の確認や継続的なデータクレンジング、サポート体制の構築など、継続的な利用を目指して環境を整えていきましょう。
BIツールの導入を成功させる2つのコツ
BIツール導入後に失敗を防ぎ、成功に導くコツは、次の2つです。
- 利用したい分析、求める効果を明確にしてBIツールを導入する
- データを扱える人材を確保しておく
利用したい分析、求める効果を明確にしてBIツールを導入する
利用したい分析や求める効果を利用者間で共有し、導入目的を皆で一致させましょう。
BIツールに求める効果や利用したい分析があいまいになると、当初の導入目的とは異なる使い方になる恐れがあります。
すると導入により改善するはずだった課題に結びつかなくなり、導入の失敗に繋がります。またBIツールは多くの分析ができるために、データの処理方法や見たいデータに、利用するユーザーによって差が出る可能性があります。
目的や利用したい分析があいまいにならないように、導入後には課題改善の効果が表れているか、定期的にデータを共有しあうとよいでしょう。
導入目的が共有しきれていない可能性がある場合は、改めて情報共有をするほか、ツールを使う役割や体制を見直し、不明確な点をなくしながら、目的を共有していきましょう。
データを扱える人材を確保しておく
次のようなスキルを持つ人材を確保し、社内全体のBIツールへの理解を深めていきましょう。
- 分析対象のビジネスを十分理解している(ビジネススキル)
- 得られた情報を考察し読み解く情報リテラシーがある
- BIツールで得られたデータを別の切り口・数値に変更できる
また、次のような教育体制や相談先の確保も重要です。
- BIツールの担当部門を設置する
- BIツールの活用までの道筋を見える化する
- 利用者のために教育体制を設置する
BIツールは、あくまでも道具であり、使い方やデータ分析の知識を持つ人材がいないと、結果的に分析を通した問題点の改善に繋がらない恐れがあります。なぜなら、BIツールは「問題点はここです。AをBへ修正してください」と警告を行ってくれるわけではないからです。
データ分析の知識を持っていない社員が利用した場合、操作は出来ても「データから問題を理解することができない」や「この情報をどう役立てればよいか分からない」といった、操作以外のストレスを感じ、社員自らがBIツールを利用する機会を奪う可能性があります。
BIツールや分析に関するスキルを持つ人材を早期に確保し、よりBIツールを利用しやすい環境を整えていきましょう。
BIツールを導入する上での2つの注意点
導入前に、注意しておきたいことが2つあります。
- 社内でBIツールを利用するユーザー数を確認しておく
- 分析に必要なデータを揃えておかなければ、BIツールの機能を活用できない
社内でBIツールを利用するユーザー数を確認しておく
導入前に利用者数を明確にしておき、導入後に追加アカウントを発行する際の費用はいくらかかるのか、あらかじめ確かめておきましょう。
BIツールによっては、発行するアカウント数に応じて料金が異なる場合があります。BIツールの料金形態は、主に次の2つが主流となっています。
料金形態 | メリット | デメリット |
ユーザーライセンス型 | ユーザー単位でコストがかかるので安く済むケースがある | ユーザー数が増えるとコストが高くなる |
サーバーライセンス型 | 大人数でも一定のコストで利用できる | 少人数だと高コストになる場合がある |
あらかじめBIツールを利用するユーザー数が分かれば、どちらの料金形態のツールを選ぶべきか明確になります。追加アカウントが必要になる可能性も考慮して、選定していきましょう。
分析に必要なデータを揃えておかなければ、BIツールの機能を活用できない
BIツールを導入しても、データが不足していれば分析の精度は低くなり、有益な知見を得られなくなります。
なぜなら、BIツールは分析・可視化を行うツールであり、有用なデータを集めてくれるわけではありません。
BIツールに結び付いたデータにミスがあれば、そのまま利用されてしまうため、分析結果が正しいものではなくなってしまいます。BIツールの分析に利用するデータに、ミスが起きる原因は、次の通りです。
- データ入力自体を忘れた・誤って入力した
- データクレンジングを定期的に実施していない
たとえば「顧客Aの反応」のデータ入力を社員が忘れた、というケースがあったとします。BIツールは、データ入力がなければ「顧客Aの反応はゼロ」と判断するため、これだけで社員にとっても、企業にとっても顧客獲得の機会損失に繋がります。
BIツール導入後は、社員と連携してデータ収集をより正確なものにし、データクレンジングを通して時間経過によるデータ品質劣化を防いでいきましょう。
まとめ
消費者が選ぶ基準や購入後の行動も多様化した昨今では、勘や経験に頼らない意思決定を助けてくれるBIツールは、データのビジネスへの活用に重要なツールといえます。
ただし、BIツールはあくまでも道具であり、活用に適した環境や人材を整えることが重要です。今回紹介したコツと注意点を踏まえ、自社に合う機能を絞り込み、適切なBIツールのプラットフォームを選びましょう。
参考:【2021年版】BIツール厳選16選を徹底比較!絶対失敗しない選び方のポイントまで解説